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【連載】

ホームページ安全講座


第9回 気をつけたい著作権

 ホームページを運営していく上で絶対に避けて通れないのは、「著作権」です。「著作権法」を簡単にいうと、「文章、絵、音楽、その他の作品」を作った人(著作権者といいます)の権利を守るもので、著作権者に無断で作品をコピーしたり、二次使用(マンガを小説化するなど)したりしてはいけない、というものです。
 誰だって、自分が苦労して作成したものを他の人に勝手に利用されたら嬉しくないと思うんです。著作権法はそういう著作権者の権利を守るための法律です。

 ホームページと著作権については、未だ論争があって難しいものですが、ひとつはっきりといえるのは、ホームページを開設していて、サーチエンジンに登録したり、どこからかリンクしている以上は、「個人でやってるからいいんだもん」とは言えないということです。著作権法の改正により、ホームページを設置しているだけで、「不特定多数に公開している」とみなされるようになりました。

 著作権については非常に奥が深く、難しい問題を含んでいますが、関連ページも多数作成されていますのでそれらを参考にしてください。私からは二つほど参考ページをあげておきます。

・ネットワーク時代の知的所有権入門
http://www.imasy.or.jp/~ume/copyright-ml/inetmag/

・社団法人 著作権情報センター
http://www.cric.or.jp/

詳しいことはこれらのページに任せるとして、とりあえず押さえておきたい、よく初心者が間違いを起こしやすいことを列記していきます。

(1)人の文章を勝手に使わない。
 「この本、役に立つ情報がのってるから使っちゃえ」、「このページの文章おもしろいからうちのページに載せよう」というように、人の書いた文章を著作権者に無断で使うのは著作権を侵害しています。「だったら、文章をちょっといじれば大丈夫?」いえいえそんなことはありません。それも元の文章を流用していることが明らかな場合は、侵害になる可能性が高いのです。自分のページに何かの資料を用いる場合は注意しましょう。事実そのものには著作権はありませんから、知識を完全に自分の物にした上で、1から文章を作ることです。また、一つ一つは事実であるものでも、それをまとめたデータベースのようなものをそのまま流用するのは問題となります。
 よくある間違いとして新聞や雑誌の記事をそのまま文章として書き写すのは著作権侵害です。また、画像として新聞をスキャナで取り込むのも当然ダメです。

(2)人の書いた絵や写真を勝手に使わない。
 文章と同様に、人の書いた絵や写真も勝手に自分のページに載せないことです。絵や写真も著作物ですから、著作権者に無断で使用することはできません。雑誌の写真やイラストをスキャナでとりこんで載せることも著作権法違反です。
 ホームページに載っている画像や写真も同様です。ただし、「素材集」として自由に使える画像などを公表しているページもあります。その場合はその画像を自分のページでも使えます。この場合も、使用条件などが書いてあると思いますので、それらをよく読む必要があります。

(3)人の書いた曲を勝手に載せたり、詞を載せたりしない。
 市販のCDを無断でMP3ファイルにしてホームページで公開するのは、犯罪です。実際、逮捕された人がいます。絶対にやめておきましょう。人の書いた曲をMIDIファイルにしたり、「着メロ」にして自分のページに載せるのはたとえ少しだけでも問題となります。
ちなみに歌詞に関しては、JASRAC(日本音楽著作権協会)のページを参考にしていただきたいのですが、正当な引用(著作権者と出典を表記し、批評のために適正な量を引用)であればかまわないですが、単なる使用を無許可で行なうのは問題になる可能性があります。歌詞の扱いは文章よりも気を使った方がよいです。

(4)著作権違反を行なう書込みをしない。
 実は、「ビデオテープをダビングします」や「コピーしてあげます」というのは著作権法違反となります。市販のビデオはもちろんのこと、テレビ番組関係も、テレビ局に著作権があるのでかなりまずいです。こういうことは、表立ってやらない方がいいでしょう。ビデオの貸し借りも、ビデオテープは簡単にコピーがとれるので、まずいことになります。このあたりは難しいのですが、少なくとも市販のビデオと、有料放送のビデオだけは金銭が絡むだけに、絶対にやめておいた方がいいです。過去に、ネットで、あるアーティストのビデオテープをダビング販売していた人が逮捕されたこともあるのです。

(5)元の作品に手を加えたり、パロディをすることは?
 これはかなり微妙な問題です。著作権には、「翻案権」というのがありまして、オリジナルに手を加えて別の創作物を作ることを許可する権利が著作権者にはあるのです。「著作権について〜マンガとの関係〜」に詳しいのでそちらを見てほしいのですが、マンガを元にパロディ小説を作成する、写真とそっくりのイラストを書く、ドラマのパロディストーリーを書く、など、要するにオリジナルに手を加えたものを作ることは二次的著作物となります。こういうのも個人の趣味ならかまいませんが、「個人の趣味」の範囲というのは、自分で作ったものを親しい友達だけに見せる程度のことで、ホームページが誰にでも見られる状態になっている(どこからかリンクしている)場合は「個人の趣味」とは言い切れなくなっています。
 原著作物の無断使用などに比べると危険度は少ないですし、商用利用してないかぎり(商用はかなりまずいです)はそれほど問題になることはありませんが(大抵は著作権者に黙認されていることが多いです)、これらのことは覚えておいた方がよいと思います。
 実際、アニメ系では著作権を持つ制作会社がファン制作のホームページに規制を加えだしている動きもあります。

 で、実際に著作権違反をするとどういうことになるかといいますと、著作権自体は「親告罪」といって、被害を受けた人が訴えない限りは罪にはなりません。でももし訴えられたとき、あなたは対応できますか? また、最近は刑事事件として処理されることも多くなってきています。それらのことに対処する覚悟がないならば、トラブルに巻き込まれる危険を減らすために、著作権侵害をしない方がよいでしょう。

 著作権とは違いますが、アイドル系のページでよく問題になるのは「肖像権」です。「肖像権」というのは誰でも持っている権利で、一般の人がむやみに自分の写真や名前などを公表されて、嫌な思いをしないようにするための権利です。ですから、友達の写真を無断でホームページに載せるのも肖像権の侵害となります。必ず許可をとってからにしましょう(それ以前にむやみに顔写真をページに載せるのは、危険な側面もあるのですが…)。
 さらにタレントさんの写真の場合、雑誌などに載っている写真をスキャナでとりこんで載せるのは、著作権法違反でもありますが、肖像権も侵害しています。自分がとったタレントさんの写真の場合は、著作権は自分にあるので問題はありませんが、肖像権はタレントさんのものですので、無断でのせるとやはり問題となります。タレントさんの場合は、自分の顔写真や名前を使うことによって利益を得ているわけですから、無断使用されると困るわけですね。このあたりが「パブリシティ権」というもので、タレントさんが自分の写真などを特定の企業などに独占的に使わせる権利があるのです。
 ですから、写真をそのままのせてしまうのは、著作権・肖像権・パブリシティ権などに抵触するので、かなり問題となる可能性があります。
 ただし、あまり有名ではないタレントさんの場合は、事務所が写真をページに載せることを許可しているところもあります。その写真が人目に触れることで宣伝になると判断してのことです。ところが、かなり有名なタレントさんや、大手の芸能事務所の場合は、個人にそれらを許可することはまずありません。たとえばジャニーズ事務所の場合は、正式に契約したオフィシャル企業以外に写真の掲載許可を与えることは絶対にありません。テレビ局やCMに出演している企業のページ以外でのジャニーズタレントの写真は、著作権などを侵害しているとみてまず間違いないでしょう。ですから、基本的にはタレントさんの写真は載せない方がよいです。相手がマイナーなタレントさんや、小さな芸能事務所にいる場合は許可してくれる可能性がありますので、問い合せてみましょう。どちらにしても無断で載せるのは問題です。
 また、微妙な問題なのが、タレントさんをモデルにオリジナルイラストにした場合です。この場合も、肖像権やパブリシティ権には多少は抵触するのですが、実際には商用利用(店の宣伝に利用する、グッズを作って販売する)しない限りは、黙認されていることがほとんどです。ただ、あまりに露骨に商用利用しているようなところがあれば、すべてのホームページでのイラスト利用なども制限されるようなこともありえます。利用する側も、相手の好意で黙認されているだけということを理解して、謙虚に利用する気持ちが大切なのではないのでしょうか。

 また、タレントのグループ名、商品のロゴデザインなどを利用する場合も、注意が必要です。ロゴは商標登録されている可能性が高いです。ロゴは一切使えないわけではありませんが、例えばロゴを使うことで、オフィシャルサイトであるかのように見せる(見える)など、商標の本質的な機能を害する使用はできません。使い方には十分注意しましょう。

 最後に権利関係とは少々ニュアンスが違いますが、よく問題になる「名誉毀損」についてお話します。このあたりもかなりややこしい話で、詳しいことになると本一冊ほどになるほどです。簡単にお話しますと、相手の「名誉」を「貶める」ようなことがあった場合、裁判所に訴えられてしまうこともあるわけです。「根も葉もない嘘を書かれた」とタレントさんがマスコミを訴えている話はよく聞くと思うのですが、パソコン通信やインターネットでのやりとりを通じての「名誉毀損」事件というのも結構増えてきています。「事実」であれば問題ないと誤解されますが、実は「事実」であっても、場合によっては名誉毀損になるわけです。
 好き放題言ってたら突然「名誉毀損で訴えるぞ」と言われてしまう可能性があるわけです。そうならないためには、また訴えられても負けないためには、「悪口」にならずに正しい「批判」になるように気をつけることです。正当な「批判」であれば、まず負けることはありません。無関係に相手の人格攻撃をするのはやめておいた方がいいでしょうし、使う言葉などもちゃんと選ぶようにした方がいいと思います。一番簡単なのは、悪口関係は書かないことですね。
 問題は悪口だけではなく、たとえばタレントさんをモデルにした「妄想」でも、内容によっては「名誉毀損」になりかねないわけです。特に性的なものは、問題ではないかと思います。例えば、コミックマーケットのようなイベントでやりとりされる「同人誌」には、かなり奔放な妄想が描かれている作品もあります。そちらで作品を作っていた人がインターネット上で同じような作品を発表されることがありますが、これはかなり大きな問題を含んでいます。
 同人誌の世界においては、書く人も買う人も特定少数の閉じられた関係の中ですから、外部の人が目を通すことはほとんどありません。それゆえ、黙認されていることが多いのです(最近は少数とは言えなくなってますが)。
 ところが、インターネットにおいては、文字どおり「誰が見るかわかりません」。タレントさん本人や、家族、関係者が目にする可能性が高いのです。本人が目にして不愉快になる可能性があるものは、誰でもみれる場所においておくべきではないと、私は思います。同じ趣味の人同士、ひっそりと楽しみたいのであれば、メールでPASSWORDやURLを問い合せるシステムにするべきではないでしょうか?

 ついでに。相手の会社をなんの根拠もなく「倒産する」、「危ない」などと書いて、相手の経済的な信用を貶める「信用毀損」だけは何があってもやめた方がよいでしょう。これがデマに発展して、なんらかの被害がでた場合、どんなことになるかわかりません。

 これらの権利の行使に関しては、権利者によって違います。非常に厳しいところもあれば、ほとんどを黙認しているところもあります。一般の利用者が目に余るような利用(著作物の無断使用)を続けていたせいで、やむをえなく規制に入った企業もあるのです。

 色々と堅苦しいことを書きました。タレントさんのファンサイトや、他の著作権物をテーマにホームページを作成する場合、なんらかの形で他人の権利を侵害してまうことがあります。大切なのは、その中でも何は絶対やってはいけなくて、どういうことがどの程度まずいのかを知っておくこと、そして権利者が黙認することによってページが成立しているのであるということを理解し、謙虚に利用することではないかと思います。
 特に、二次的著作物のように、他人に権利があるのに、自分の著作権を主張するのはみっともないのでやめた方がよいでしょう。

 この項目は、私の調べた範囲での知識をまとめたものでありますが、私自身は法律の専門家ではありません。ホームページを運営する上で、少しでも法律上の問題で疑問に思うことは、まず調べてから実行するようにしましょう。

(99年10月13日)

[Reported by 麻弥]


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第2回:情報の扱い方(8月18日)

第3回:インターネットの危険性(8月25日)

第4回:自由と責任(9月1日)

第5回:引用とリンクのしかた(9月8日)

第6回:IPアドレスとリモートホストについて(9月22日)

第7回:掲示板の安全について(9月29日)

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