ウォッチャー金丸のNEWS Watch
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1997年5月14日版


HEADLINE 3 articles

USロボティックスの日本のPDA市場参入
ソフトバンクのデータ衛星放送サービス
日本ベリサインのデジタル認証サービス値上げ
余談4題:特許無料公開/ISDN-TA/ワクチン/情報公開


[PDA](レベルA')
USロボティックスは、日本のPDA市場に参入


 日経新聞11面には、米USロボティックスが、日本の携帯情報端末市場に参入する記事が掲載されている。6月下旬から英語版「パームパイロット」を投入し、日本語版ではPHSの32kbpsデータ伝送規格:PIAFS対応もさせるようだ。
 また日経産業新聞7面には、同社の「パームパイロット」がアメリカで51%~88%のPDAシェアを占めている調査結果も掲載された。この勢いでもって、日本市場にも乗り込もうという意気込みなのだろう。
 56kbpsアナログモデムを巡るモトローラとの特許係争(2月18日のNEWSWatch参照)でも、一歩も引かないメーカーなので、タフな競争相手が日本市場に現れることとなる。迎え撃つシャープ「ザウルス」や東芝「ジュニオ」なども、パームパイロット日本語版がでる頃には、日本語動作も充実しかつPIAFS対応済の状態であるので、充分なアドバンテージがあると思っていると足元をすくわれかねないだろう。



[衛星インターネットサービス](レベルA')
ソフトバンクは衛星放送波を利用して情報配信するデータ放送に乗り出す


 日刊工業新聞7面には、ソフトバンクは衛星放送波を利用して情報配信するデータ放送に乗り出す記事が掲載された。衛星デジタル放送:JスカイBが来春に本格スタートするのを受け、年内にも受け皿となる新しい部署または新会社を設立し、98年中の事業化を目指すようだ。
 5月6日のNEWSWatchでも書いた、松下電産のようにCSデジタル放送機器を売りたいがために衛星インターネット事業に参入するものや、「富士通衛星情報サービス」のようにプロバイダーとしてのサービス拡大として参入してくるものや、日本サテライトシステムズのようにCS衛星自体を所有して、インフラ業者としてインターネット接続サービスに参入してくるものなど、様々な企業や組織からの参入がある衛星インターネットではある。が、今回のソフトバンクの参入は、JスカイB用の衛星を持ち(管理し)、プロバイダーでもあるソフトバンクが、コンテンツまでも供給するトータルな衛星インターネット・サービスと言えよう。単に衛星デジタル放送ばかりではないサービスを目指していくことは、情報産業に身を置くソフトバンクとしては自然な成り行きなのだろう。
 JスカイBによる衛星デジタル放送は、PerfecTV!などの先発2社のサービスの良い点や悪い点の吸い上げがスタート時期を遅らせたために可能となっており、よりよいサービスが期待できる。今回のデータ・サービスも英国のBスカイB衛星放送によるインターネット接続サービスという前例からノウハウを学ぶことが出来るので、このサービスが意外にすんなり、日本にも受け入れられる可能性は高そうだ。



[EC][電子認証](レベルB)
日本ベリサインのWebサーバー・デジタルIDサービス値上げ


 日経産業新聞2面には、日本ベリサインが7月1日からWWWサーバー向けに発行している電子認証書の発行料金を大幅値上げする記事が掲載された。人手や設備投資などのコストアップが有り、現行料金を維持できなくなったのが理由のようだ。
 既に4月1日付けで日本ベリサインWeb上に、「サーバ用デジタルID価格改定のお知らせ」が出ており、また4月23日のinternetWatchレポートにもあるように、注目されていなかった事柄が今ごろ新聞の話題になっているのは、連休明けからユーザー側ヘこの値上げの告知メールが出されたために問題となってきたからであろう。
 日本ベリサイン側としては、こういったことで逆に電子認証という事業を再認識させて、広く一般にもコスト的な問題意識を持ってもらおうというのが狙いだろうが、そうだとしてもこの上げ幅はあまりに大きいと言わざるを得ない。米ベリサインサーバー認証費用が初年度初登録が年290ドルで、サーバー追加が各95ドル/年、サーバー変更でも年75ドルといった価格体系のものが、日本では初年度登録:36,750円が94,500円に、追加も13,125円が94,500円に、変更・更新も13,125円が94,500円となり、各々大幅なサービス料金値上げとなる。
 いくらこれまでが試行期の価格体系であり、ユーザー数が極端に少ないとはいえ、見積りの甘さは否めず、かつこの日米の価格格差は説明が付かないのではないだろうか。 ユーザーは、米国での認証局サービスを利用したり、サイバートラストなどの別認証組織のサービスへ移行したりとすることも考えられ、目先の収益性だけで価格設定すれば、今よりもっと苦しい状況に追い込まれる可能性もある。(現状の日本のお寒い(流通額が乏しい)EC事情では、将来性を見込んでいても経営状態が相当に苦しいのだろうが、ハイテク企業は3年は我慢しないと時代が追い付いて来てくれないのではないだろうか)


 
余談その1:
 日経産業新聞5面には、昨日に引き続き特許庁関連で、特許庁が特許情報の要約をインターネットを通じて無料で公開する方針を固めた記事が掲載されている。5月13日開催の第18回工業所有権審議会情報部会においての話しが表に出たようだが、アメリカではIBMサイトで200万件に及ぶ特許検索1月14日のinternetWatch記事参照)がタダで出来たりと、こういったサービスの傾向ではある。しかし、従来の日本特許情報機構(JAPIO)による有料検索サービス:PATOLISにとっては、寝耳に水で存在を脅かされる話しだろうか。

余談その2:
 日経産業新聞2面と日刊工業新聞9面には、NTTテレコムエンジニアリング東京BUGの共同開発で、ISDN-TA:「MN128-V3/DSU」などが発売される記事が掲載された。詳細はNTT-TEの「MN128Information」や、BUGの「MN128の部屋」などにそのうち掲載されるであろうが、ルーターやスイッチング機能、PIAFSやOCNエコノミー対応の機能を持つものもあるらしい。
 NECのTA:AtermがISDN用機器の定番になって久しいが、ISDN本家のNTTがこれらの機能を持った新機種で巻き返しを計っているのだろう。

余談その3:
 日経産業新聞9面には、コンピュータ・アソシエイツコンピュータ・アソシエイツ(旧社名:シャイアンソフトウェア)が、企業向けコンピューターウイルス対策用ソフト市場に参入する記事が掲載された。
 4月8日に発表のあった「ワクチンバンク」(internetWatchダイジェストニュース参照)もコンピューター・ウイルス対策を本格的に事業とするために、インテックトレンドマイクロソフトバンクが参画したのだが、その発表時に孫正義・ソフトバンク社長は、「本来なら国家的テロにも値する打撃を与えるウィルス・ソフトに対する防御対策を、国に代って行う」と言っていた。しかし、どおしてどおして、将来的に大事業に発展しそうだから始めるという本音が、この業種への参入ラッシュによってちらほらと。

余談その4:
 日経産業新聞1面トップには、カシオ計算機が管理職対象に社内情報ネットを通じた情報公開を人事考課に反映させるという記事が掲載されている。情報の数を出せば良いのかと思って、Spamキングになったり、情報量が勝負だと思って、メール爆弾魔が横行しなければ良いが...(^_^;)



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