ウォッチャー金丸のNEWS Watch
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1997年6月9日版


HEADLINE 3 articles

日米供にインターネット塾が盛況
日本IBMのエージェントソフト
NTTは次世代公衆電話に赤外線インタフェースを採用
余談4題:評価の高い医師紹介/エンゼル証券/ピープルアサヒネット関係解消/ウィルス急増


[オンライン塾][パソコン講座](レベルA')
●日米供にインターネット塾が盛況--勤め人もお勉強で「大変な時代」を反映


 日経産業新聞1面には、インターネット上でパソコンの使い方を習う“サイバー塾 “が米国で人気を集めているという記事が掲載されている。米出版大手のジフ・デービス(Ziff-Davis Publishing)が3月に、ワープロソフトなどの操作方法を習得できる講座「ラーンイットオンライン」を開設しており、OSや表計算、ブラウザーなどの操作方法を教える内容で、ホームページをアクセスするとあらかじめ取り込んだ学習ソフトが立ち上がることから、習得したいソフトが忠実に再現されるのが特徴となっているようだ。年間購読料は30ドル弱というところらしい。他にもジフ・デービスは、昨年10月からオンライン大学としてZDNet University(ZDU)を開校(月4.95ドル)しており、6月30日からJava講座も開設予定となっている。
 また米IBMも、Java言語の無料基礎講座を5月からインターネットで開始(米IBMの5月12日のリリース参照)していることも掲載されている。
 この様なオンライン教育を社員教育用に導入する企業が急増していて、2000年には 17億ドル市場に成長するとの見方もあるようだ。  また、日経新聞17面には、マルチメディアスクールのデジタルハリウッドが、企業向け研修事業に本格的に乗りだし、9日からNTTのマルチメディアにかかわる人材約30人の研修を請け負う記事も掲載された。これまでも個人向けに、マルチメディアの実戦授業コースを開設しており、学校形式から企業向け研修にも事業拡大を果たしたということになる。
 他にも、同じく日経新聞17面に、コンパック社NEWプレサリオシリーズにおいて、マルチメディア英会話学習コースウェアEnglish Expressの搭載と購入後のサポートである「PRESARIO/スモールワールドモデル」を行うスモールワールドプラザ事業を展開するアーキテクト社が、今度はケイネットなどと共同で英会話教室と複合させたPC教室のフランチャイズを展開する記事も掲載されている。これも、インターネットを利用する際に必要となるPCの知識と、海外サイトとの接続(内容の読み取りなど)に必要な英語力のアップを狙った、一挙両得研修とも言えるだろう。

 上記4例を見ても、インターネットと教育(特に企業研修など)に関する結び付き が高まっており、色々な職種が参入してきて、様々な事業が次々に起こるほど産業と して定着しつつある感が強くなってきている。日米とも、この早すぎるインターネッ ト技術発展に取り残されまいと、各企業の人的投資に関する奮闘が大いに後押しして いるとも言える。各家庭にネットにつながったPCが1台以上ある時代になれば、自宅 での研修も増えるであろうし、ましてやモバイル・コンピューティングが一般に普及 すれば、移動中まで各種研修に追いまくられる21世紀の日米勤め人の姿が想い浮かん でくる。より時間的には効率的だ、ということではあるが...    


[ネットワークエージェント][JAVA](レベルA')
日本IBMのエージェントソフト


 日経産業新聞19面には、日本IBMが、利用者に代わって様々な仕事をこなすエージェントソフトを作るためのプログラミング言語を開発したという記事が掲載されている。エージェントに関する国際規格の「KQML」に基ずき、オープン・プラットフォーム性を持たせるためにJava言語を使用して作成されており、現在は20種類の命令を組み合わせてインターネット上の情報を探すソフトや旅行予定を立てるプログラムなど、様々なエージェントの開発が可能となっているようだ。
 これまでのエージェント技術は、システムとして構築されたものが多く、日本でも 東芝の「マルチエージェント」(2月27日のNEWSWatch記事参照)にしても、富士通研究所の情報検索「エージェント」3月18日のNEWSWatch記事参照)にしても、トータル動作としてエージェント機能を構築しており、内部 動作はブラックボックスに近いものがあった。
 しかし、今回の日本IBMのものは、エージェント言語又はエージェント・ユニット と呼べる部品に近い状態で公開されるようなので、もう一歩実用化に近づいた技術と 言えよう。エージェントソフトを広く普及させるためには、オープン・プラットフォ ームであることは当然だとしても、それが普及した後でのエージェント同士の交信や 作業分担など、よりネットワーク・コンピューティングの展開を考えた言語であるこ とを期待したい。
 他にも、米IBMの株式が87年のブラックマンデー直前につけた最高値にほぼ10年ぶ りに復活した記事が日経新聞11面に掲載されたり、NCに対応した新OSとして開発して いた「ブルーバード(開発コード名)」を早ければ年末にも出荷するという記事が日刊工業新聞10面にあったりと、かつてのコンピューターの巨人がスリムになって、Wintel陣営に対してネットワーク分野でのリターンマッチを挑まんと着々と準備を進めている姿が見えてきたようだ。




[IrDA][次世代公衆電話][モバイル・コンピューティング](レベルA')
●次世代公衆電話に赤外線インタフェース(IrDA)を採用


 日刊工業新聞10面には、NTTは1999年1月から、次世代公衆電話を導入するのに合わせて赤外線インタフェース(IrDA)を採用するという記事が掲載されている。米IrDA(赤外線データ協会)が赤外線インタフェースの世界標準をまとめたことを受けて、主に都心部で設置する次世代公衆電話で採用することにしたようで、NTT移動通信網(NTTDoCoMo)などでも赤外線インタフェースを内蔵した携帯電話を来春までに商品化することを計画しているようだ。
 確かに、ドコモの4月25日のリリースにも、このIrDA標準化を受けた携帯電話の開発についてコメントがあり、携帯電話などでもIrDA規格の赤外線通信機能の搭載を準備しはじめている事が分る。  今でもモデムやTAカードを持って、灰色のデジタル公衆電話を探してはコードをつ ないでメール送受信を行っているモバイル派も多いことと思うが、そういったカード やコードを持たずに直接コードレスでデータ転送出来るだけでも、どれだけ助かるこ とであろうか。現在持っているIrDA対応のノートPCに、何も装置を加えずに野外から データ転送できることになれば、PHSや携帯電話を使用するモバイル派とは異なる、 潜在的なモバイル・ユーザー層を掘り起こすことにもなろう。  後は、公衆電話の赤外線送受光部分を傷付けたり、黒く塗ってしまう不届き者が増 えないことを祈るばかりだが...(_Z_)



 
余談その1:
   日経産業新聞21面には、医師・病院向け情報サービスの日本医療情報センター(JAMIC:ジャミック)は、一般向けインターネット医療情報の提供を始め、医師2万人へのアンケートを元に割り出した評価の高い医師を紹介する「ドクターズ・ファイル」や、ユニークな活動をしている病院を紹介する「クローズアップ・ホスピタル」などを開始するという記事が掲載されている。9月1日からは、「ドクターズ・ファイル」の情報を有料(料金は未定)にするようだ。
 5月26日のNEWSWatch余談その2での「医師のインターネット利用状況」調査や、昨年8月のinternetWatch記事での医師の求人情報ページの開設など、日本医療情報センターは積極的な医療情報の提供を行っている。専門知識の高いサービスに片寄がちな医療インターネット界において、こういった民間にも受け入れやすいサービスに特化して行くのは、公開する情報を集めるだけでもなかなか難しいことであろうし、その情報を公開しようとするこの方向性は評価できる。
 
余談その2:6月9日のinternetWatch記事参照)
 日経産業新聞9面には、大阪の公認会計士グループが年内にも、未公開株の売買を 行う証券会社「エンゼル証券(仮称)」を大阪しに設立するという記事が掲載されて おり、その代表の細川信義氏のインタビュー記事も掲載されている。
 東京の経営コンサル企業のディー・ブレインが7月1日に設立するディー・ブレイン証券と同様に、未公開株のインターネット売買でも先行していきたい意向のようだが、ネスケやヤフーのように米国のベンチャーが早期に成功を収めることが出来たのも、こういった未公開株売買が盛んなお蔭でもあるので、日本のベンチャー(又は若者)に夢を与えるためにも、もっとこういった動きが出て来ても良いのではないだろうか。

余談その3:
 日経産業新聞2面には、パソ通の「ピープル」「アサヒネット」が、コンテンツの相互利用関係を解消することで合意したという記事が掲載されている。既に両会員に通知してあり、16日から実施するようで、両社のインターネット対応などの方向性に違いが出てきたというのが理由らしい。
 先日のバンダイとセガの合併がお流れになった件ほど大きな話ではないが、今時パ ソ通が袂を分けて独自路線で展開しよういうのは、インターネットプロバイダーがロ ーミングや相互接続にてサービス統合していこうとする流れと逆行しており、両社と も後顧の憂いを残さなければと余計な心配をしてしまうのだが...

余談その4:
 日経産業新聞11面には、情報処理振興事業協会(IPA)がまとめた5月のウィルス被害届け件数が230件となっており、2カ月連続の過去最高件数を更新したという記事が掲載された。電子メール添付ファイルから感染するケースが急増しており、従来のウィルス対策を電子メール用に書き直して注意を呼びかけるようだ。
 相変わらずの猛威を奮っているマクロウィルスなのだが、この頃はインフルエンザ ウィルスの様に年周期があるものというより、AIDSウィルスのような増殖を繰り返す 種類に変ってきたようでもあり、着実に脅威を増しつつあるのではと感じられる。  

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