【連載】
小形克宏の「文字の海、ビットの舟」
――文字コードが私たちに問いかけるもの
特別編17
人名用漢字の大幅増は、JIS文字コードをどう変えるか
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いささか旧聞に属するが、1カ月ほど前、法務省が人名用漢字の増加を検討中という報道がなされた。折りからJIS文字コードはJIS X 0213の改正原案の審議が大詰めを迎えようとしている。今回は、この人名用漢字見直しがJIS文字コードにどのような影響を与えるかを考えてみたい。
そもそも人名用漢字とはなにか
人名用漢字とは、子供の名前(つまり姓ではない)に使用可能な漢字のうち、常用漢字表以外のものを指す。法務省令である戸籍法施行規則に根拠を持った、具体的には以下のような漢字だ。現在は全部で285字ある。
■図1 人名用漢字の字体一覧(制定年別)
http://internet.watch.impress.co.jp/www/column/ogata/sp17/zu1.jpg(表外漢字字体表p.40)
この表自体は表外漢字字体表にあるものだが、年次をおって徐々に追加されていったことがわかるだろう。見ればわかるとおり、いずれも常用漢字表に準じた新字体を採用している。ただし人名に使える漢字はこれだけではない。人名用漢字と常用漢字表のうち一部の漢字に限定して、いわゆる康熙字典体、つまり旧字体も使用を許されている。これを定めたのが『人名用漢字許容字体表』。全部で205字体がある。
■図2 人名用漢字許容字体表
http://internet.watch.impress.co.jp/www/column/ogata/sp17/zu2.jpg(第6次改訂『現行の国語表記の基準』国語研究会監修、2001年、ぎょうせい、p.191~192)
これらはすべて常用漢字表か人名用漢字にあるものと、文字としては一緒だが字体としては異なる「異体字」だ。このようにして、子供の名に使うことのできる漢字は、新字体が常用漢字表の1,945字体と人名用漢字の285字体[*1]、そして、いわゆる康熙字典体が人名用漢字許容字体表の205字体となっている。ここまであまり説明なく「新字体」「いわゆる康熙字典体」という言葉を使ったが、これは後で詳述する。
●報道からうかがえる人名用漢字の見直し
次に今度の人名用漢字の大幅見直しに関する報道を検証してみよう。この件に関する直接の第一報は、1月20日に共同通信が配信したものだ。以下は、これを使った東京新聞の同日夕刊だ。見出しだけ違う記事が親会社の中日新聞にも同時に掲載されている。
■図3 東京新聞2003年1月20日夕刊 |
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この記事のポイントは、法務省幹部による〈人名用漢字をせめて倍増、できれば1,000字程度に増やしたい〉〈相当難解な漢字でなければ、要望のある漢字すべてを認める基本姿勢で検討したい〉とするコメントにある。前述したような従来の人名をめぐる漢字政策からすれば、大幅な規制緩和ということができるだろう。そしてこの見直しは今年度中、つまり3月末までには骨格を固め、今年末までに決定される。
他に〈パソコンやワープロで広く採用される「JIS漢字」を基本に、この中から不適切な漢字を外して認める案も一部で浮上。この手法が採用されれば、使える漢字がさらに広がる可能性もある。〉という部分も目を引く。つまり1,000字程度でない、より大幅増というケースもあり得ると受け取れる。
ただしこの記事も含めて、一連の新聞報道には「人名に使える漢字は常用漢字1,945字と人名用漢字285字だけ」という誤解が広くあるのだが、実際には人名用漢字許容字体表の205字体がこれに加わることは前述したとおりだ。もっとも、許容字体表の異体字を常用漢字表や人名用漢字にある字体で「包摂」するというのなら「1,945字+285字」で正しい。ただし法務省の規定には、常用漢字表やJIS文字コードと違い包摂規準がないのはもちろん、文字や字体の定義すらないので、真相は不明とするしかないのだが。
さて、翌日21日午前に定例の法務大臣記者会見が開かれ、ここで共同通信の報道にもとづいた質問が(おそらく同社の記者により)される。この時の模様は以下で公開されている。
■大臣閣議後記者会見の概要
http://www.moj.go.jp/SPEECH/POINT/speech0104-175.html
読んでもらえばわかるとおり、この会見自体はこれといって新味のない内容だ。しかしこの場合は、法務大臣が人名用漢字の増加を検討中であると公式に認めたことが大事となる。これを受けて同日夕刊で朝日、産経、毎日、読売の全国紙がこれを報じる。ただしその内容は共同通信の第一報から大きく出るものではない。つまり中日新聞系列以外の各社は大臣のコメントを待って報じたことになる。
これら報道の中で、第一報以外の目新しい要素を抜き出してみると、以下のようになる。
・常用漢字に含まれるものの、名前に使うのが適切かどうか疑問がある「殺」「罪」「悪」などの漢字についても妥当性を検討する。(朝日新聞)
・法務省は「わかりやすい基準を設ける必要がある」としており、(1)戸籍担当者が肉眼で見える程度の画数に制限する、(2)JIS漢字は基本的に認める、など客観的な基準を設ける考えだ。(朝日新聞)
・法務省は、これまで見直しを検討してきた法相の諮問機関「民事行政審議会」が2001年の省庁再編で廃止されたのを機に、新基準を作ることにした。(読売新聞)
●人名用漢字見直しの直接のきっかけは、ある夫婦の署名運動だった
これらの報道には前章と言えるものがあった。まず2002年12月3日、朝日新聞のウェブページ『asahi.com』の地方版のページ「TODAY'S関西」に以下のニュースが掲載される[*2]。
■師走の街から 「子の名前認めて」署名集め(2002年12月3日)
http://www.asahi.com/osaka/021203z.html
その6日後、この記事の夫婦が出演したテレビ番組が放映される。ただしこの番組は全国ネットではない。番組の概要は、たとえば以下のURLで知ることができる。
■テレビ東京『ジカダンパン!責任者出てこい!』(2002年12月9日)
http://tv.nikkansports.com/tv.php?site=007&station=0008&mode=14&sdate=
20021209&shour=21&lhour=1&category=tn&sminutes=00&template=detail(tv.nikkansports.com)
番組を一度も見たことがない私が言っても説得力がないかもしれないが、これは視聴者の持ち込むさまざまな問題を、テレビ制作者が当局に「ジカダンパン」するという趣向のもので、司会が毒舌で知られる、みのもんたであることも手伝い東京圏内では話題に上ることも多い。この番組では、2003年1月13日にも再度この問題を取り上げている。
■テレビ東京『ジカダンパン!責任者出てこい!』(2003年1月13日)
http://tv.nikkansports.com/tv.php?site=007&station=0008&mode=14&sdate=
20030113&shour=21&lhour=1&category=tn&sminutes=00&template=detail(tv.nikkansports.com)
1月13日? そう、前述の共同通信の第一報は、この番組の1週間後なのである。つまりこうして並べてみると、この番組は今度の人名漢字見直しに大きな影響を及ぼしたと取ることができる。
前述の夫婦を軸に、こうした一連の動きをまとめた記事が産経新聞にある。どうやら番組で知り合った国会議員が仲介し、法務大臣へ要望書を手渡すというやり取りがあったようだ。
■人名漢字大幅増へ 大阪の夫婦国を動かす(2003年1月23日夕刊)
http://www.sankei.co.jp/news/030123/evening/e24iti003.htm
●良いことばかりと言えない人名用漢字の大幅拡充
それでは実際にどのような漢字が追加されるのだろう。第一報にあった〈相当難解な漢字でなければ、要望のある漢字すべてを認める基本姿勢で検討したい〉という法務省幹部のコメントから、きっかけとなった「舵」は当確と言えるだろう。その他は?となれば大きな影響力を発揮した先の番組で、どのような漢字が取り上げられたのか興味がわく。その一端を知ることのできるのが、『TVガイド』関東版2002年12月7-13日号にある番組紹介記事の写真だ。
■図4 東京ニュース通信社『TVガイド』関東版2002年12月7-13日号(p.65) |
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この写真はおそらく、実際に人名用の漢字を却下された人々を招き、その字をパネルに掲げてもらった風景だろう。つまり、ここに写された漢字は、いずれも〈要望のある漢字〉というわけだ。
この中で、みのもんたのすぐ左の人物が持つ漢字はJIS X 0213の1面87区55点にあるが、さすがにこれは〈相当難解な漢字〉かもしれない。ただし、確かに〈JIS漢字〉ではあるのだ。つまり対象をJIS X 0213までも含めるか、否かという問題が浮上しよう。
1人おいて前列左端の男性の持つ「凛香」という字、この「凛」そのものはJIS X 0208の49区59点に収録されている。ほとんど同じ字体の「凜」が1990年に人名用漢字に追加された際、旁である「稟」下部が49区59点のように「示」でなく「禾」であることから、49区59点の例示字体を変更せず新しく84区05点に追加された。つまりこの人は、人名用漢字の「凜」でなく、特に49区59点の方の「凛」を使いたい、ということのようだ。これは人名用の漢字では統一されていた字体に、異体字を持ち込むことになる。一見してもすぐには違いがわからないだけに、もし本当に採用されれば「検索してもヒットしない」等の混乱は発生しよう。
また、右奥の女性が持つ「いちご」と読める漢字、この字体は先の東京新聞見出し(図3)を見てもわかるとおり、少なくとも印刷字体としては非常に珍しく、明治以来「苺」のように2つ上下に点を打つ字体が安定して流通している。
■図5 『明朝体活字字形一覧』下巻、2001年、文化庁文化部国語課(p.436) |
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引用した資料は明治以来の活字字形を一覧できるよう横に配置したもの。上下つなげる字体はここにはないことがわかるだろう。つまり女性の掲げた字体は、常用漢字表の字体を表外漢字に適用して新しく作った「拡張新字体」ということになる。
ただし、この写真をよーく見ると、縦画が若干うねっているようにも見え、もしかしたら極太の書体を使ったため、遠目には上下つなげたように見えるが、実際は上下に点を打つ字体だったということかもしれない。だとすれば上の指摘は、写っている女性にはとんだ濡れ衣となる。
このように、このスタジオ風景を写した1枚の写真からも、人名漢字を大幅に拡充した際に発生するだろう、さまざまな問題を見て取ることができる。
●人名用漢字の再検討がJIS文字コードに与える影響
ではこうして人名用漢字が見直されることで、JIS文字コードにどんな影響があるのだろう。まず思い当たるのは表外漢字字体表との整合性だろう。言うまでもなく、現在審議中のJIS X 0213改正原案では、表外漢字字体表にJIS文字コードを対応させるため、例示字体の変更を盛り込んでいるからだ。
■JIS改正に関する公開レビューの御案内
http://www.jsa.or.jp/domestic/instac/review/0213review.htm
そこでまず、表外漢字字体表では人名用漢字についてどのように書いているか見てみよう。
■表外漢字字体表
http://www.jsa.or.jp/domestic/instac/h13reports/JCSannex1_Web.pdf
戸籍法施行規則で定めている人名用漢字については既に述べたように、各分野での取扱い方及び漢字頻度出現数調査の結果などから見て、常用漢字に準じて扱うことが妥当であると判断した。そのため、人名用漢字についても、常用漢字と同様に対象外とした。(2 表外漢字字体表の性格 (1)対象とする表外漢字の選定について、p.5)
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つまり、表外漢字字体表において「表外漢字」と定義されるのは常用漢字表と人名用漢字「以外」の漢字なのだ。したがって、もし人名用漢字が大幅に増加となれば、表外字を選ぶ際の前提がくずれてしまうわけで、その再検討は避けられないと考えられる。
当然、表外漢字字体表に対応しようというJIS文字コードにとっても他人事ではない。以下、この件がもたらすであろう混乱を整理してみよう。
●人名用漢字の増加分が新字体を採用すれば、JIS文字コードは再々変更
常用漢字表では新字体と呼ばれる簡略化された字体を採用している。これは直接的には当用漢字字体表(1949年制定)に由来するものだ。これらは新字体という通称のとおり、制定の当初は印刷用字体として新しいものだった。
ここで問題となるのは当用漢字字体表や常用漢字表(1981年制定)以外の漢字字体、つまり表外字をどうするかだ。〈この表の漢字で書きあらわせないことばは、別のことばにかえるか、または、かな書きにする。〉[*3]とするように、表外字をあまり認めない当用漢字字体表ならともかく、〈一般の社会生活で(略)文章を書き表すための漢字使用の目安〉[*4]とする制限色の薄い常用漢字表であれば、表外字の存在を前提しているととれるからだ。
そこで表外字の字体は新字体とするのか、それとも伝統的な、いわゆる康煕字典体[*5]とするのかが大きな分かれ道となる。これについて常用漢字表の中間答申/最終答申では〈当面、特定の方向を示さず、各分野における慎重な検討にまつこととした。〉として、判断を保留することにした[訂正1]。こうした中、一歩踏み出して例示字体に新字体を適用したのが1983年のJIS X 0208改正だ。この連載でも何度も取り上げたように、この改正は大きな混乱を生み出す。
一方で、この保留した問題に、いわゆる康煕字典体を主に採用することで決着をつけようとしたのが表外漢字字体表だ。つまり、常用漢字表と表外漢字字体表は、字体の面で相反している。この事実が字体問題を考えるうえでのポイントとなる。
このようにして焦点は、両者のいわば中間地帯に存在する人名用漢字となる。ここでは初めから一貫して常用漢字表に準拠した新字体の方を採用している。いわゆる康熙字典体の方は人名用漢字許容字体表で規定しており、こうした政策の整合性から考えれば、人名用漢字で新しく追加されるなら、それは新字体であると考えるのが自然な成りゆき。では、その漢字がもし表外漢字字体表にある1,022字体と重複していたら?
その衝突のあおりを直接受けるのが、この度のJIS X 0213改正原案である。ここでは今まで新字体で示された168[*6]もの例示字体を、表外漢字字体表による、いわゆる康煕字典体に変更しようとしている。
■附属書6(規定)例示字体を変更する168字
http://www.jsa.or.jp/domestic/instac/review/3-5)annex6-168.pdf
この168字体のうち1つでも人名用漢字の増加分に採用され、それが新字体の方で示されれば、JIS文字コードは人名用漢字への再対応を迫られ、またまた改正しなければならなくなる。たとえば図6を見てもらおう。
■図6 しんにょうを使う字体(左が新字体、右がいわゆる康煕字典体) |
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ここでは例示字体変更を予定されているうち、しんにょうを使うものの一部を抜き出した。しんにょうは多くの漢字を生み出す部首だが、人名用漢字ではすべて1点しんにょう、一方で今度の改正原案では2点しんにょうだ。これらが原案通りに2点しんにょうに変更された後、人名用漢字に1点しんにょうの字体で追加されれば?
あるいは図7を見てほしい。
■図7 人名用漢字にある漢字と同じ部分字体を持つもの(カッコ内は人名用漢字) |
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ここでは既に人名用漢字にある漢字と同じ部分字体をもつ変更予定の例示字体を抜き出してみた。これらが、原案通りに例示字体を変更された後、人名用漢字ではカッコ内の先例にしたがった新字体で追加されれば?
角度を変えて言えば、今度の改正原案で変更される例示字体は、ほとんどが前述した1983年改正時に最初の変更を受けたものだ。これが本当に改正され、さらに増加分人名用漢字へ再対応するとなれば、都合3回目の再々変更となる。まるでネコの目のような目まぐるしい変更で、こうした軽はずみな対応をとれば、当然JIS文字コードを見つめる国外の視線も厳しいものになるはず。JISをめぐる国際的な信用という面でも慎重な対処が求められると言えないだろうか。
さきに述べたように、人名用漢字をめぐっては様々な字体問題が発生し、追加に当たって考えられる字体の選択肢も多様なものになる。このような不安定な状況の中で、いわゆる康熙字典体に「決め打ち」したJIS X 0213改正を強行することが、果たして妥当な判断だろうか。むしろ将来に混乱をもたらすだけではないかという疑問が強く生じる。ここは人名用漢字の行方が確定するまで、現在の改正原案を凍結することを強く訴えたいと思う。
●さいごに
この原稿は、来る3月4日に予定されている新JCS委員会を意識して書かれた。ここでJIS X 0213改正原案が審議・議決される予定だからだ。今のところ原案を白紙撤回するという話は伝わってきていないので、おそらく例示字体の変更はほぼ原案通り了承される運びとなろう。しかし、それで本当によいのか。この原稿は、いわば最後の抵抗として書かれた。今年度新JCS委員会の諸氏におかれては、過去の歴史をふまえ、未来を透徹した判断をされるよう、切に望みたい。
なお、公開レビューへの応募者を招いて行なわれる会議は、次回以降に持ち越されるようだ。議決をしてから応募者を招いてコメントするのでは、後先が逆ではないか。応募者がわざわざ招きに応じるのは、自分のコメントを元に委員と意見を交換し、ことによっては議決に反映されると期待できるからだ。議決の後では、単なる「通告」であり、それを拝聴するために時間を割いて行くほどの意味はない、そう思う人も多いのではないか。これは私たち応募者への失礼に当たると思うのだが、いかがだろう。
以下は私の公開レビューへの応募原稿だ。この連載の掲載原稿に大幅に加筆したもので、本稿では触れられなかった字体と文字コードの関係、例示字体の規範性についても新しく書き加えている。参考として、あわせてお読みいただければ幸いだ。
■「JIS X 0213改正原案の公開レビュー」に対する意見と要望
http://internet.watch.impress.co.jp/www/column/ogata/sp16/review.pdf
[*1]……もっとも人名用漢字のうち1990年に追加された「彗」と「勁」は新字体とは言えないだろう。新字体のルール(そんなものがあったとしてだが)からすれば、「彗」の下部は常用漢字「尋」「婦」「急」「雪」のように、中央横画は右へ突き抜けないはず。実際1981年に追加された「慧」では突き抜けていない(『明朝体活字字形一覧』では人名用漢字の字体は存在しない)。また「勁」の左は、「徑/輕」に対する常用漢字の「径/軽」のように「又」+「土」で表わされるはずだ(このあたりはエディター等に問題の文字をペーストし拡大してご覧いただきたい)。その限りで言えば、これらは「旧字体風」と言えるかもしれない。ただし、このような字体は日本での印刷字体として、ほとんど使われていない。つまり対置できる字体がなく、新旧の区別がない。だから、これらは新字体でも旧字体でもないというのが正解だろう。
[*2]……この記事は朝日新聞関西版でも掲載されたのかもしれないが、記事データベースではヒットしなかった。
[*3]……当用漢字表「使用上の注意 イ」(1946年内閣告示第32号)
[*4]……常用漢字表「前文」(1981年内閣告示第1号)
[*5]……この言葉自体、常用漢字表「2 表の見方」で〈括弧に入れて添えたものは、いわゆる康煕字典体の活字である。〉とあるのが初登場で、つまり常用漢字表が生み出した言葉といえる。
[*6]……平成13年度成果報告書によれば、例示字体を変更しないはずの1面80区55点「靱」も、筆押さえのみ取ることになっている(同報告書p.12)。正確にはこれを加え、合わせて169の例示字体とするべきだろう。
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◆訂正履歴
[訂正1]……ここで引用されている部分は、常用漢字表の前文ではなく、常用漢字表についての中間答申(1979年)、および最終答申(1981年)にある文言であった。以下のように訂正し、ご指摘いただいた安岡孝一さんに感謝いたします。(2005年3月10日)
◎訂正前
そこで表外字の字体は新字体とするのか、それとも伝統的な、いわゆる康煕字典体[*5]とするのかが大きな分かれ道となる。これについて常用漢字表の前文では〈当面、特定の方向を示さず、各分野における慎重な検討にまつこととした。〉として、判断を保留することにした。
◎訂正後
そこで表外字の字体は新字体とするのか、それとも伝統的な、いわゆる康煕字典体[*5]とするのかが大きな分かれ道となる。これについて常用漢字表の中間答申/最終答申では〈当面、特定の方向を示さず、各分野における慎重な検討にまつこととした。〉として、判断を保留することにした。
[Reported by 小形克宏]
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