【イベントレポート】
■URL
http://www.javaexpo.zdevents.com/
POSシステムにもJava |
会期:12月8日~12月10日
会場:New York, Jacob K. Javits Convention Center
ニューヨークで12月8日から10日まで開催されたJavaテクノロジー関連の展示会「Java Business Expo」の会場では、多数の企業向けJavaアプリケーションやJava開発ツールが出展された。SunはJavaベースの消費者家電を展示して来場者の人気を集め、IBMやSybaseなどの大手各社は自社製品のJavaサポートを発表。Javaがいよいよ実用段階に来ていることを感じさせる展示会となった。
キオスクの中を開けると、 そこには「JavaStation」 |
Sunのブースは特別多くの来場者を集めていたが、とくにJavaベースのWebビデオ電話、Web電話、TVセットトップボックスなど消費者家電のコーナーに人気が集中した。これらには、小型デバイス用JavaOSの「PersonalJava」が搭載されている。Samsung製のWebビデオ電話は、ビデオ通話、電子メール送受信、Webサーフができるというものだが、VoIP(Voice over IP:IP電話)ではないのでインターネットにつながっているときには通話できない。
また、市場から消え去った感のあったJavaStationだが、キオスクの中に入って再デビューを果たした。この「NC Kiosk」を使えば、顧客はクレジットカードの支払いや、買い物リスト作成、表示されたカタログからの製品購入ができる。Sunでは、NCを使用することにより、何千台ものキオスクを一度にアップグレードすることができるとしている。Apunix、Open Business Systems、The Allied Groupなどがこれらのアプリケーション開発を行なっている。
「PersonalJava」搭載のSamsung製 Webビデオ電話 |
自動販売機に組み込まれた 「Java Embedded Server」 |
http://www.sun.com/software/embeddedserver/ (Java Embedded Server)
また、Sunの中心ブースから少し離れた別ブースでは、今年10月に発表されたばかりの「Java Embedded Server」を搭載したコカコーラの自動販売機やコーヒーメーカーなどが展示されていた。Java Embedded ServerはWindows CEなどの組込用OSに特化したサーバーソフトウエアで、たとえば温度調整や販売状況の確認などの限定した機能を提供する。これにより、たとえば遠隔地のPCブラウザから、コークの売れ具合をチェックすることもできる。同サーバーはSolarisやLinuxで動作し、デモではLinuxが使用されていた。
http://www.software.ibm.com/webservers/appserv/
(WebSphere Application Server)
http://www.sybase.com/products/easerver/
(Enterprise Application Server)
http://www.novell.com/press/archive/1998/12/pr98152.html
(Novell Developer Kit)
http://www.corel.com/jBridge/
(jBridge)
会期中、IBMやSybase、またNovellなどの大手各社は一斉にJavaサポートの発表を行ない、Javaへの支持を表明した。IBMはWebアプリケーションサーバー「WebSphere Application Server」の次バージョンを発表した。これには「Advanced Edition」と「Standard Edition Version 2.0」の2種類があり、前者には新機能としてEnterprise JavaBean (EJB) サポートが加えられている。今月末から出荷が開始される予定。
Sybaseでは、「PowerBuilder 7.0」のフィーチャーセット、「Enterprise Application Server(コードネーム:Vineyard)」を発表した。 同社はまた、「Adaptive Server Anywhere」のモバイル版「UltraLite」を開発しており、これにより顧客はページャーやPPCなどを通してオンラインバンキングができるようになるという。
また、Novellは、同社ネットワークに最適化されたJavaBeansを提供する「Novell Developer Kit」、CorelはJavaベースの接続テクノロジー「jBridge」を発表した。
http://www.slangsoft.com/code/suite.html
(SlangSuite 2.0)
http://www.zerog.com/ (Zero G
Software)
http://www.flashline.com/
(Flashline.com)
その他、「Java 2」のグローバル言語サポートの特性を活かしたソフトウエアも登場した。SlangSoftの電子メールソフト「SlangSuite 2.0」は、日本語をサポートしていないOS上でも日本語が使えるJavaベースのソフト。日本語以外にも、全部で41カ国語をサポートしている。
また、Zero G Softwareでは、Javaで書いたアプリケーションを自動的にUNIX、Windows、Solaris、Macなどのプラットフォーム用にコンパイルしてくれる「InstallAnywhere」を展示していた。これにより、アプリケーションを一度書けば、どのプラットフォームでも走らせることができるようになる。同社は、元Appleの社員2人で設立したスタートアップ(新興)企業で、同ソフトはJavaWorldの賞を2種類受賞している。
一方、今年9月からサービスを開始したFlashline.comは、JavaBeansや他のJavaソフトウェアコンポーネントのオンラインストア。KL GroupやKAIなども新たなJavaベンダーとして同社プログラムに参加している。
Javaアプリケーションは、現時点では企業向けがほとんどだが、Flashline.comのCharles Stack社長兼CEOは「今後は、消費者向けの製品が出てくる。これから数年後には、真の意味でのクロスプラットフォームのアプリケーションが多数登場することになる」と予測する。
('98/12/11)
[Reported by Hiroko Nagano, NY]