1997年6月16日版
HEADLINE 3 articles
●NetPCとNCの日本国内関連企業の動き
●日本テレコムのODNとCATVのインターネット相互接続
○自動巻LSI
余談2題:改正NTT法成立/スポーツ・アイ
[NetPC][NC](レベルA')
●NetPCとNCの体制が整う--対決は間近か!?
6月14日(土)の日経新聞夕刊1面トップには、NECや富士通、、東芝、日立などの日本のパソコン大手メーカーが、NetPCの試作機を6月中に発表し、年内には発売するという記事が掲載されている。米コンパックやIBMは、NetPCへの参入を表明していたが、日本のメーカーが試作や発売時期を明らかにしたのは初めてのようだ。NECなどは、ビル・ゲイツ:MS会長の来日に合わせて、今月19日にNetPCの試作機を都内で公表するらしい。
また6月15日(日)の日経産業新聞7面には、日本オラクルが7月から、NC普及のため、システムインテグレーター(SI)と協力して実用化実験「ESP」(アーリー・スタートプログラム)を始めるという記事が掲載されている。NTTデータ通信や野村総研、ソフトバンク、CSKなど約30社が参画、最終ユーザーへのNC導入を図るようだ。日本オラクルがNC用の基本ソフト「NCOS」とNCサーバー用ソフトを供給し、ハード機器は船井電機のNCなどが提供されるらしい。
参画企業の顔ぶれ(企業規模)から言って、日本でのNC陣営の不利は否めないが、5月13日のNEWSWatchにもあるように、東芝が独自NCを使ったSOHO向けの情報システムのアウトソーシングに乗り出すということもあるので、単にどちらかが他方を押し退けるということになるかどうかは、予断を許さない。
またアメリカでは、米NetscapeとOracleが、インターネットに接続して情報収集や娯楽に使う「家庭・ビジネス用端末(NC)」の開発を加速し、今年末に第一弾を発売する計画している(5月30日のNEWSWatch参照)ということもあり、コンパックやIBMのNetPCの発売時期とほぼ重なることから、日米双方で年末に向けた激しいバトルが繰り広げられることになろう。
[CATV][ODN](レベルA')
●日本テレコムのODNとCATVのインターネット相互接続を推進
6月15日(日)の日経産業新聞2面には、日本テレコムが、インターネット接続サービスの「オープン・データ・ネットワーク(ODN)」をCATV会社向けに本格的に売り込むという記事が掲載されている。日本テレコムは、出資しているCATV会社の城北ニューメディア社の「台東ケーブルテレビ」において、ネットワーク相互接続し、CATV網を活用した超高速インターネットの実験を平成8年9月1日~平成9年11月30日の予定で行っている。また、北ケーブルネットワークや、ケーブルネット埼玉もODN導入を検討しているようだ。
先々週のN+I(NetWorld+Interop'97Tokyo)でも、日本テレコムのブースにおいてこのサービスの展示があり、CATVとの相互接続サービス説明を受けてきたのだが、そのときには具体的にどのCATV会社と接続するかは教えてもらえなかった。しかし、上記3社とも日本テレコムの資本が入っていることを考えれば、簡単に次のサービス拡充展開の方向性も分ってくるだろう。他にも、まだ接続用ケーブルモデムも採用会社を決定したわけではないが、現在はNEC製のものを実験で使っていることなどが情報として得ており、具体的なサービス移行が近いことも感じられる。
今まで放送分野でのノウハウしか無いCATV会社がインターネットのような通信事業に参入するには、日本テレコムのようなバックボーンから接続サービスを丸々任せられる企業に通信事業の面倒を見てもらった方が、人員を含めた経費的な部分でも助かるサービスとなるだろう。
[LSI][新技術](レベルB)
○米マサチューセッツ工科大学(MIT)は、軽い振動で動作するLSIを試作
6月14日(土)の日経新聞12面には、米MITのチャンドラカサン準教授らが、軽い振動で動作する自家発電LSIを試作したという記事が掲載された。試作品はDSP(デジタル・シグナル・プロセッサ)を使用した低消費電力(17μWと従来の1/60)のLSIと、振動で発電する小型発電機(直径2cm、長さ3cmの円筒形で、平均400μW発電)を組み合わせたもので、将来は1チップ化して自家発電機能付きLSIが開発可能のようだ。2002年ごろの実用化を目指すようだ。
この発表も、6月12日のNEWSWatchで紹介した、京都での「VLSIシンポジューム」において、6月12日(木)にセッション4-1において発表された(スケジュール参照)もので、 同じく12面には、日本企業などの発表も記事になっており、NEWSWatchでも取り上げた松下とNTT共同のLSI省電力化(従来の1/5)技術開発のほかにも、NTTがデジタル/アナログ相互変換(D/AとA/D変換)素子を1V動作で実現したと発表したり、富士通もSRAMで0.6V駆動電圧にてメモリー・データ保持を確認したと発表したりと、高集積でかつ消費電力が少ないものが今後のLSIでは主流になって行くようだ。
アメリカのユニークな考えから生まれてくるLSI研究開発と、軽薄短小化をまず目指す日本企業の研究開発と、発想という面では対照的ではあるが、目指すところは同じ携帯機器用などの小型機市場に向かっていると思われる。
(もしPDAや携帯電話などで、この様な電池のいらないLSIが搭載されはじめると、みんな電池切れを起こした場合は自動巻(ちょっと表現が古い?)の腕時計の様に手に持って振るのだろうか...(^_^;)
余談その1:
6月14日(土)の日経新聞3面と日刊工業新聞3&5面、及び6月15日(日)の日経産業新聞20面には、13日に国会で改正NTT法を含む関連3法案が成立したという記事が掲載され、それを受けた宮津NTT社長のインタビューなどが載せられている。
社会・国際的なインパクトや持ち株会社のことなどの解説は各新聞に任せるとして、どうも内向きな、日本国内の関連企業間の牽制が先走って、自分(NTT)の守りを固めてから外向きのことは、という報道が多いのが気になるところだ。
余談その2:
6月14日(土)の日経新聞10面には、CS(衛星通信)放送でスポーツ専用チャンネル「スポーツ・アイ」を放映するジャパンスポーツチャンネルが、ホームページ上で海外のスポーツ情報をリアルタイムで提供するサービスをはじめたという記事が掲載された。
データはアメリカからリアルタイムで送られてきたものを使うようなので、わずかな遅延で結果が表示されるだろうが、ホームページの方は今日現在でNBAのブルズ優勝も、全米オープンゴルフの優勝者の記事も掲載されていないとすると...(^_^;)
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