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【連載】

ホームページ安全講座


第2回:情報の扱い方

●どんな「情報」が問題?

 連載の第1回で、「情報は凶器だ」と書きましたが、今回は実際にどういう情報が問題になるのかについてふれてみたいと思います。  いくつか考えられますが、まず、一番問題となるのは、他人のプライベートに関する情報を書くことです。自分についてのプライベートなことを、勝手に掲示板やページに書込まれたら、やはり嫌な気持ちになるでしょう。それは友達や知り合いだけではなく、タレントや有名人の場合でも同じことです。本人が自分の意志で公表していることならともかく、メールなどで知り得た情報を相手の了解を得ずに書込むことは、相手とのトラブルになる可能性が高いのです。

 また、口コミでひそかに回っている「裏情報」のようなものもトラブルのもとです。ふだんの生活の中でも口コミ情報は回ってくるものですが、友達とのやりとりの範囲とインターネットでホームページや掲示板など誰でも見られる場所に書込む場合とでは、情報伝達の規模が違います。口コミであればまだ1人→数人のレベルですが、インターネットを介すると、1人→数千人と口コミよりはるかに大きく速く情報が伝わってしまうのです。 同様に、根拠のない「噂」も気をつけたいものです。インターネットでは、本当の話とともに「デマ」もかなり流れます。噂の伝播速度もかなり速く、しかも内容が不正確なことが多いので、自分が聞き込んだ「噂」がいつの間にか「デマ」となってしまうこともあります。「噂」を「デマ」にしないためにも、怪しげな話は聞いてもむやみにメールで転送したり、掲示板に書込みしたりしないことです。  内部情報もトラブルのもとです。たとえば、こんなケースがあります。Bさんは、ある舞台に、タレントAさんの出演が決まったという話を、正式発表前に掲示板へ書込みました。Bさんは関係者と友達で、関係者がファンであるBさんにこっそりと教えてあげたのです。ここまでならよくある話ですが、Bさんは、よく訪れる公開されている掲示板にそのことを書込みました。すると、その話が一斉に広がってしまい、舞台が行なわれる劇場にファンの人からの問い合せが殺到してしまいました。情報が広がった原因がその掲示板の書込みだとわかり、劇場は誰がもらしたかを内部調査しました。Bさんは、関係者である友達にも多大な迷惑をかけることになってしまったのです。

 今回のことに限らず、企業側は宣伝効果を大きくするために発表のタイミングをみてたり、問い合せに対応するための準備期間などを必要とします。ですから、正式発表までは掲示板に書込みしたり、ホームページに載せないでおきましょう。よく問題になるのが、窓口の担当者は問い合せに答えてくれたのに、実は正式発表前だった、というケースです。トラブルを起こさないためには、その情報を聞いたときに「情報をインターネットに掲載してもいいですか? かなりたくさんの方がみると思うのですが…」と、確認しておきましょう。また、地域ローカルの情報の扱いにも気をつけた方がよいでしょう。ある店でグッズを配っているのを見た人が掲示板に書込み、その店に問い合せの電話が殺到して、通常の業務が行なえなくなってしまったケースがあります。店に寄る人だけが知っていればいいことを全国規模で広めてしまうことにより、対応できなくなってしまうこともあるのです。

●「情報」は鵜呑みにしない

 このほかにも、注意が必要なケースはたくさんあります。ひとつ覚えておいた方がいいのは、「掲示板やメールで情報をくれる人の中には、嫌がらせ目的で嘘の情報を教える人もいる」ということです。特にIPアドレスが匿名サーバーの場合は、要注意です。これは経験ですが、IPアドレスが匿名の海外サーバーですと、さらに嘘の可能性が高くなる気がします。また、意図的に嘘を教えたわけではなくても、その人の勘違いなどで結果的に「嘘」となることもあります。聞いたことをそのまま鵜呑みにするのは危険です。情報は、確認作業が必要であることを覚えておきましょう。

 そうはいっても、すべての情報を確認するのは、大変ですし、ものによっては不可能です。私の場合は、情報に「信憑性」、「重要度」、「危険度」3つのパラメータをつけて判断していました。  「信憑性」は文字どおり、その情報の正しさがどの程度かを表すものです。情報源が明記してあって、それの確認を自分でもできれば信憑性は非常に高くなります。情報源の確かさや、情報の妥当性(実際ありえる話かどうかなど)、また複数の同じ情報があれば信憑性が高くなります。ただし、同じデマが回り回ったせいで、別の人が同じ情報について知らせてくることもありますし、意図的に別人になりすまして同じ嘘の情報を書く場合もあるので注意が必要です。  「重要度」は、文字どおり、どのくらいその話が重要かということです。「危険度」は、その情報が嘘であればどれだけの人に被害を与えるか、もしくは公開するだけで誰かの迷惑になるか…などを表すものです。そこで、危険度が高いものについては、基本的に確認をとるようにします。確認がとれない場合は、重要度と信憑性の総合判断で、載せるメリットと載せたときの危険性を考えて書くようにします(その場合は、実際と違う可能性もあるので自分で確認するよう、付記しておきます)。問題のある情報が掲示板に載った時、私の場合は削除して、「噂を載せないでください」などの注意書きをしていました。  掲示板などで情報を集めるのであれば、上記のことを踏まえて注意書きをしておいた方がよいと思います。参考として、私がジャニーズ系のファンサイトを設置していたときの掲示板の注意書きは、ここです。改変もそのままの利用も自由ですので、必要のある方は利用してください。

 個人的な体験では、「怪文書」に巻き込まれそうになったことがあります。あるコンサートの開催を巡ったトラブルで、イベンターの関係者から、会場管理者が一方的に契約を破棄したかのような内容のメールが届き、「ホームページにのせてください」と但し書きがしてありました。そのときはその内容をいぶかしく思い、会場管理者側に電話で問い合せしたところ、そのイベンター側のやり方に実際問題があったことがわかりました。この件は色々なページにも情報が載ってたのですが、中にはイベンターから聞いた話をそのまま鵜呑みにして書込みしていたページがあったのです。それらの間違い情報がネットを通じて「正しい情報」として流通するのが怖かったので、私は自分なりに調べたことをまとめてページに掲載しました。この時は自分で問い合せをしたのでトラブルに巻き込まれることはありませんでしたが、ファンの作成したホームページを自分の都合のいいように利用しようとする人もこれからでてくると思います。それらのことにも注意された方がいいと思います。  次回は、インターネットの危険性と、危険を避けるための基礎知識についてお送りします。

(99年8月18日)

[Reported by 麻弥]


バックナンバー

第1回:インターネットは夢のメディアか?(8月11日)

第3回:インターネットの危険性(8月25日)

第4回:自由と責任('99/9/1)

第5回:引用とリンクのしかた(9月1日)

第6回:IPアドレスとリモートホストについて(9月22日)

第7回:掲示板の安全について(9月29日)

第8回:掲示板の運営方法(10月6日)

第9回:気をつけたい著作権(10月13日)


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