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【新製品レポート】

メールやチャットも楽しめる
Dreamcastのインターネット機能

■URL
http://www.sega.co.jp/dreamcast/

 11月27日、セガ・エンタープライゼスのコンシューマー向けゲーム機「Dreamcast」が発売された。ゲーム機としての機能のほか、本体に33.6kbpsのモデムを内蔵し、インターネット接続ソフトをバンドルするなど、インターネット端末としての機能も備えている。そこで、本誌では早速Dreamcastでインターネットに接続。今回は、その使用感をレポートする。

●まずはユーザー登録で「dricas.com」のアカウントを取得


ScreenShot1
ユーザー登録で希望するアカウントを入力
 Dreamcastには、ダイヤルアップ接続、WWWブラウザー、メーラー、チャットなどの機能を持つ「Dream Passport」というソフトが付属している。使用するには、本体の端子にモジュラーケーブルを差し込み、Dream PassportのCD-ROMをセットして電源を入れるだけ。ゲームソフトを起ち上げるのと同じ感覚で、Dreamcastをインターネット端末として利用できるわけだ。

 購入後、初めてDream Passportを起動して行なわなければならないのは、モデムの設定とユーザー登録だ。
 モデムの設定では「ダイヤル方式」「外線発信番号」などを入力する。また、通常は使用しないが「むずかしい設定」で、ATコマンドも使える。TAのアナログポートに接続するときなどに、ATコマンドの設定が必要になる場合があるという。
 ユーザー登録では、氏名や連絡先、メールアカウントを入力する。メールアカウントは「xxx@dricas.com」という形式で、「xxx」の部分を第3希望まで入力できる(英数字6文字以上8文字以下)。
 文字の入力にはソフトウェアキーボードが用意されているため、付属のコントローラーから入力可能だが、文字の配列が特殊なのでPCユーザーには違和感があるだろう。日本語の漢字変換は思っていたよりも賢い。
 ここまで入力したら、サーバーに接続して内容を登録することになるのだが、編集部で行なったところ、27日の夕方の時点では、なかなかうまく接続してくれなかった。サーバーへはフリーダイヤルで接続するようになっているのだが、最初は「話し中です。しばらく時間をおいてください。リダイヤルしますか?」というダイアログが表示されたので、「はい」を選択すると、すぐに同じダイアログが表示されて接続に失敗するばかり。どうやら、リダイヤル規制を行なっているようだ。

ScreenShot2
サーバー情報を本体に保存して設定完了
 そこで、時間をおいてからリダイヤルしてみると、今度は「ダイヤルできませんでした。電話線がモデムにつながっているか、モデムの設定が正しいか確認してください」という表示。モデムの設定を確認、電話ケーブルも交換するなどして何度か再接続するが、その後も「話し中」と「ダイヤルできませんでした」の症状が交互に現われる。モデム設定の「外線発信番号」に「,,,」を足してみたり、「むずかしい設定」でモデムの初期化コマンドを入力するなどあれこれ手を打ってみるが、依然として接続できない。
 結局、最初の設定に戻し、しばらくしてから接続したら、あっさりつながった。原因は、この時点では不明だったが、どうやらサーバー側に不具合があったらしい(現在は解消されている)。

 さて、なんとか接続に成功すると、さきほど入力したユーザー情報がサーバーに送られる。ユーザーの電話番号をもとに、近くのアクセスポイントが3ヶ所指定されるのでそれを確認して次に進むと、ログインIDやパスワード、メールアドレス、メールサーバーなどが表示され、サインアップ完了。これらを本体のメモリーに記録しておけば、以後、この設定でDream Passportからインターネットに接続できる。なお、ここで発行されるパスワードは仮のもので、後日、正式なパスワードが郵送されてくるということだ。また、発売日当日だったため、メールアカウントは第1希望のものが取得できたが、「xxx@dricas.com」ではなく「xxx@yyy.dricas.com」というサーバー名が付加された形式になっていた。

●Dreamcast専用プロバイダーでインターネットに接続

 Dream Passportでインターネットを利用する場合、通常は、発売にあわせて設けられたセガのプロバイダーを利用することになる。この「SEGA PROVIDER」は1分5円の従量制で、全国に約200ヶ所のアクセスポイントを設置している。しかし、他にプロバイダーと契約しているユーザーであれば、そのプロバイダーのDNSなどを設定することで、SEGA PROVIDERを使わないでインターネットに接続することも可能だ。なお、ユーザー登録後120分はSEGA PROVIDERの接続量は無料。その後は、Web Moneyにより前払いでアクセス権を購入するようになっている。ちなみに、発売から12月26日までの1ヶ月は接続料はかからず、120分の無料時間も消費されないそうだ。

 せっかくなので、今回はSEGA PROVIDER経由でインターネットに接続する。ユーザー登録で指定されたアクセスポイントに自動的にダイヤルされ、そこが混雑していた場合などには、自動的に第2、第3のアクセスポイントにリダイヤルするようになっているようだ。今回は、第1アクセスポイントですぐにつながり、「ホーム」画面が表示された。同時に接続時間のカウントも始まり、画面左上に表示された。

 ホームには、「dricas」「ゲーム情報」「メール」「チャット通信」「ユーザー情報」「おすすめ」「オプション」「課金情報」の8つのアイコンが用意されている。

ScreenShot3
「INTERNET Watch」のトップページを表示
 まずは、Webを表示してみよう。「dricas」でDreamcastのホームページ「dricas.com」に、「ゲーム情報」でセガの公式ホームページ「セガエンターテイメントユニバース」に直接アクセスできる。他のサイトへは、コントローラーの「Lトリガー」で画面左側に表示されるメニュー画面から「ジャンプ」を選択、URLを指定することでアクセスできる(一方、「Rトリガー」では「戻る」「進む」などが用意されたメニューが画面右側に表示される)。ソフトウェアキーボードには「www.」「.co」などがあらかじめ登録されているファンクションキーが12個用意されており、これを利用することで幾分、URL入力の手間は省ける。ファンクションキーには、自分の好みの文字列を設定することも可能だ。
 「INTERNET Watch」のホームページにアクセスすると、文字が丸ゴシック系の大きいサイズのフォントで表示された。その結果、テレビ画面でも文字が認識できるものの、上下はもちろん、左右が画面に収まらなくなる(解像度は640×480相当)。オプション設定でフォントサイズなどを調整することで、左右を1画面内に収めることも可能だが、パソコンで見るのとレイアウトが変わってしまうのは仕方がない。また、JavaやShockwaveには未対応ということで、閲覧できないページも多少あるだろう。
 クリッカブルポイントなどへのカーソル移動はコントローラーに付いている十字型の「方向ボタン」で、クリックは「A」ボタンで行なう。一方、方向ボタンとは別に、スティックタイプの「アナログ方向キー」で画面のスクロールが行なえるようになっている。

 次に「メール」を選択してみた。ユーザー登録完了のウェルカムメールでも届いていないかと期待していたが、メールは1通もなかったため、取得したdricas.comのメールアカウント宛に何通かメールを出してみた。
 Dream Passportでは、メールをサーバー側で保存(容量は1MBまで)するようになっており、新着メールを確認すると、まずメールのサブジェクトのみがダウンロードされる。そのリストを見て、読みたいメールを指定すると本文がダウンロードされるという仕組みだ。他のメールを読んでから前のメールを再び読むのにも、いちいちダウンロードしてくるのがちょっとわずらわしい。ただし、別売りのメモリーカード(ビジュアルメモリー)があれば、それにメールを保存しておくことが可能だ。
 一方、送信メールの保存機能はない。送信メールも保存したいときは、自分宛にも送信して受信メールとして保存する。このほかアドレス帳も用意されており、同様にメモリーカードに保存できる。今のところ、添付ファイルには対応していないようだ。

ScreenShot4
チャットするならキーボードは欲しいところ
 「チャット通信」では、IRCによるチャットが楽しめる。サーバーがいくつか用意されているので、ニックネームとパスワードを入力し接続、会議室を選び入室する。会議室は、27日時点ですでに多数開設されていた。もちろん、自分で開設することも可能だ。
 実際にチャットを試してみたところ、やはりソフトウェアキーボードではかなりつらいものがあるが、レスポンスのかなり速いメンバーもあった。どうやらキーボードから入力していたようだ。なお、表示されるサーバーの一覧を見るとわかるのだが、通常のIRCサーバーを利用しているようだ。したがって、アドレスがわかっていれば、PC用のクライアントからでも参加できる。編集部でも試してみたが、DreamcastとPC間で問題なくチャットできた。

 このほか、「おすすめ」ではブックマークの登録が可能。「オプション」では、画面表示の設定のほか、Cookieを受け付けるかどうかなどの設定が行なえる。「ユーザー情報」では連絡先やパスワード、アクセスポイントなどの確認・変更、「課金情報」では、Web Moneyで購入したアクセス権の残り時間の確認などを行なう。なお、ユーザー情報や課金情報では、フリーダイヤルで専用のサーバーに接続し直すようになっているが、ユーザー登録時と同様、なかなか接続できないという症状が見られた。

●インターネット機能はうれしいが、やはりゲームとの連携を

 今回は、発売されたばかりのDreamcastでインターネット機能をざっと試してみた。細かい点まではまだ触れられなかったが、一通り使ってみた感想を最後にまとめてみよう。

 まず、予想外に苦労したのがユーザー登録だ。サーバーの接続に失敗するたびに、違うダイアログが出てくるため、サーバーが混雑しているのか、モデムの設定が悪いのか、接続できない原因が特定できないのだ。これは、セガのホームページに設けられた伝言板のコーナーでも告知されているが、ユーザー登録用のサーバーに問題があり、一部にDream Passportでユーザー登録ができなくなる不具合が発生したということだ。クライアント側の故障ではなく、現在は問題なく接続できるようになっている。
 操作面においては、キーボードの必要性を感じた。メールはまだしも、Dreamcastでまともにチャットを楽しみたいというなら、別売りのキーボードは必須だろう。もうひとつ、基本的な操作では、カーソルの移動に「方向ボタン」、スクロールに「アナログ方向キー」が割り当てられているのが使いづらい。感覚としては、逆のほうが使いやすいと思う。
 これらの点を除けば、ホームページの閲覧やメールの送受信は思った以上に快適だった。33.6kbpsというと、現在ではややパワー不足の感があるが、今回アクセスしてみた限りでは、ダウンロードにもたついているような感覚はなかった。SEGA PROVIDERの利用者がまだ少ないということもあるかもしれない。

 Dreamcastは定価が2万9,800円。ゲーム機としてはやや高価だが、例えばこれをWebTVなどのセットトップボックスと比較するとはるかに安い。パソコン以外の端末でインターネットを利用したいというなら、間違いなく有力な候補になるだろう。特に低年齢層のユーザーなどには、ゲーム機としてだけではなく、チャットなども楽しんでもらいたい。
 しかし、Dreamcastでは、メールやチャットといった機能が単独で利用できるというだけでは、正直言ってもの足りない。インターネット機能を利用したゲームタイトルが早く見たいものだ。

('98/11/30)

[Reported by nagasawa@impress.co.jp / Masaaki Kamishima]


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