1997年5月20日版
HEADLINE 3 articles
●FCCに対する日本の国際通信3社によるインターネット接続費用不公平是正申し入れ
●電子署名販売会社「サイバーサイン」
○学術情報センターの研究者公募情報公開
余談3題:NCI/UserAdmin
Plus/読者の皆様の健康の為に...
[国際間接続][接続費用](レベルA)
●日本の国際通信3社の、米連邦通信委員会(FCC)に対する、日本側負担のインターネット用国際回線の接続費用を日米双方で公平に分担すべきとする申し入れ
日経新聞1面には、KDDと国際デジタル通信(IDC)、日本国際通信(ITJ)の国際通信3社が、米連邦通信委員会(FCC)に対し、日本側が一方的に負担しているインターネット用国際回線の接続費用を日米双方で公平に分担するよう申し入れたという記事が掲載されている。豪通信会社のテルストラなども同様の要望書をすでに提出しており、例えば45Mbps換算で月額2万5千ドルを米通信事業者に支払っている現状を是正したい内容のようだ。
この格差というのは、インターネットが米国を中心に発展したという歴史的背景と、米国とそれ以外の国々との情報量格差という現実的な側面からして、米国側からは当然の収益だと考えているところから発生しているのだろう。例えば、現在の日本と米国間のデータ送受信量の方向性を見れば、明らかに米国から日本に流れる量が多いので、コンテンツ・プロバイダー(放送業者的な考え)からすると、その受信料金を受け取っているという理論も成り立ってくる。
しかし、インターネットが全世界的なネットワークとなってきた今、果たして米国だけがネットワークを支えていると断言できる状況は少しずつ変ってきているのではないだろうか。今まで、クライアント/サーバー的なネット関係だったものが、真にインター(相互補完)なネット関係に移行したときに、この格差も是正されるだろう。
また同紙13面には、KDDなどがFCCに直接訴えたことに関して、ITU(国際電気通信連合)の国際調停機能の能力が、特にインターネット関係において落ちているという解説も掲載されており、通信インフラ分野などにおける企業や組織間のデファクト争いのスピードに、国際機関が追い付かなくなっている現状を示しているとも言っているようだ。
今後は「総意」を取っているよりも、利害関係にあるもの同士が「直接交渉」した方が早いという、いかにもインターネット的(もしかすると国際交渉的)なやり方が、ますます増えてくるということなのだろう。
[EC][電子署名](レベルA')
●電子署名技術の販売会社「サイバーサイン」
日経新聞17面には、システム開発のキャディックスが、米国に電子署名技術の販売会社「サイバーサイン」を設立した記事が掲載された。この電子署名技術はPCに接続する小型電子板にサインをすると、書き順や筆跡、筆圧などから本人かどうかを照合するようだ。
同社のリリースによると、既に国内ではネットワーク対応型個人認証システム「Cyber-SIGN」(Cyber-Signature
Identifier for GlobalNetwork:サイバーサイン)として販売を開始しており、バイオメトリクス(人間の筆記運動で識別する)技術によって、本人識別を実現したということだ。「Cyber-SIGNプロバイダ」の募集も開始しており、すでに伊藤忠商事、沖電気、シャープ、綜合警備保障、日本DEC、日本HP、富士通などが名乗りを上げており、またそういったプロバイダーがCyber-SIGNソフトを使用した場合の料金は、ユーザー登録者数が1千人規模の場合で1人あたり月額300円以下、1万人規模の場合は同100円以下となっている。
個人認証ということであれば、日本ベリサインのデジタルIDサービス(5月14日のNEWSWatch参照)や、トランス・コスモスの「インターネット安心便システム」(5月15日のNEWSWatch参照)の認証方式のように、認証サーバーを企業や組織外に持ったり独自に設定したりして本人識別を行うサービスが既に存在するが、どちらもパスワードなどで管理するために本人が忘れたり盗まれたりする可能性があるのは確かだ。その点、昨日のNEWSWatch余談その1に掲載した、指紋認識機能付きキーボードを使ったシステムやこの直筆のサインを入力するシステムは、簡単には盗用しづらいとも考えられる。
実際に電子商取引を行った場合、キーボードが使えなければ使用できない方式よりは、印鑑捺印やサイン、指紋照合などの現実の商行為や本人確認方法がそのままサポートされている技術の方が、ヒューマン・インターフェイス的にも優れていると言えるし、今後の一般社会への普及にも寄与しそうだ。
[研究開発][教育政策][リクルート](レベルB)
○大学教員や研究者をインターネットで公募
日経新聞39面には、文部省の大学共同利用機関「学術情報センター」が、大学教員や研究機関の研究員の「研究者公募情報」を公開する記事が掲載された。
「研究者公募情報提供事業の概要」を示したリリースによると、5月20日から運用を開始し、ディレクトリやキーワードによる公募情報の検索も出来、各機関による公募文書ページのURL登録も出来るようだ。いわばオープンな大学版「求人情報Web」であり、企業OBなど幅広い人材が大学に集まることを期待しているようだ。
昨年5月のinternetWatch記事にも、学術情報センターは大学関係者を対象とした電子図書館サービスを予定通りに4月から、予告通り平成9年度使用に限り無料としてスタートさせ、4月28日からはNetscapeNavigatorVer.2.0以上のWindows95対応Plug-inβ版のダウンロードも可能としているなど、着実にオープン化の道を歩んでおり、今回もその名前通りの活動を展開していると言えよう。
余談その1:(internetWatch記事、PCWatch記事及び5月19日のやじうまWatch参照)
日経新聞9面には、米オラクルと米ネスケが、各々の子会社:NCI社とNavio社を合併すると発表した記事が掲載された。
5月19日の後藤さんのニュースサイトWatchにもあるように、オラクルサイドのNC戦略にプラスという見方が各新聞などの論調のようだが、TechWireのニュースなどでも米ネスケ社の株価が下落している表記があることも考えると、ネスケ社の広がりすぎた事業のスリム化の対象にNavio社がなってしまったとも考えられる。
余談その2:
日経産業新聞6面には、ソリトンシステムズが、ノーツ用の管理ソフトの新バージョン「UserAdmin
Plusv3.0」を発売したという記事が掲載されている。企業や組織などでの異動情報を入力するだけで、一括してメール受信箱の移動や利用者名の変更を自動処理できるようだ。人事異動の時期などではSEにとって有り難いソフトであり、4月の移動時期から1カ月以上が経過して、現実の環境(職場など)に適応してきたら、次はヴァーチャル環境も整えようという時期での発売は、グッドタイミングであろうか。
余談その3:
日刊工業新聞14面には、バブコック日立社が廃棄物焼却炉から発生するダイオキシン除去装置を開発した記事が掲載されている。
皆様の健康の為には良い技術成果だろう。私も自分の健康の為に、明日のNEWSWatchを休刊としたく、ご了承をお願いしたい。m(__)m(自分の健康診断の為の休刊が言いたいがために、引き合いに出してしまったバブコック日立社の皆様、失礼致しましたm(__)m)#読者の皆様の健康の為には、ダイオキシンより○○なNEWSWatchをばらまかない方がましであろうか?...(^_^;)
|