ウォッチャー金丸のNEWS Watch
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1997年8月18日


HEADLINE 3 articles

企業向けデータサービス2題
バイオと情報技術の関係は...
価値あるコンテンツとは...
余談2題:不正アクセス防止/今日はEVAの日



[プロバイダー][データサービス](レベルA'8月18日のINTERNET Watch-Web記事も参照
企業向けデータサービス2題


 日経産業新聞2面には、NECが18日から、インターネット経由で各種商用データベースを有料で提供するサービスを開始するという記事が掲載されている。BIGLOBEの会員向けに8月から、帝国データバンク(TDB)と東京商工リサーチの企業情報を提供、9月からは東洋経済新報社会社四季報と科学技術系のDBの日外アソシエイツのサービスを提供するという。検索料金は1回100円で、詳細情報は1,100円ということのようだ。
 また日刊工業新聞8面には、富士通ニフティ上の「クローズド・ユーザーズ・グループ(CUG)」サービスをイントラネットやグループウェア上で使えるよう拡販するという記事も掲載されている。CUGは、パソ通上の仮想専用サーバなので、一般向けのフォーラムより閉鎖性が強くセキュリティ機能も高いので、ここにEメールや掲示板をなどを盛り込んでイントラネットなどへの応用を図ろうということらしい。
 両サービスとも、パソ通(BIGLOBEは元PC-VAN)でのサービスをインター/イントラネット・サービスまで拡大しようという試みであり、収益性の高いビジネス・ユース向けへのサービスを重視していこうという両社の姿勢の現れでもある。プロバイダーとして、個人向けサービスや回線接続でのサービスを展開するだけでは、今後のユーザー獲得増などは望めないと予想されることから、クローズドであってもより付加価値の高いサービスへの展開を強めるのは当然のこととも思われる。両社とも、これまでの情報蓄積(データベース)の実績を活かして、複合情報提供企業への展開を今後とも強めていくためのワン・ステップとして、上記サービス拡大を捉えていると考えられる。



[バイオとインターネット/ソフト技術](レベルB
バイオテクノロジーと情報技術の関係は...


 日経産業新聞4面には、NTTが生体が異物の侵入から身を守る仕組を真似て、システム制御するソフトを開発したという記事が掲載されている。機器の動作誤差やセンサー・ノイズを「異物」と見なして修正し、状況改善すると自動休止するアルゴリズムのソフトウェアのようだ。生体に於ける、「ヘルパー(監視)」「キラー(修正)」「サプレッサー(抑制)」と呼ばれる「T細胞」の機能を模したプログラムを、ニューラルネット(脳の神経回路網)や遺伝アルゴリズムを使って、各種の”異物”に対応出来るようにしており、”免疫チップ”としてロボット制御などへの応用も期待できるらしい。
 また同じく日経産業新聞4面には、非営利研究機関の米ゲノム研究所(TIGR)を中心とするグループは、胃かいようの原因と考えられているピロリ菌の全遺伝子配列(約167万対)を解読し、 無償でホームページ公開したという記事が掲載されている。英科学誌ネイチャー(8月7日号)への掲載とともにホームページ公開しており、日本では胃がんの発生についても関連が疑われているピロリ菌に対する新薬の開発や、癌との関連を探る研究などの進展に寄与すると見られているようだ。
 インターネットには、アメリカの大学の研究活動用に開発されてきたという側面もあり、その中でも遺伝子工学のようなバイオテクノロジー系の膨大な化学データ及び計算が必要とされる分野においては、早くからインターネットを利用して共同研究など行ってきた経緯がある。今回のピロリ菌の遺伝子配列公開は、より積極的に研究成果を分かち合い、試験研究をより進捗させるという効果が出てきそうだ。そんなバイオ分野での蓄積が、上記細胞ソフトの開発のベースになっていると思われ、よりバイオと情報工学の接近(蜜合とでも表現出来ようか)が成されそうである。



[コンテンツ有料/拡大化](レベルB
●価値あるコンテンツを求めて


 今日の新聞各紙には、インターネットでのコンテンツ配信の有料・拡大化の記事が多く掲載されているので、報告したい。
 まず日刊工業新聞8面には、ミュージック・シーオー・ジェーピーが、ネット上でアイドルのデジタル写真集やスクリーン・セーバー、ビデオ、コミックなどの配信サービスを行うサイト「アートウェッブ」を始めたという記事が掲載されている。(8月7日のINTERNET Watch記事を参照)第一弾としてイエローキャブ所属のタレントの雛形あきこや山田まりやなどの未発表デジタル写真集を販売し、料金は一タイトルにつき各20カットで500円とし、同所属タレントのプライベート・フォト/ビデオなどからなるギャラリーを設けて、閲覧サービス(12時間で200円)の販売も行い、9月からIMCによるコミックデータ、年内めどでたつのこプロによるデジタル・マスコット、HI(エイチアイ)によるスクリーン・セーバーなどの配信を予定しているようだ。
 次に日経産業新聞6面には、電子出版のシーワークスが10月、電子メールを使った自動車情報サービス「メールアクセル」を有料化するという記事も掲載されている。今年6月から無料 で試験配信しており、すでに2千人が購読しているが、1日1回、月曜から金曜まで週5回配信し、購読料は個人の場合で3500円/6カ月になるようで、年末で5千人の購読者を見込むらしい。
 はたまたアニメ・コンテンツでいえば、日経新聞18面には、メディアバンクの「ドリームネット」上で9月1日から、アニメ・声優関連コンテンツを提供する「スキヤキ」がサービスされるという記事が掲載されいる。同コンテンツを展開中のワールド・サーフと提携し、ドリームネット経由では月300円の基本料金が無料になるという。
 そして最後もアニメなのだが、日経新聞18面に、文化科学研究所(旧ぴあ総研)がインテックコマニーIMAGICA、一吉エンタープライズ、三井海上キャピタルなど6社と供に、インターネット上でアニメやゲーム・コンテンツを提供するオンライン出版事業の新会社「未来編集」を設立したという記事も載っている。
 要は、ネットで公開して収益の上がりそうなコンテンツを求めて、特にアニメなど有料化サービス化しても固定層が望める分野に各社の期待が集まっているということだろう。しかし、目先の利益(固定層)だけに執着すると、その後の発展性に不安が残るのだが...




余談その1:
 今日の日経新聞19面には、ネットワーク・システムへの不正アクセス対策について、3件の記事が掲載されている。
 1つ目は、熊本大学工学部の中村教授と中嶋助手らが、接続要求している相手のコンピューターが適切と認めたものだけアクセスを許すソフトの試作の件で、過去の交信記録から、不審な動きのあった相手からの接続を拒否し、ネットワーク管理者に通報したりするらしい。
 2つ目は、CRC総合研究所や子会社のシーアールシーテクニカルなど3社もLANを常時監視することで不正を発見するシステムの開発をほぼ終え、今秋から有効性を確認する実験を始める件で、PCやネットワーク機器の稼働状況やLANに流れる通信データの変化をもとに不正の有無を判断するようだ。
 3件目は、情報セキュリティー開発のシステムインテグレーターズが、ダイアルアップでのコンピュータ不正アクセス防止装置を開発したとあり、利用者の電話番号から本人確認をして正規利用者だけに接続を許すようだ。
 上記方法で守られるセキュリティーのレベルもまちまちだが、現状としては研究・実用レベルでますますこの手の製品を増やさざるを得ないのだろう。

余談その2
 今日の日経産業新聞25面の「新製品研究 市場トレンド私はこう読む」には、博報堂の関沢生活総研所長の、プリクラやたまごっちなどと供に「新世紀エヴァンゲリオン」などを、コミュニケーション系商品として若者達の「共振モデル」とした解説が掲載されており、興味深い。
 また日経産業新聞3面には、シャープがアニメ制作ソフト「エクステンディッド ベクトル アニメーション」(EVA)を開発し、今秋から同社のホームページ上で体験版を無料配布するという記事が掲載されており、アニメ分野に進出するということらしい。
 そして日経新聞11面には、何とアメリカでも最近の米企業強さの秘密としてEVAがあるという記事もある。とは言っても、新たな経営指標としてEVA(経済付加価値)を導入し、企業評価を高めているということらしい。
 やはり今年は、地球的にもEVAブームなのだろうか...



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