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【連載】

 アウトバーン通信 ~独国的電網生活 

【編集部から】
 インターネットといえば、かつてはアメリカ独走の感がありましたが、最近ではヨーロッパやアジアなど、世界各国でインターネットが盛んに利用されています。この連載では、ドイツで暮らしているkajoさん・taogaさんのお二人が、現地の最新インターネット生活をレポートします。乞うご期待!

第1回 オンライン予約でヨーロッパを安く旅する方法 (by kajo)

【筆者・kajoさんのご挨拶】

 北ドイツのとある街に暮らし始めて3年が過ぎたが、この3年の間にインターネット事情は実に目まぐるしい変化を遂げている。来た当初は「ネットの接続料金コースのバリエーションが少なく、長時間使う者向けのサービスがない」「市内電話料金が高すぎる(日本のテレホーダイのようなサービスはない)」といった基本的なところから日本との違いを意識せざるを得ず、しかも割高感に辟易した。しかし、最近はそのどちらも日本のそれよりも安いサービスも登場し、一般への普及率もかなり高くなってきたような印象である。
 とにかく、何と言っても賢いドイツ語が話せない外国人の一人暮らしにとって、インターネットは実に頼もしい味方(逆にあるからこそドイツ語を使わずに生活できてしまい、コミュニケーションの機会は減少してしまったとも言えるが…)。この3年間も今も、常に欠かせないアイテムであり続けるインターネットをドイツでどう利用してきているのか、ドイツ人の動向をチェックしながら、レポートしていきたい。

■Webサイトで格安チケット獲得!


イラスト・Nobuko Ide
 北ドイツには、今年は本格的な夏は訪れなかった。5~8月に数日30度を越えた日があったにはあったが、あまりに断片的で短すぎた。ちなみに南ドイツは8月は特に天候に恵まれた真夏日続きで、なんとも不思議な南と北の違いを感じたものだ。
 夏でさえこうだから、ドイツ人は、とにかく太陽を渇望する気持ちが異常に強い。そうでなくても日が短い冬の長さは気が滅入るのだ。夏くらい、思いきり太陽を浴びてはしゃぎたいのだ! だから、夏はとにかく南へ行ってバカンス。今も一番人気はスペインのマヨルカ島(マジョルカ島)であるらしい(いわば日本にとってのハワイのようなところで、ドイツ語が通じる)。そしてもちろん、暑い夏を満喫できる地域への各種格安のパッケージツアーも盛りだくさん。
 そこに今年あたりから特に普及してきたのが、オンライン予約である。旅行代理店は「インターネットだけの特別料金」を用意するところも少なくない。これまで代理店に依頼していたものを、自らオンラインで空き状況や料金をチェックし、予約・購入が可能になっている。それぞれのサイトには「この夏の特別料金」が花盛りで、中でもスペインやギリシャあたりのパッケージ旅行は充実した品揃えだった。

 かくいう私は、この夏の初め、人づてに「ハンブルク=ロンドン往復が、ネットで予約すると、空港税込みでたったの100マルク(筆者注:1マルク=50円換算だとわずか5,000円)のチケットを入手した」という驚きの情報を耳にし、早速自分でも探してみた。地域色の濃い代理店であっても、チケット検索・購入システムは大手と共通のものを利用しているところが多く、検索結果には幾つかのパターンがあることが判明。オンラインで購入するにあたり、万が一の時の保証が欲しかったので、結局大手の代理店によるサービスを利用することにした。きっとバカ安チケットはそういうところでは見つからないのだろうけど、トラブルに巻き込まれたら面倒だ(言葉の障害を含めて)。

 というわけで、数あるサイトの中から私が利用することにしたのは、「expedia.de」。ここで税込み184マルクのロンドン往復航空券を購入した。100マルクにはかなわなかったが、ネット予約を知らない人には、これでも充分自慢できる値段だった! 生まれて初めて航空券をネットで購入(代金はクレジットカード決済)したことには多少不安があったのだが、航空券は予約した夜の翌々日には郵便で届き、実際に搭乗した際にも何の問題も起こらなかった(いったい何を心配していたんだ?)。誰とも話さずに手に入れた航空券は、無事にその役目を果たしてくれたのだ(笑)。
 ちなみにこの「expedia.de」では、航空券のみならず、パッケージ・ツアー、ホテル、レンタカーなど、旅行代理店がカバーすべきサービスはすべて含まれている。他にもヨーロッパほぼ全域の言語をカバーしている「ebookers.com」もあり、他のサイトでは売り切れになっていた格安チケットがまた残されていたりと、押さえの強いところを窺わせている。ただし、ページ全体が重いのがちょっといただけないかも。

■インターネットと鉄道は相性抜群


 さて、旅行といえば何も飛行機だけではなく、ヨーロッパは電車も有効な交通手段。今や老舗とも言えるドイッチェ・バーン(ドイツ鉄道)のWebサイトによる検索システムは、試しに覗いたオランダフランスのそれよりも得られる情報が詳細で、使える優れモノだ。出発地、目的地を入力すると、一番速い接続のみならずエコノミーな接続状況も明示してくれるし、細かな条件検索も可能(ドイツ以外もOK)で、チケットを予約・購入することもできる。このシステムは、実際にドイッチェ・バーンの窓口で購入する際のシステムと同じだそうである。
ハンブルグの風景  「電話で問い合わせても必ずしも正しい答えが得られるとは限らないので、ネットで検索したほうがずっとまし」と、とあるドイツ人は語っていたが、いつも混んでいる窓口のあの列に並ぶ必要もなく、自分で必要な情報を入手できるのは、やはり有り難いシステムである。特にドイツ国内やその近郊への旅行の際には、私は必ず利用する重宝しているサイトなのだ。発着時刻と番線、乗り継ぎ・通過駅の情報等、必要な情報は総てプリントアウトして、万全の状態で電車旅行するのがもはや恒例。

 また、今年になって、ネットによる予約のみの特別料金サービス「Surf&Rail」も始まった。全53都市を結ぶ332路線が通常の半額程度(要予約/70マルク~198マルク)で使え、目的地がうまくこれに当てはまる場合は、何とも有り難いサービスとなる。しかも使える電車は、ドイツが誇るICE(インター・シティ・エクスプレス)。ちなみにチケットはプリントアウトしたものが有効、予約は出発日の40日前から。ICE料金は決して安くはないので、これはなかなか画期的なサービスなのだ。もっとも、この夏、利用しようとアクセスしてみたら、以前記憶していたものよりコースが大幅に減らされていて(それとも錯覚だろうか)、結局何の役にも立たなかったのだが。「安さを自慢する」倹約家のドイツ人だけに、このサービスに若い世代が殺到して、一部のサービスを減らしたのではないかと、私は勝手に推測している。ともあれ、もっとコースを増やしてほしい! 

■オンライン予約の旅は続く


 現在は、アムステルダム往復の安い交通手段を模索中。ネットで安い航空券を検索して空き状況をチェックし、かつ今回はいくつかの代理店にメールで個別に問い合わせもし、はたまたドイッチェ・バーンのサイトで鉄道料金の安いものはないかと探してもいる。ただ残念なことに、ドイッチェ・バーンのサイトでは、ドイツ国外の接続の際の料金は分からないので、今回は窓口で問い合わせてみなければ(一部ヨーロッパ特別料金の情報は掲載されている)。でも、恐らくは、アムス往復に関しても、ネット予約(航空券)が一番安くなるのでは、と見ているところだ。

 最後に、ドイツの町の情報を入手したい人は、「www.町の名前.de」を試してみると良い。そして大抵そこには地図やらホテル情報も満載されているだろう。ガイドブックには載っていない、リアルタイムなイベント情報もあるだろうし、ホテルの予約も可能なところもある。そう、ホテルに関してもネット予約は特別割引になっているところもあるので、是非チェックしてみることをお勧めしたい。

(2000/10/27)

[Reported by kajo]

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