■URL
http://www.kris.sfc.keio.ac.jp/ORF98/
http://www.w3.org/
慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)で20日、21日と「SFCオープンリサーチフォーラム'98」が開催。20日午前中に行なわれたプレス向けのカンファレンスには、WWWの開発者として知られるTim Berners-Lee氏らW3Cを代表するメンバーが一堂に会し、質疑に応じた。
Netscape Communications社やMicrosoft社、両ブラウザーメーカーによるHTMLやCSSの実装方式が異なることについて、同氏は「それはW3C設立当初からの問題だった。当時のHTMLのバージョンは2.0で、相当ひどい状況だった。それに比べると現在のHTML 4.0は仕様としても安定しているし、ブラウザー各社が努力しているところだ」と答えた。実際、W3Cは今年10月に「DOM(Document Object Model)」を勧告(本誌10月6日号参照)するなど、両ブラウザー間の非互換性の問題を解消しようと努力しているところだ。
また、携帯端末向けの仕様としてWMLやCompact HTMLのようなマークアップ言語が登場してきたことについて、同氏は「デバイスごとに専用の仕様を用意するのではなく、将来的にはスペックを一本化したい」と語った。
同氏は帰り際、名刺の代わりにWAI(Web Accessibility Initiative)の「Page Author Guidelines & techniques」を現場に居合わせた記者たちに配ってまわった。この名刺サイズのカードには、画像を使う時はalt属性を使うことなど、Webページを作る際に念頭に置いておきたい身障者向けの心配りが10件記述されていた。
W3Cの活動で面白いのは、技術的な標準化を進めると同時に、こうした社会的な啓蒙活動も行なっているところ。プライバシーの問題についてもP3P(Platform for Privacy Preferences Project)という取り組みがなされている。その活動の中心となっているDaniel J. Weitzner氏は「プライバシーの保護については、各国の法律が異なっているが、P3Pはそれを吸収できるような設計にしたい」と語った。
もちろん技術的な話もある。HTTPはバージョン1.1に、そしてHTTP-NGへと向かっている。その他、SMILやXML、さらにテレビとの融合に関する仕様についても議論されているという。
('98/11/20)
[Reported by yuno@impress.co.jp]