【連載】
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 ニュースや雑誌に頻繁に登場する国でも、その生活事情やIT事情は案外知られていないものです。あまりなじみのない国だったら、なおさらです。この連載では、世界各地にお住まいの方から、生活者の視点で見たインターネット事情や暮らしについてレポートします。

第6回 “コシが決め手”のケータイ事情 ~コスタリカ~

 こんにちは、コスタリカ在住の加瀬です。
 今回はコスタリカの携帯電話事情について話します。本当は「コスタリカの美人と巨乳ちゃん」について書きたいのですが、そればっかりだと担当さんにひっぱたかれそうなので、今回は少し真面目に行きたいと思います(笑)。

●回線確保は1年待ち!

イラスト・Nobuko Ide
 日本では各自1台が当たり前になってきた携帯電話。
 人によっては「仕事用、プライベート用、愛人用」などと分けて持っている携帯電話。
 しかしコスタリカでは、まだまだ一般庶民には“高値の花”……とまでは言いませんが、贅沢品の部類に入る携帯電話。
 現在のコスタリカでの“三種の神器”、ではありませんが、「自動車、PC、携帯電話」を持っていると、「おお!金持ってんな!」と言われます。ちょっと気持ちがよい携帯電話。

 そんな携帯電話ですが、現在のコスタリカでは、最新モデルで300ドル、少し前のモデルで120ドルくらいです。スーパーマーケットで働いている人の給料が月300ドルくらいですから、少し贅沢品ですね。メーカーはNOKIAやモトローラなどが多く見られます。街を歩くと販売している店を見かけますが、端末機は簡単に購入できますが、回線を確保するのが現時点で1年待ち(!)ですので、購入する際は気をつけて下さい。もちろん、iモードもなければPDAなんてものもありません。携帯電話を媒体として自分のPCから接続することも不可能です。

●携帯、どこに付けてます?

 では、コスタリカにおいて携帯電話がどのようなステイタスを持っているのか、ここで少々、説明いたしましょう。
 皆さんは日本で、携帯電話をどのように携帯していますか? 胸のポケットですか? 上着の内ポケットですか? ハンドバックやカバンの中ですか? ひょっとして首からぶら下げている?
 コスタリカ人男性は、99.99%が「腰につけています」。それも、これ見よがしにです。
 コスタリカの携帯電話使用料金というのは一般料金に比べてかなり高くなっています。そこで、公衆電話の前で携帯電話で話すのが、お金持ちのアホ行動の1つのようです。

 こういうシーンもありました。
 あれは海に言った時です。真っ青な空と海、どこまでも続く白い砂浜。カモメが飛び、やしの実がそびえたち、恋人達が手をつなぎ仲むつまじく散歩をしている、映画のシーンに出てきそうな風景。
 ふとみると、その砂浜を短パンをはいた、上半身裸の男性がジョギングしている。男の私からみても「かっちょいいな!」というタイプである。逞しく躍動する筋肉、綺麗に日焼けした小麦色の肌。しかし…………、腰には携帯電話。
 私のアタマにはさまざまな考えが浮かびました。
「なんでこの人は携帯電話を持ちながらジョギングしているのだろう?」
「もしかしたらスーパービジネスマンが、つかの間の休日を楽しみながら、それでも緊急の用事に対応しなければいけないための手段なのだろうか?」
「まさか、ただファッションの一環としてではあるまい、そうだとしたら、それは失敗しているぞ!」
 するとその彼は、私たちの数メートルで立ち止まり、携帯電話を手にしました! 私はワクワクしながら、彼がこのシチュエーションで、どうして携帯電話を持ち歩く必要があったのか、その用途は何のためなのかを知る絶好のチャンスと思い、彼の話に耳をダンボにしてかたむけました。
 その話の内容は、
「もうすぐ家に着くから、コーヒーいれておいてね」

「……お前はそれだけの為にこのシュチュエーションで携帯電話を持ち歩いてんのか!」と突っ込みを入れたくなるのは、私だけではないはず。

 こういう実例から、現在コスタリカにおいて携帯電話を持っているということが、どういうことだかおわかりになって頂けたと思います。因みに私は上記に上げた「自動車、PC、携帯電話」をすべて所有しています。はい、これは自慢です(笑)。しかし日本人相手には自慢になりませんね。てへっ。

某巨大スーパーの重役さんですが… 腰にしっかり、携帯電話 かっこいい彼も… やっぱり携帯は腰に。なぜでしょうね?

 もう1つ、携帯電話にまつわるアホ話を。
 中南米の“ある国”で(コスタリカではありません。その国の名誉のため、あえて“ある国”とします)、携帯電話で会話をしながらの自動車事故が多発していたので、法律で「運転中の携帯電話での会話を禁止」としました。イヤホンとマイクで話をする分には構わないそうですが。
 しかし、その法律を施行したにも関わらず、一向に事故が減らないので、警察は一斉に取締りをしました。すると、とても面白い統計が出てきました。
 なんと携帯電話を所持していた人の85%が、“おもちゃの電話”だったそうです。「ほれ!携帯電話だぞー!おらは金もってんぞー!」ということで、見栄を張りたかったのかどうか知りませんが、まあ、そんなところでしょう。

 しかし、おもちゃの携帯電話で、いったい何を話していたのでしょうね?
 きっと美人の巨乳ちゃんが傍を通ったら、わざとらしくおもむろに、おもちゃの携帯電話を取り出して、
「おお!俺だよ!うん!最近株で儲かっちゃってさぁー、今度はメルセデスベンツでも買おうと思っているんだよねぇー」
 なんて独り言を大きな声で言っていたのかなぁ?(笑)。

 そういうわけで、コスタリカの携帯電話事情をお送りしました。次回は「コスタリカでの漢字ブーム」についてお伝えいたします。それでは!

街の携帯電話ショップ ショーケースには本体やらカバーやらが詰まってます

◎執筆者紹介◎
カセ・カズキ  1973年生まれのO型、牡羊座。初めてのコスタリカ訪問は1995年、某電気会社の海外出張でした。その時からこの国に魅入られ、その後何度も旅行した後、1997年に退職してコスタリカに住みついてしまいました。大学生や某機関の事務員などを経て、現在は寿司を売りながら農場を経営している変わり者。妻と超可愛い男の子2人の4人家族です。
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 ◎次回はタイ在住の森田さんが登場します。お楽しみに!

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(2001/10/26)

[Reported by 加瀬和城]


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