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http://www.jp.real.com/conference/
「RealNetworks Conference/Tokyo'98」で来日中の米RealNetworks社(以下、Real社)のCEO、Rob Glaser氏に、ストリーミング配信システムの新製品「RealSystem G2」について、また、気になるMicrosoft社との関係などについて聞いてみた。
編集部(以下編)>>「G2」正式版がいよいよ発表されましたが、テレビなど既存のメディアからの反応はいかがなものなのでしょう?
Rob Glaser氏(以下RG):確かにG2がテレビなどと競争している部分があるのは確かですが、補完しあっている部分もあり好反応が多いです。既存のメディアにとってインターネットをやらないと自分達のビジネスが不完全なものになってしまうという危機感はどこにもあるので、非常に私達に協力的ではあります。例えばテレビ局とのつきあいも当初は、「ニューメディア部門」とか実験的な位置づけの部署が多かったのですが、今は局の主流の部署とのつきあいが多くなっていおり、どこもかなり本気になっているようです。
編>>「G2」では、テキストも使える、画像も貼れるという、既存のWWWブラウザーに非常に近いものになってきているように思えます。RealPlayerとWWWブラウザーというのはどういう位置関係にあるのでしょうか?
RG:良く聞かれる質問です。よい例として、2年程前Netscapeがメールをブラウザーにバンドルしました(「In-Box Direct」)。しかし、結果として今使っている人は非常に少ない。ブラウザーはブラウザー、メールはメールと独立したアプリケーションとして使っている。同じように、基本的にビデオを見るプレーヤーとブラウザーとは独立したアプリケーションになっていくのではないかというのが私の考えです。
当然、RealPlayerというのはブラウザーの中に入れて使うこともできますが、基本的な違いとしては、ブラウザーはユーザーが時間をコントロールできる、しかしRealPlayerというのはテレビと一緒で、ボタンを押したらそのままの流れで見ていくというものですから使い方が違う。ある意味で新聞とテレビの違いとも言える。非常に使われ方が違うので、完全に独立した2つのアプリケーションとして共存していくと考えています。
編>>しかし、今後、SMILがブラウザーに実装された場合には、WWWブラウザーでもストリーミングのコンテンツを見られるようになるということもあるのではないでしょうか?
RG:今はメールもブラウザーで見られる。そういう風に両方で見られるようになるものは当然出てくるでしょう。それは否定しませんが、どっちが使いやすいというかというと、ほとんどの人は独立したアプリケーションを使うでしょう。例えば、ブラウザーでSMILのデータなりビデオなりは見えるんですが、ブックマークはできないんです。できてもそのビデオの始まりからしかできない。しかし、RealPlayerでは、例えば1分50秒といったところにブックマークできる。そこが大きな違い。また、ブラウザーに埋め込まれている場合には、コントラストやボリュームの調整などができず自由度が違う。
今後、ブラウザーの方へ進出していこうという気はありません。オーディオとビデオのメディアをプレイバックするということにフォーカスしていきたい。
編>>最近Microsoft社が、所有するReal社の株を売却し、提携関係を解消しましたが(本誌11月19日号参照)、両社に間にどのような行き違いがあったのでしょう?
RG:まず、どうしてMicrosoftが株を売ったかというのは私達の知ることではないんです。15カ月前にMicrosoftがReal社の株を買った当時、株価は9ドル位だったんです。今40ドル位ですので、100億ドル位儲かっている。実はMicrosoftがやったインターネットビジネスで一番儲かったビジネスだったのではないかと言われてます(笑)
1年半前まではMicrosoftとの関係は凄く大事なものだと思っていた。しかし、今ではインターネットでのソフトウェアの流通ができているのでそんなには大事ではない。実際AOLやNetscapeやロータスなどにバンドルしているんですが、(出回っているソフトの)90%がダウンロードされたものなんです。そういう意味でインターネットが流通のチャネルとして確立してきています。
編>>ただ、今後もプラットフォームとしてWindowsを使う訳ですし、競合するものも出てくると思うのですが?
RG:MSのコアビジネスと競合している訳ではないのです。ただ、一部分で競合している所があるのは確か。
例えば、MSNが出てきた時、もうAOLはだめなんじゃないかと言われたんですが、専用ソフトをばらまいたり、コンテンツを充実したりで結果的にAOLは成功しました。私達もプレーヤーはフリーだしサーバーの技術もあるし、インフラもありますしコンテンツもある。私達が優れた製品を出していく限りAOLと同じように大きくなれるのではないかと思っています。
編>>G2以降は、どのような機能が加えられるのでしょう?
RG:4点あります。品質を上げること。検索機能をよくすること。インフラを整えること。また、方向性としては今まで「放送」だったのですが、これからは「メディア配信」、デジタルディストリビューションをやらなければいけないということで、SONYなどと話を進めているところです。
編>>ありがとうございました。
*取材を終えて
最後の質問は「スケジュールが詰まってますので、この辺で」とのことで尻すぼみになってしまった。後で担当者に聞いたところ、実は「アキバに行く予定」とのこと。なお、Rob Glaser氏は「ダイエットコーク」がお気に入りのようだ。
('98/12/2)
[Reported by okiyama@impress.co.jp]