1998年2月19日
HEADLINE 3 articles
●NTTパーソナルが清算される!?
○ComBase(コム・ベース)の利用実験開始
○松下がデジタルTV放送受信できるセットトップボックスを米国で発売
余談3題:サイバービジネス協の電子マネー実験/NTTグループの電力消費量抑制/文房具店でもインターネットPCを/
追記:2月16日号のNEWS
Watch記事の衛星「かけはし」打ち上げについて/休刊連絡
[通信業者][PHS](レベルA'
●NTTパーソナルが清算される!?
今日はNTT関連のニュースが多く出ているが、その中でも一番に大きな記事を取り上げたい。
まず日経新聞1面にはNTTが、経営不振に陥っているPHSのNTTパーソナル通信網9社の自力再建を断念したという記事が掲載されている。98年3月期末の累計損失が約2千4百億円に達する見通しから、携帯電話子会社のNTT移動通信網(NTT
DoCoMo)9社にパーソナルの営業権を譲渡して同社を清算する方向で詰めているとしている。
また同紙7面の解説では、NTTの内外において、ドコモに営業譲渡とするのか合併とするのかで対立があるとしている。NTT本体にとって損失処理の影響が少ないのは営業譲渡だが、パーソナルの株主企業にとっては、合併の方が自身の損失を少なく出来るという背景があるからだとしている。
次に日経産業新聞7面には、宮津NTT社長が18日の定例記者会見で、PHS事業の再構築を検討していることを明らかにしたと書かれている。宮津社長は、「具体的な内容は申し上げる段階ではない」としながらも、PHS商品計画の見直しや、パーソナルやドコモを含めた事業体制の検討を進めているようだ。
そして日刊工業新聞10面には、パーソナルをドコモと合併させる案の他にも、NTT本体に吸収する案も検討されているという記事が掲載されている。
色々な選択肢がある中、NTT本体の再編にまで影響を与える大きな事柄だけに、NTTも即断は出来ないだろう。
しかしどの選択肢を取ったとしても、2年余り前に華々しくデビューしたPHSのメイン通信会社の一つが、早くも消えてしまう事には変わりなく、今後の通信事業の展開、特にマーケティング部分での判断の難しさが課題として残されたと思われる。
○「ComBase(コム・ベース)」の利用実験開始
日経産業新聞2面には、NTTが2月中をメドに、ISDN対応のネットワーク情報端末として開発した「ComBase(コム・ベース)」の利用実験を始めるという記事が掲載された。電話機能に加えて、ICカードを使った電子メール交換や、デジカメで撮影した画像の伝送などの技術を検証するという。200人のモニターを募集し、8月31日まで日本マクドナルドの東京・港区の赤坂見附店で実験を行うという。今秋をメドに製品化を目指ており、新しいタイプの街角マルチメディア通信端末とするようだ。
次世代のISDN公衆電話機として参考出品されていた「ComBase」が、ついに実用実験段階を迎えたようだ。これでIrDA(赤外線)通信を持ったノートPC等も、ComBase用モデム設定ファイルのダウンロードすれば、ISDN接続をケーブル無しで行うことも出来る。見附付近を通るモバイル派は応募してみるといいだろう。
○松下がデジタルTV放送を受信できるセットトップボックスを米国で発売
日経新聞13面&日経産業新聞9面、そして日刊工業新聞13面には、松下電産が今夏にも、既存のTVに接続してデジタル放送を受信できるセットトップボックス(STB)を米国で発売するという記事が掲載された。STBには2種類あり、フルスペックタイプと普及型のダウンコンバータータイプがある。フルスペックタイプは米国での18のデジタル映像方式に全て対応してそのまま映像を表示でき、普及型はプログレッシブ(順次走査)方式の480Pに変換して映像表示するようだ。米国での11月からの地上波デジタルTV放送開始をにらみ、99年にはSTBを内蔵したTVも売り出すという。
英国でのデジタル衛星TV放送「BSkyB」用のSTBで既に実績のある(97年5月6日号のNEWS
Watch参照)松下だけに、他家電メーカーより一歩先んじることが出来たのだろう。松下もデジタルTV関連事業を重視しており、今後インターネットを含めたデジタル双方向データ家電機器としての展開も期待されるところだ。
余談その1:サイバービジネス協の電子マネー実験
日経新聞11面&日経産業新聞2面、そして日刊工業新聞9面には、電子商取引の実用実験を進めているサイバービジネス協議会(CBA)が、予定プロジェクトの「インターネット電子マネー実験」を今年9月から開始するという記事が掲載された。ネット上で使えるICカード方式の電子マネー「インターネットキャッシュ」(NTTが開発したものをベース)の実験を行なう。東海銀行や大和銀行などの4金融機関が電子マネーの発行者となり、朝日新聞や凸版印刷などの9社がコンテンツを提供する。また、実験参加企業としてNTTやNEC、富士通など24社が加わる予定のようだ。
実験は2000年3月までの計画で、初年度のモニターは参加企業の社員を中心に約1千人、99年度からは一般公募で1万人に拡大するとしている。
日本版の電子マネーとして「インターネットキャッシュ」が定着するかどうかは、ビザやマスターといったクレジットカード系の電子マネーとの開発・実験レースに勝てるかどうかにかかっているのだろう。
余談その2:NTTグループの電力消費量抑制
日経新聞13面&日経産業新聞7面、そして日刊工業新聞2面には、NTTが18日、2010年のグループ全体の電力消費量を90年水準に抑制すると発表したという記事が掲載された。NTTは国内最大の電力購入企業で、今後何も対策を講じなければ2010年には、90年の3倍の約百億kWに達する見込みという。その増加要因としては、携帯電話の急増やISDNの普及、光ファイバー網拡張による光電変換装置の増加を上げている。
電力増加要因を見ると、デジタルデータ通信、特にインターネット・ユーザーからの要求が元となっているものが多い。インターネットを使うことにより、人が移動するエネルギーや、分散データベースとして使うことで紙の消費量等が、削減されているとは思う。しかし、省エネの観点からすると通信事業者には、それなりの負担を強いているということも知っておく必要があるだろう。
余談その3:文房具店でもインターネットPCを
日経産業新聞6面には、コクヨが今月中にも、文具店を通じ法人向けPC販売に乗り出すという記事が掲載された。PCの名称は、インターネットや社内電子メールなど用途別にソフトや周辺機器を含めた8種のセットをそろえた「重宝環境シリーズ」。身近な文具店に発注でき、導入後もすぐに使える手軽さを打ち出して、情報化への対応が遅れている中小企業の需要を開拓するとしている。
文房具屋で扱っているOA機器にも、インターネット対応機能が必要な時代となった、というところか。
追記:2月16日号のNEWS
Watch記事の、衛星「かけはし」打ち上げについて
20日の打ち上げ予定と報じた通信放送技術衛星「かけはし」について、宇宙開発事業団(NASDA)は19日、天候不良が予測されるため21日(土)の16時55分~18時10分に打ち上げ延期すると発表したので、ご報告しておく。
休刊連絡:
明日から24日まで、先日報じた「第17回AIAA
ICSSC国際宇宙産業展」(展示は24日~26日、入場無料でパシフィコ横浜にて開催)の準備及び参加のため、NEWS
Watchを休刊とさせていただきます。
何卒ご了承下さるよう、お願いいたします。m(__)m(日頃からNEWS
Watchに意見したいと思われている方は、直接ASCブースまでお越しの程を (^_^;)
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