1997年7月25日
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●FM電波の空き領域を使ってホームページ送信する事業
○デジタル家電用リアルタイムOS:DAVID
○インターネット懸賞キャンペーン代行サービス
余談4題:I-PHONE&I-FAX実験/カスタマーサポートサービス委員会/サイバーレート/デジタル衛星放送事業
[FMデータ放送](レベルA')
●FM電波の空き領域を使ってホームページを送信する事業開始
日経産業新聞1面には、9月から兵庫・宝塚市を中心として、FM電波の空き領域を使ってホームページを送信する事業が始まるという記事が掲載されている。関西の中小企業経営者や大学教授らで組織する「インターネットで情報発信する協議会」が発案したもので、8月に「宝塚FM放送(仮称)」が兵庫県宝塚市で開局し、データ放送の免許を申請、9月にはデータ放送を始める予定のようだ。順次、関西地区を中心にデータ放送展開して行く意向でもあるらしい。
放送出力が10Wで宝塚市中心から7~10km半径が受信地域となり、PCをFMデータ放送受信機に接続すると最大16kbpsのデータ受信が可能となるということで、市の公報や催物情報、暗証番号を管理しての買い物情報なども放送する予定でもあるようだ。
協議会の活動概要に、「interFM分科会(FM多重放送)」が今年4月に日本エフエムデータ放送株式会社(J.F.D.)に発展したとあるので、この分科会の取組みが具体化したということだろう。
FM電波の空き領域を使うデータ放送では、「見えるラジオ」方式が定着しつつあり、その応用技術としてエフエム東京(TOKYO
FM)が、インターネット電子メールをFM電波に乗せて放送し、「見えるラジオ」などで読み取れるサービスを開始(4月15日のNEWS
Watch記事を参照)したり、「見えるラジオブラウザー」(for
Mac)を使って、PC上で「見えるラジオ」情報を見ることが出来たりするなど、既に文字情報ベースでのデータ放送が行われている。しかし、ホームページごとFM電波に乗せてPCに送るというのは、多分はじめてのケースではないだろうか。
現在、テレビ放送電波の空き領域を使った、HTMLデータ放送も可能であるTV朝日のADAMS(40~50kbpsの伝送速度)方式(2月4日のINTERNET
Watch記事参照)など、数方式がTV放送では稼働し始めており、サービス競合が避けられない部分があるが、データ放送用のFM受信機が小型・軽量でPCMCIAカードなどにも入ることを考えると、より地域に密着した(コミュニティーの)情報を扱ったり、モバイル・ユーザーに対する情報提供を行っていけば、データ・サービスとして成り立って行くだろう。
[OS][家電](レベルB)
○デジタル家電展開を推し進めるリアルタイムOS:DAVID
日刊工業新聞9面には、マイクロウェア・システムズが24日、韓国の主要家電5社(LG、三星、現代、大宇、KNC)が計画しているインターネットTV向けのセット・トップ・ボックス(STB)に対して、組み込みリアルタイムOS:「DAVID
」(Digital Audio/Video Interactive Decoder)を納入することを明らかにしたという記事が掲載されている。また、明電舎向けにマルチメディアプラットホーム用もライセンス済で、カーナビやデジカメ向けの商談も近く成約の見込みらしい。既に、松下電産、日立、富士通、三菱電機、NECなども、インターネットTV向けのSTB用ライセンスを受けており、今回の成約で世界の主要TVメーカーにDAVIDが採用されることとなったようだ。
DAVIDは、既にパワーPCベースのデジタルSTB(Ferrotec社製、Microware社の6月4日のリリースを参照)にも採用されており、Microwareの汎用OS:OS-9をベースに設計された、電話やケーブルTV、そしてネットワーク機器にまで搭載可能なOSとなっている。他にも、デジタルTV用のOSとしてもライセンスしており、今後のデータ放送の発展に寄与するOSと期待されている。
デジタル家電機器用のOSとしては、JavaOSがすぐに思い付くのだが、6月24日のNEWS
Watch余談その3などでも示したように、米サン社と関わりの深い同社が、インターネットTVやデジタルSTBでのOS採用先行の優位性を活かしながら、今後のネットワーク家電機器(NCやJava機器など)をどう展開していくのか、ますます注視されることとなろう。
[サービス][懸賞キャンペーン](レベルB)
○アスタリックの、インターネット懸賞キャンペーン代行サービス
日経産業新聞8面には、マーケティング会社のアスタリックが10月から、インターネットを利用した懸賞キャンペーンの代行サービスを開始するという記事が掲載された。応募窓口となるホームページを開設し、応募者の個人情報をリアルタイムで蓄積、キャンペーンを実施する会社はその情報を受け取り、販売の立案や修正などに利用できるとしている。消費者も、ホームページ上で応募したキャンペーンの当選がその場で分るので、応募意欲が沸くとしているようだ。
確かに、ナンバーズのようなその場で当たり外れが分る宝くじは売れ行き好調のようなので、こういったマーケッティング調査戦略は一定の支持を受けるだろう。サービスの即応性に感応するネチズンの特性を突いた、リサーチ方法と言えるだろう。
先週の、サイバースペース・ジャパン(CSJ)がオンライン・ショッピングのお得情報を提供する「バーゲン情報メーリングリスト」サービスを開始したという記事(7月17日のINTERNET
Watch余談その2を参照)などもそうなのだが、代行サービスとか無料で(情報を集めてくれるメール)サービスという、自分がなにもせずに楽な方へ楽な方へと流れていってしまうサービスでは、いつの間にか自分の持っている情報を全て丸裸にされてしまいそうに感じる部分もある。便利さのなかにも絶えず危うさもあることを、頭に入れておいた方がいいのかも知れない。
余談その1:
日刊工業新聞9面及び、日経新聞13面&日経産業新聞2面には、KDDの子会社のKDDコミュニケーションズ(KCOM)が24日、7月28日からの東京-大阪間でのインターネット電話及びインターネットFAXの実験開始を発表したという記事が掲載された。実験は9月30日までの約2カ月間を予定しており、年内には一部で商用サービスを開始する計画らしい。KCOMホームページのアンケートに記入し、実験に必要なユーザーIDを取得(7月28日以降)すればだれでも実験に参加できるのだが、東京と大阪のゲートウェイまでの通話料金を参加者が負担することになるようだ。
遂に大手も乗り出してきたわけだが、インターネットフォン/FAXにおいて、(どこの回線業者にもつなげられる)汎用性を持たせる為には、大手進出による標準化への推進も必要だろう。
余談その2:
日刊工業新聞8面には、日本パーソナルコンピュータソフトウェア協会(JPSA)が24日、PCユーザーに対するサポート事業を産業として育成するための研究部会「カスタマーサポートサービス委員会」の新設発表したという記事が掲載された。PCの「TCO
(Total Cost of Ownership)」削減が叫ばれている中でも、サポート業務が産業にまで成長してしまうのが現状なのだろう。
折しも今日のPC
Watch-Web記事には、TCO削減の一歩となるべく、MSがZero
Administration kit日本語版を配布開始したとあり、現状を変えて行こうという動きも出ているのだが、現状ではZero
Administration kit自体もサポートしなければならず、当分はサポート産業の重要度は変らないとも思われる。
余談その3:
日経産業新聞9面には、ツーカーホン関西が8月1日から、PDA等のモバイルコンピューターを使ったデータ通信を割り引くサービス「サイバーレート」を始めるという記事が掲載された。平日昼間の「標準プラン」で12円/分と、従来の40~50円/分より値下げし、インターネット接続も通信料だけで出来るサービスも8月16日から開始するようだ。
昨日の10秒10円PHS通信(INTERNET
Watch余談その2を参照)に加えての通信料値下げだが、これはメール文を短くしなくていい分、モバイル派には嬉しいサービスだろう。
余談その4:
日経新聞11面&日経産業新聞3面には、テレビ東京の一木豊社長が24日の定例記者会見で、2000年ごろに運用を始める次期放送衛星(BS-4)後発機を利用したデジタル衛星放送事業に参入する意思を明らかにしたという記事が掲載された。大株主の日経新聞や三井物産と組んで、資本金200億円の共同出資会社を年内にも設立し、来春には郵政相に衛星放送事業免許を申請するらしい。
世の中、CS-TV放送(PerfecTVやDirecTV、JSkyB)の多チャンネル放送に目が行って、NHKやWOWOWのBS放送が注目されずにジリ貧状態だっただけに、大手ネット局がHDTV支援に回ってくれたことで、某○○放送局も胸を撫で下ろしていることだろう(か)。
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