ウォッチャー金丸のNEWS Watch
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1997年8月25日


HEADLINE 3 articles

J-PC構想によるJava-OS「JexeOS v1.0(英語ベータ版)」
PerfecTV!とJスカイBの業務提携
KCOMのインターネット国際電話実験運用
余談2題:大容量光ファイバー通信/危機管理



[JAVA][J-PC](レベルA'
東芝情報システムのJ-PC構想によるJava-OS「JexeOS v1.0(英語ベータ版)


 日経産業新聞2面には、東芝情報システムが25日、Java-OSの評価版「JexeOS v1.0(英語ベータ版)」を日米で同時発売するという記事が掲載されている。リリース情報でも、この評価プログラム(販売期間:10月31日まで)を1,500円にて販売するとなっており、ホームページ上でで注文書が入手できるとしている。英語正式版は11月末に65ドルで、日本語正式版は12月末に7,900円で発売する予定で、評価版の購入者には正式版を無償提供するようだ。
 開発した「JexeOS」は、「Java用パソコン(J-PC)という概念が基本となっており、その位置付けはリリースの解説図を見ると分りやすいのだが、WinPCとNetPC、そしてNCの何処にも所属しない(Java対応でネットワークに依存しない)ものとなっている。そういったジャンルの製品だけが存在しない点に着目して開発したことからも、いわば「高速オフライン処理Java-PC」とでも言えようか。
 ハード的な動作環境やソフトの構造等は、リリースなどを参照されたいのだが、このOSは見方によってはPCとNCの橋渡しを行う機種のためのOSとも解釈出来るであろうし、NCが要求する通信インフラ・スピードを補う機能を持つ、(インフラ改善)移行期における機種とも考えられる。「J-PC」を「Japan (original)-PC」としても見なせるような、興味深いコンセプトとして期待できそうだ。



[デジタル衛星放送][業務提携](レベルA'
PerfecTV!JスカイB業務提携


 日経新聞13面と日刊工業新聞10面(ニュース拡大鏡)には、日本デジタル放送サービスPerfecTV!)が24日、来春CS衛星TV放送開業を目指しているJスカイBと業務提携を結ぶ方針を固めたという記事が掲載されている。視聴者管理システムを統合して、PerfecTV!JスカイBのどちらかに加入すれば、特別な手続きをしなくとも両方の番組が見られるようにしたい意向のようだ。
 PerfecTVとJスカイBは、ともに日本サテライトシステムズ(JSAT)のCS衛星(別衛星だが、静止軌道位置はほぼ同方位)を利用するために、かねてから受信機の共通化などが話題に上っていたようだが、今回の業務提携が実現すれば、受信機のみならず視聴者管理用のICカードの共通化を含めた、顧客情報を集中管理する「SMS」(サブスクライバー・マネジメント・システム=顧客管理システム)の統合までも行われるということだ。それと、両社用の受信アンテナも1枚で済むことから、放送方式などの共通化の話しも出ていたわけで、これでますます今秋からサービスが始まるディレクTVとの対立構造(ディレクTV用には別アンテナが必要)が出来上がってきたことになる。ただ郵政省からは、3社の放送方式などの共通化への指導もあり、今後の話し合い如何では、3社が部分的に協調するということも考えられる。
 というのも、同じく日刊工業新聞10面の解説記事では、この様な業務提携の裏に「番組コンテンツ不足」という問題が隠されているとしており、8月21日のNEWS Watchでも示したような、3社間のコンテンツ業者への圧力がけなど、加入ユーザのパイの奪い合いへと移行しつつあることから、業界全体の保身へと動く可能性もありそうだ。アメリカなどと異なり、CATV多チャンネル文化が定着していない日本で、200チャンネルを超える優良なコンテンツを集めるには、まだまだ時間がかかるということなのだろう。



[インターネット電話](レベルB
KCOMのインターネット国際電話実験運用


 日経新聞13面には、KDDの全額出資子会社のKDDコミュニケーションズ(KCOM)が10月から、インターネット国際電話の実験運用を始めるという記事が掲載されている。日米英に接続拠点を開設し、その間をKDDのインターネット回線で結ぶもので、当面は無料実験とするが、できるだけ早く技術的なめどがついた段階で正式サービスにする意向らしい。KCOMは既に7月28日から9月30日まで、東京~大阪間でインターネット電話とFAXの実験7月28日のINTERNET Watch記事参照)を開始しており、それに引き続いての実験となる。しかし、AT&Tの子会社のAT&T Jensが8月から始めたインターネット電話サービス「AT&T@phone」(8月6日のINTERNET Watch記事を参照)や、プロバイダーのリムネット8月21日より国際インターネット電話サービスも開始したり(7月11日のNEWS Watchも参照)と、このところの国際インターネット電話の相次ぐ参入に追い立てられているのは確かなようだ。
 こんな中、日経産業新聞2面には、NECが既存のPBXに付加するだけでインターネット電話システムを構築できるボイスルータ2機種「C&C-NET IP45/940・941」(68万円・75万円)の発売の記事が掲載されている。通信する双方にこのルーターが必要だが、NECの8月22日のリリースにもあるように、外付けの呼接続用サーバが不要で、既存のイーサネットLANに接続するだけでインターネット電話システムを構築することができ、別売のルーティング・ソフト(5万円)を使用することにより、複数の地点との接続が可能にもなるということで、大企業からSOHOまでのニーズに応えられそうだ。
 この様に、海外/国内通信業者の新規参入や、従来の電話交換機器メーカーのインターネット電話用機器投入が増加してきている現状では、実験というよりは実用一歩手前の試験としなければならない程、既存通信業者への要望(プレッシャー)は相当きついと思われる。




余談その1:
 日経新聞19面には、富士通研究所は東京~LA間の国際電話回線約250万本分に相当の情報を、たった1本の光ファイバーで送る実験に成功したという記事が掲載された。伝送距離:9,900kmで伝送速度:170Gbps(現在商用化されている光ファイバーの約34倍)を実現し、これまでAT&Tが持つ記録(伝送距離:9,300kmで伝送速度:160Gbps)を上回ったということらしい。
 海底ケーブルなどの軽量化につながることからも、国家間のメイン・インフラなどへの応用はもちろん、企業や組織間(内)の個別超高速インフラ構築使用にも、期待出来そうだ。

余談その2(8月25日のINTERNET Watch-Web記事にも一部掲載あり)
 日経産業新聞1面&26面には、日本経済新聞社が24日まとめた「企業のリスク管理アンケート」で、上場企業の9割強が「通信・ネットワーク事故」などを今後増える企業リスクとして危機感を抱いているという結果についての記事が掲載された。調査は日経リサーチの協力を得て6月に、東証一部上場企業(1,295社)のうち312社から回答(24.1%)を得ており、通信ネットワーク以外でも企業のリスク管理の甘さを感じていることも浮き彫りになったようだ。
 また、同じく日経産業新聞11面には、情報処理振興事業協会(IPA)が、今年7月のコンピュータ不正アクセス被害の届出(4件)について報告したという記事も掲載された。
 不正アクセスに関しては、4件などという氷山の一角的数字であることを差し引いても、日本のコンピュータ・ネットワーク現状がまだまだ平和なのだなと感じる部分ではある。しかし、ウィルスや2000年問題といった、着実に増える/迫る事象もあり、危機意識の高まりとともに、現実での危機対応事業も盛り上がる必要があるだろう。



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