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【連載】

電子メールマガジンの作り方




第3回:人気のある「メールマガジン」を作る秘訣

 過去2回の連載では、無料で利用できる7つのメールマガジン発行支援サービスについて、その特徴などを詳しく見てきました。
 これで、発行するために必要なシステムはご理解いただけたと思います。しかし、情報発信をする上で一番重要なのは、やはり中身です。気軽に始めるのもひとつの手ですが、どうせやるなら、ちょっと考えてから走り出してみてもいいのではないでしょうか。
 今回は、テーマの決め方と、人気のあるコンテンツの秘訣を考えてみたいと思います。

●メールマガジンで扱う「テーマ」を決めよう!

 メールマガジンを発行するにあたって、テーマの決め方は、大きく分けて2つあると思います。ひとつは、ある程度やってみたいテーマ(得意なものとか、最近気になるもの)があって発行を決意する場合。もうひとつは、先に人気のあるテーマを探し、その傾向から自分が作りたいものを作る場合です。

 人気のあるメールマガジンのジャンル傾向としては、ニュース関連、英語の講座などの実用的なものに加えて、アダルト、出会い系のものもやはり人気があるようです。しかし、人気のあるテーマを扱えば読者が増えるというわけではありません。というのも、メールマガジンの長所である「低コスト」は、裏返せば「ライバルが新たに参入してくる可能性が高い」ということです。人気のあるテーマを扱う場合は、やはりライバルが多いわけですから、一工夫も二工夫も必要になってきます。

 例えば、まぐまぐの読者数ランキングBEST10に、3つも顔を出す人気テーマである「英語」を扱ったメールマガジンは、まぐまぐだけでも166誌以上あります。しかし、読者はそう何誌も読めませんから、読んでもらえるように努力しなくては埋もれてしまいます。また、「ニュース」を扱ったものも多数出現しています。しかし、新聞社や出版社もニュースを扱ったメールマガジンをどんどん投入してきている現在、個人がそれに太刀打ちするにはかなりの努力が必要です。もっとも、企業も含めて競争者がたくさんいる中で切磋琢磨することは、従来の紙メディアなどではあり得なかったことであり、大変興味深いことだと思います。

 一方で、それほど万人受けしないテーマであっても、読者が増えないわけではありません。日本で電子メールを使える人は、全人口の1割を突破しています。千人に1人しか興味を持たないようなマイナーなテーマであっても、訴求可能人数は1万人以上いるのです。1回目でお話したとおり、私のメールマガジンのテーマは、「切手集め」です。少々マイナーなテーマですが、試行錯誤の結果、15,000人の購読者を抱えるまでに成長しています。どう試行錯誤したかについては、次号以降で詳しくお話ししますが、新規読者を集めるためのプロモーションと、既存読者を飽きさせないためのコンテンツの充実の2つが柱になります。

 まぁ人生は一度きりです。昔から自分がやりたいと思っているテーマがあるのであれば、それをテーマにメールマガジンを出して、一人でも多くの人に楽しんでもらえるように努力をしてみてはいかがでしょうか。それがメジャーテーマであろうとマイナーテーマであろうと、努力のし甲斐はあるはずです。

●人気のある「メールマガジン」の秘訣を探る

 さて、人気のあるメールマガジンの秘訣は、どんなところにあるのでしょうか。今回は、購読者数の多いメールマガジンの発行者の方に、「どうしてうまくいったと思うか?」を聞いてみることにしました。どうやらポイントは、大きく分けて、定期刊行の約束を守ること、読者とのコミュニケーションを重視、Webの利用、コンテンツに自信を持つこと、4つに分けられそうです。各発行者の方のコメントをじっくりご覧ください。

ポイント1:定期刊行の約束を守る




 毎週木曜日に刊行し、すでに3年間この調子で発行を続けています。『継続は力成り』です。
(英語/英会話を自分の物にするための情報発信・吉田半次さん)


 無料のメールマガジンとはいえ、メディアであるという自覚を持って発行しています。個人ベースや任意団体が発行しているメールマガジンの場合、やはり甘えみたいなものがあるのか、発行日が1日遅れたり、突然一時休刊したりというようなことが多いと思います。メディアという自覚を持ち、自分たちの発行するもの、記事にするものがどういう形であれ、読者に影響を与えているのだという認識をもって運営するよう心がけています。

(DragonField Internet NOW!・木村祥一郎さん)


 2年前の6月にホームページを開設して以来、雨の日も風の日も、2泊3日九州出張の日も1日も欠かかさず更新し続けています。

(Chance It!メーリングサービス・辻誠さん)

ポイント2:読者とのコミュニケーションを重視




 購読申込や投稿も含めて週にいただくメールの数は、1千通を超えます。これらすべてに関してできる限り丁寧にお返事をさせていただいています。
                         (FIRST NEWS 波木井卓さん)

 読者からのメールには、その日のうちに返答をしています。読者の声もメールマガジンに掲載しています。固定客の読者を形成する上で、質の良い、読者を引き付ける上で読者との交流は、一番大切にしています。
 また、Writing能力をつけるには、毎日英文を書く習慣を築く必要があります。英語で日記を付ける事が一番やりやすい方法です。それを自分が実践し教えています。同時に、自分が書いた日記を他の人に読んでもらうための発表する機会をメーリングリストで提供しています。

(英語/英会話を自分の物にするための情報発信・吉田半次さん)


 週刊メールフレンドに関する質問のメールは、だいたい週に100通以下程度なので、ほとんどすべてにお返事をさせていただいてます。

      (週刊メールフレンド・正成さん)


 Internet NOW!では、定期的に読者アンケートを実施し、読者の声を最大限誌面に取り入れていこうと考えています。前回のアンケートでは「コラム」が欲しいといった要望や、また「Subjectにトップ記事の見出しを掲載してほしい」という要望が多数あがったので、どちらも早速サービスに取り込みました。

(DragonField Internet NOW!・木村祥一郎さん)


 読者の意見、スポンサーの意見を取り入れながら、より楽しく、より使いやすく(読みやすく)、そしてより多くの人に喜ばれるように、常にシステムやコンテンツの改良を行なっています。

(Chance It!メーリングサービス・辻 誠さん)

ポイント3:ホームページにバックナンバーを用意




 WWWにはバックナンバーを置き、メールが届かなかった人や読んだことのない人に公開しています。
(FIRST NEWS 波木井卓さん)


 Internet NOW!のコンセプトは「メールのみで」必要な情報を得られるところにあるので、メールでは見出しだけが送られ、記事本文はホームページで読むといった形での連動はしていません。
 しかし、ホームページの重要性を無視しているわけではなく、必ず配信したメール内容は配信と同時にホームページでも公開するようにしています。

(DragonField Internet NOW!・木村祥一郎さん)

ポイント4:何よりもコンテンツに自信を持っている




 メールマガジンで紹介している英語/英会話の勉強法は、私の体験から生み出されたものです。楽して英語を勉強する人向きではなく、苦労して確実に英語を物にする人向きの勉強方法です。すでに、この方法で英語を物にした読者が増えてきています。
 また、私はPaperback(洋書)を自分が読み、その内容をメールマガジンで紹介しています。本当のReading Abilityがないとこれはできません。何をしたら良いかの助言もできないので、勉強方法も教えられません。
(英語/英会話を自分の物にするための情報発信・吉田半次さん)


 厳選した情報を、どこよりも早く、どこよりも大量に掲載するよう心がけています。平日は、投稿されたプレゼント情報は、当日の26時頃までに掲載を行なっています。全件サイト内容を確認して、うさんくさい情報や過去にトラブルのあった情報を排除するなど、信頼できる情報、読者のためになる情報のみを掲載しています。

(Chance It!メーリングサービス・辻誠さん)

<<インタビューにご協力くださった6誌>>


誌名  :Chance It!メーリングサービス
テーマ :懸賞情報
発行部数:158,000部
配送方法:クリックインカム

誌名  :週刊メールフレンド
テーマ :メールフレンドを求める人の情報を掲載
発行部数:69,535 部
配送方法:まぐまぐ

誌名  :DragonField Internet NOW!
テーマ :インターネットニュース
発行部数:61,000部
配送方法:自社システム

誌名  :FIRSTNEWS
テーマ :投稿によるホームページ紹介
発行部数:61,137部
配送方法:自社システム

誌名  :英語/英会話を自分の物にするための情報発信
テーマ :英語
発行部数:33,000部
配送方法:パブジーン、まぐまぐ、マッキー、ココデメール、クリックインカム、ティアラオンライン

●「メールマガジン」発行部数ランキングを知る方法

 「購読者が少ない」と「人気がない」は必ずしもイコールではありません。また、読者数がメールマガジンの「よしあし」を決めるわけでもないと思います。とはいっても、購読者数は人気を図る上で重要な目安となります。
 「まぐまぐランキング200」によれば、約7,500誌のメールマガジンの登録があるうち、2,000部以上の読者を擁するメールマガジンは700誌弱しかありません。さらに10,000人以上読者のいるメールマガジンは、66誌に限られます。ライバルとなる、多くの情報発信者の活躍の状況を見ておくのもいい勉強になるでしょう。

 メールマガジンの発行部数に関するランキングは、メールマガジン発行システムの運営会社や、第三者による調査等がWWW上で掲載されています。
 なお、独自配送システムを持っている運営者が発行しているメールマガジンは、これらのランキングの中に顔を出しません。また、複数の配送システムを使っているメールマガジンの場合には、それらの合計値が発行部数になります。この点はご注意ください。

※メールマガジン発行支援会社の提供ランキングについては、第10位の発行部数が1,000部以上のもののみ掲載しました。

まぐまぐウィークリーランキング
まぐまぐを使って配信されているメールマガジンについてのランキング。第10位のメールマガジンの発行部数は、約30,000部に達しています。

CLICK INCOME 発行部数順メールマガジン一覧
CLICK INCOMEを使って配信されているメールマガジンについてのランキング。第10位のメールマガジンの発行部数が約20,000部です。

Macky!: 人気メールマガジンTOP10
マッキーを使って配信されているメールマガジンについてのランキング。第10位のメールマガジンの発行部数が約2,000部です。

パブジーン ランキング TOP100
パブジーンを使って配信されているメールマガジンについてのランキング。第10位のメールマガジンの発行部数が約2,000部です。

まぐまぐランキング200
SelfbizNewsにより提供されています。まぐまぐに登録されているメールマガジンで、2,000人以上読者がいて、その上で実際に刊行されているものについて、一覧が掲載されています。

●法的な観点にはくれぐれも注意しよう

 メルマガジンがスタートしたばかりの頃に比べると、個人が発行するものといえど、メールマガジンの力・影響力は格段に大きくなってきています。ということは、同時に社会に対する影響もバランスをとって考えなければならない時期に来ていると思います。
 アダルト、薬などについては特に法律を意識したコンテンツ作成が求められます。また、著作権やプライバシーに関しても十分な配慮が必要です。こういった点については、世間一般でダメと言われていることは、やはりメールマガジンでもダメです。あくまで発行者の自己責任の元、発行すべきものですのでご注意ください。

 次回は、電子メールマガジンの発行の実際の業務についてお送りします!


【追伸】この連載をご覧いただいたメールマガジン業界の方から、最近ポツポツとメールを頂戴しています。反響が嬉しいとともに、今後の連載の参考にさせていただいております。何か面白いお話などございましたら是非教えてください。

(99年6月10日)

[Reported by webmaster@kitte.com ]


バックナンバー

第1回:あなたも、電子メールマガジンのオーナーになろう!('99/0527)

第2回:どれが人気!? 電子メールマガジンの発行サービス比較('99/0603)

第4回:長く発行を続けるための作業テクニック(その1)('99/0617)

第5回:長く発行を続けるための作業テクニック(その2)('99/0624)

第6回:「メールマガジン」のインターフェイスを考えよう(その1)('99/0701)

第7回:「メールマガジン」のインターフェイスを考えよう(その2)('99/0708)

第8回:「メールマガジン」のプロモーション(その1)('99/0715)

第9回:「メールマガジン」のプロモーション(その2)('99/0722)

第10回:「メールマガジン」のプロモーション(その3)('99/0729)

第11回:「メールマガジン」に広告をとるには('99/0805)

第12回(最終回):自分のメディアを持つということ('99/0812)


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