ウォッチャー金丸のNEWS Watch
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1997年8月15日


HEADLINE 3 articles

大容量光ディスクの行方は...2
2000年問題の始まり
介護・医療市場の拡大に伴って
余談3題:CATVインターネット/PHSカード/3行広告



[大容量記憶媒体][DVD-RAM](レベルA'
大容量光ディスクの行方は...(その2)


 昨日のNEWS Watchでも取り上げた、DVD-RAM規格分裂の余震が今日も続いている。日経新聞9面には、リコーが記録容量が片面4.7GBの大容量光ディスク事業に参入し、ソニーに対してこの大容量化技術の採用を呼びかけたという記事が掲載されている。リコーは、この光ディスクの実用化の目標を2001年としているが、単独での普及は難しいと判断したため、技術的に近しいソニーと蘭フィリップス米ヒューレット・パッカードの3社の規格をサポートしていくことにしたようだ。また、DVD-RAMの統一規格は支持しない、ともしているらしい。
 ソニーなどが提案しているDVD-RAMの容量は、片面3GBであり、統一規格の2.6GBよりは大きいのだが、それより大容量となると、昨日取り上げたNECの「MMVF(マルチメディア・ビデオ・ファイル)」方式(片面5.2GB)の存在がクローズアップされてくる。そこでリコーとしては、ソニーその他2社及び三菱化学ヤマハを含めた6社とともに、CDリライタブル(CD-RW)の標準化推進グループを形成していた経緯もあって、DVD-RAM統一規格から離脱し、ソニー側に歩み寄ったとも言えよう。しかし、これでDVD-RAM方式の混迷(亀裂)がますます深まったことにもなる。
 そんな動きを受けて日経産業新聞7面には、「攻防 記録メディア」と題した連載特集記事が今日からスタートしており、統一規格派の東芝と統一規格に技術的に近いといわれるMMVF方式を進めるNECが、DVD-RAMの大容量化で歩み寄る可能性もあることを示唆している。今後とも、各メーカーのDVDを巡る離合集散は続いていくので、この「攻防 記録メディア」特集連載中の短い間でも、関連企業の動向から目が離せないだろう。



[2000年問題](レベルA'
2000年問題の現実的な始まり


 日刊工業新聞1面と日経新聞11面には、ミシガン州のスーパーマーケットチェーンのプロデュース・パラス社が7月11日に、テック(TEC)の米国法人のテック・アメリカに対して、1万ドルの損害賠償訴訟を起こしたという記事が掲載された。レジにて2000年のクレジットカードを読み取れず、ネットワーク接続のレジスターも一斉に故障するなどのトラブルが相次ぎ、その状況改善もなされないことから、裁判所に提訴したようだ。訴訟の多いアメリカでも2000年問題に絡む訴訟は初めてらしく、今後急増するという予測もたっているようだ。
 これに関連したわけではないだろうが、同じく日刊工業新聞1面トップには、通産省が2000年問題で中小企業対策を強化するとあり、今夏から来年2月までにセミナーを全国94カ所で開催するという記事も掲載されている。対策の遅れが目立つ中小企業に対して、税制面で損金算入ができることなども含めて啓蒙していくようで、全国の中小企業地域情報センターで10月末まで、商工会議所では来年2月までセミナーを実施し、中小企業事業団が講師を派遣するらしい。日経新聞27面の首都圏・東京版でも、東京都中小企業振興公社中小企業事業団と共催で9月4日に、2000年問題対応セミナーを開くとあるが、それも一連のセミナーのスケジュールのうちのひとつとなっている。
 通産省管轄の中小企業庁が中心となって取り組む事業で、商工会議所情報ネットワーク(CIN)でも既に2000年問題を取り上げてはいるのだが、今から問題の啓蒙活動を行うようでは、対策するまでの時間的余裕がほとんどなくなってしまうというのが現状だろう。アメリカのような損害賠償訴訟が発生する前に、対策を講じようとする姿勢は前向きではあるのだが、現時点に至っては、対策を実行する企業部隊の編成作業に行政側も協力した方が、より現実的な問題対策になると考えるのだが。



[介護・医療関連](レベルB
介護・医療市場の拡大に伴って


 日経新聞10面には、紳士服のカインドウェア(東京)が、インターネットで介護用品の企画案を募集し、発売する事業に乗り出したという記事が掲載されている。(記事内ではURL:http://www.kindwear.com/にて公募するとあるが現在リンク不能)2000年度から公的介護保険の導入が予定され、介護用品への参入企業も増えてきてはいるのだが、中小メーカーや一般の人から案を発掘する試みは珍しいとしている。公募されたもので、商品化が見込めるものについては、デザインの改良などを経て同社の介護用品ブランド「heartful home」で販売するとしており、発案者にはライセンス料も支払われるようだ。
 また日経産業新聞11面には、企業のエイズ対策コンサルタントなども手掛けるメディカルサポート研究所が、介護用品や健康関連グッズを集めた専門の仮想モールを10月をメドに立ち上げるという記事も掲載されている。同研究所は7月からご近所のお医者さん情報という、開業医院や医療施設を地域や専門分野別で探すことのできるページを開設しており、仮想モールも同サービスの新メニューになるとしている。
 これらに加えて、上記記事の隣(同日経産業新聞11面)に掲載されいる富士通での医療情報システム開発の方向性や、今日の朝日新聞関西版に掲載されている、ネットでの医療相談にアクセスが続々と来ている現象などからも感じられるのだが、これから高齢化社会を迎えて、着実に巨大市場になるであろう介護・医療分野においてこそ、きめ細かな=個を大切にしたサービスの充実が不可欠なのが分る。それこそ、インターネットの得意とする領域だろう。




余談その1:8月14日のINTERNET Watch-Web記事も参照)
 日刊工業新聞6面と日経新聞11面には、インターラクティブケーブル通信(ICC)が横浜市金沢区のCATV局:タウンテレビ金沢のサービス地域内で、CATVインターネットサービス「し~ぷるねっと」を9月1日から始めるという記事が掲載された。
 また日経産業新聞2面には、CATV局の東京ケーブルネットワークが、東京通信ネットワーク(TTNet)の光ファイバー網を利用してサービスエリアを広げるという記事も掲載された。
 このところCATVインターネットサービスも、上記のケースにおける、NAVIOなどによるSTB(セット・トップ・ボックス)の拡充もさることながら、下記のようなCATV局と通信業者との協力体制(今回はまだTV配信の協力だが、将来的にはインターネット接続サービスへの移行が見込まれる)も拡大しつつあり、より身近なものになりつつあるようだ。

余談その2
 日経新聞11面&日経産業新聞7面には、沖電気工業がモバイルコンピューティング向けに、PHS一体型PCカード「PC&TELカードP」を開発し、9月から発売するという記事が掲載された。NTTパーソナル通信網グループの32kbps-PIAFSネットワークに対応しており、PCMCIAカードスロットに装着して、イヤホンマイクを装着すれば音声通話も可能になるようだ。(8月14日のOKIのリリースを参照)
 PCカードを装着して音声通話する割合は、意外と多くなると予想されるので、そのうちプッシュボタン付き(!?)機種も出てくるかもしれない。

余談その3
 日経産業新聞5面には、米調査会社のジュピター・コミュニケーションズが、米国のインターネット広告市場が5年後に77億ドルに達するという予測を発表したという記事が掲載された。96年広告費(同社推計3億ドル)の約26倍になる計算で、特定地域の消費者を照準にしたローカル広告、特に求人や中古車販売に使う「3行広告(クラシファイド広告)」が伸びると分析しているらしい。(詳細は8月13日付けの同社のプレスリリースを参照のこと)
 既にWatchメールサービスでは、5行広告が確立されているのだが、英語なら3行で充分ということか...



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