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ウォッチャー金丸のNEWS Watch

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1998年2月10日


HEADLINE 3 articles

NTTの衛星インターネット接続サービス開始
郵政省はデジタル衛星放送規格に5方式を採用
通信業者の光ファイバー網をCATV会社に全面開放へ
余談4題:株式ホームトレードサービス開始/携帯通話料明細提供サービス「クランプ」/学割ネット/日本IBMの五輪サイトは大盛況


 

[通信業者][衛星インフラ](レベルA'
NTTの衛星インターネット接続サービス開始

 日経新聞1面トップには、NTTが自前の静止衛星であるN-STARを使って衛星通信サービス事業に進出するという記事が掲載されている。衛星通信で国内最大手の日本サテライトシステムズ(JSAT)と共同出資会社を今月中にも設立し、4月をメドに衛星インターネット接続サービスを始めるようだ。通信速度は500kbps~1.5Mbpsで、料金は地上回線を使った現行の接続サービス並みの月額数千円に設定。
 また同日経新聞13面の解説には、NTTの衛星ビジネス進出は、JSAT宇宙通信の2社体制だった日本の衛星通信市場に突如、巨人が出現したとして、今後の衛星インターネット・サービスの激化も予測している。

 DirecPCのような静止衛星を使ったインターネット接続サービスと同様に、衛星から地上へのダウンロード方向のみに高速回線を使い、接続要求などのアップロードには地上回線を使うと考えられる。従って接続料金的にいっても、低速(400kbps~)データ・サービスは個人やSOHO向けで、高速(~1.5Mbps)データ・サービスは企業やプロバイダー向けとなるだろう。
 これまで音声通信への用途がメインだった2機のN-STAR衛星も、伝送容量の大きいデータ通信への用途拡大により、余裕のあった衛星通信回線をより有効に使えるようになったとも言える。




○郵政省はデジタル衛星放送の標準規格に5方式を採用
 日経新聞7面と日刊工業新聞9面には、郵政省が9日、2000年に始まる放送衛星(BS-4後発機)を利用したデジタル放送の映像表示の標準規格として5つの方式を採用することを決めたという記事が掲載された。現行のTVと同じ規格やハイビジョン(HDTV)をベースとした高精細度規格の他、米国のPC業界が採用を強く求めたコンピューター技術との共通性が高い規格など(規格の詳細は1月23日号のPC Watch「後藤弘茂のWeekly海外ニュース」を参照)が含まれるとしている。またBS-4後発機衛星には、世界で初めて高密度デジタル変調方式を搭載しているため、周波数帯域を34.5MHzと広く出来、そのため伝送容量も最大51Mbpsを実現できるともしている。

 米FCCも地上波でのデジタルTV(DTV)の方式を18種類も採用し、市場にその判断を任せており、郵政省も衛星デジタルTV放送方式選定を国内企業などのデファクト争いに委ねたようだ。通信や放送を取り巻くテクノロジーの進化スピードがますます速くなる中、こういった規格の多数採択方式が一般的になるのも時間の問題だろう。


○通信業者の光ファイバー網をCATV会社に全面開放へ
 日経新聞7面同面の解説そして日刊工業新聞7面には、郵政省が9日、NTTなど通信事業者の光ファイバー回線網をCATV会社に全面開放する方針を決めたという記事が掲載された。早ければ99年度から既存事業者がサービスを提供していない地域で先行的にCATV会社による借用を認め、2001年からは全国での利用を解禁するようだ。これにより、CATV会社はケーブル敷設の初期投資を軽減でき新規参入が容易で視聴料抑制も出来るとともに、FTTHのような光ファイバー網を設置するNTTの投資負担も軽くなり、政府目標の2005年までの光ファイバー全国整備を促すことになるとしている。また半面、NTTがインフラを握ることで通信事業の地域独占に拍車がかかり、中小のCATV会社の経営戦略を制約する要因ともなりかねないともしている。

 この規制緩和策が施行されると、FTTH敷設が完了したNTTは、日本全国をつなぐ巨大な放送網も持つことになり、まさにマルチメディア・インフラ業者へと変貌を遂げることとなりそうだ。
 今日のトップ項目としてとりあげたNTTの衛星インターネット接続サービスも、NTTの衛星データ放送への道を切り開くものと言え、このNTTの勢いは放送業界をも脅かしつつあるのではないだろうか。



余談その1:株式ホームトレードサービス開始
 日刊工業新聞1面には、新日本和光岡三の準大手証券3社が共同で10月から、インターネット経由の株式ホームトレードサービスを開始するという記事が掲載された。安全性確保のためEC共通プラットフォーム「SECE」を採用するとしており、証券業界では初の導入となる。

 これまで日本の銀行と情報産業メーカーが支援してきたSECEも、株取り引きなど実際の商品売買に使われるようになれば、日本独自規格として普及も進みそうだ。

余談その2:携帯通話料明細提供サービス「クランプ」
 日刊工業新聞1面トップには、NTT移動通信網(NTT DoCoMo)が4月から、法人向けに携帯電話通話料の明細がインターネット経由で顧客のPCに提供するサービス「クランプ」を開始するという記事が掲載された。携帯・自動車電話30回線以上、またはポケベル30台以上の一括請求を申し込めば、基本的に無料でサービス提供する予定で、PC側もJava対応のブラウザーがあればサービスを受けられるとしている。

 年間の通話料金も相当な額に上る営業部門を抱える企業などでは、携帯電話の効率的な使用を考察するためにも必要となるデータサービスと言える。

余談その3:学割ネット
 日刊工業新聞7面と日経産業新聞2面には、ジャストシステムが4月1日から、「ジャストネット」に学校会員制度を導入するという記事が掲載された。入会金は無料で月10MBまでのホームページ開設と2MBまでのメールボックスを含んで年間接続料を1アカウント3万円の定額制(追加は1カウント毎に2万円)するとしている。もちろん、利用は学校などの非営利団体の教育目的に限るるとのこと。
いわゆる「学割」サービスだ。

   将来のマーケット確保のために、AppleやMSが教育現場へのソフトや機器導入に熱心なのと同じく、子供のころからジャストネットに慣れ親しませる戦略だろう。

余談その4:日本IBMの五輪サイトは大盛況
 日経産業新聞7面には、日本IBMが9日、同社が管理・運営を務める長野冬季五輪の情報システムの稼働状況を発表したという記事が掲載された。長野五輪の公式ホームページには、初日の7日に1,960万件のアクセスがあり、'96年のアトランタ五輪開催中の最高1,700万件を上回ったとのこと。翌8日には2,310万件のアクセスがあったとのこと。また五輪会場にあるネットサーフィン用の「IBMサーフ・シャック」については、ファン・メール・プログラムを経由して全世界から選手あてに送られた応援メッセージは約4万5千通に及び、800人以上の選手がサーフ・シャックで自分のホームページを作成・登録したという。

 清水選手が金メダルを取った今日は、その記録をあっさり突破するのは間違いないところだろう。\(^O^)/\(^O^)/\(^O^)/


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