ウォッチャー金丸のNEWS Watch
リンクがすでに消滅していることもありますが、予めご了承くださ い。
・NEWS Watchとは
・about 金丸さん
・NEWS Watchバックナンバー

1997年9月1日


HEADLINE 3 articles

情報のフィルタリング方式2題
米インテルのMPU製造戦略転換
情報追及と公開の狭間で
余談0題:お知らせ



[情報規制](レベルA'
●情報のフィルタリング方式2題


 日経産業新聞2面には、ソフトウエア開発や情報処理サービスを行う三重データ通信が今秋から、暴力やわいせつ情報などを掲載した有害なホームページへの接続を制限した、青少年向けのプロバイダー・サービスを始めるという記事が掲載されている。同社は既に、mintインターネットサービス(三重県限定サーチエンジン「三重~る」などもサービス提供中)を初めており、今回開始する「mint・セキュリティーサービス」は小中学校など学校や法人、子供のいる家庭が対象となるようだ。サービス開始は学校向けが9月から、家庭向けは10月からの予定で、料金は家庭(個人)向けの場合で、加入料が5千円で接続料が2千円/月、有害情報排除サービス料が1,500円/月ということらしい。
 また、同じく日経産業新聞の6面には、ネットワークの安全性強化を推進する営利団体の米コンピューター・セキュリティー協会(NCSA:National Computer Security Association )が、インターネット上のわいせつ・暴力など有害情報を排除するソフトの審査・認定制度を始めるという記事が掲載されている。消費者が正しく機能する製品を購入できるようにするということで、米政府がネット上の有害情報を法的ではなく、民間の自主規制にゆだねる方針を決めたことからも注目を集めているようだ。 同社の8月27日のプレスリリースでも、Net NannyCyber Patrol等のようなフィルタリング・ソフトが、きちんと有害情報を阻止する機能を持つかどうか、子供がその機能を解除できないような仕組みを備えているかなどを、SIFT (Secure Internet Filter Technology) 協会の基準で評価するとしている。また、審査結果はNCSAのホームページで閲覧できるともしているようだ。
 これまでもフィルタリング・ソフトやシステムについては、表現の自由と教育上の問題及び、会社などでの作業効率Upとの絡みで、何度かNEWS Watchでも取り上げている(3月18日5月28日NEWS Watchに関連記載あり)のだが、プロバイダー等の情報の上流から食い止めようとする日本での取組みと、あくまで民間の団体が、各家庭など個別に使うフィルタリング・ソフトを検証し、情報最下流での判断に任せるようなアメリカでの取組みとでは、その基本にある考え方に大きな違いがありそうだ。日本での取組みは、最終的には情報最上流での規制=法的な規制へと結びついていく可能性もあり、またアメリカでの取組みは、フィルタリングする情報に個性が出すぎて、規制基準が曖昧になる可能性もあるので、どちらも情報選択の自由度のさじ加減が一番難しいところと言えるだろう。



[MPU][ノートPC](レベルB
米インテルのMPU製造戦略転換


 日経産業新聞11面には、米インテルはPC向けMPUの製造戦略を転換したという記事が掲載されている。これまで最先端の微細加工技術はデスクトップPC向けMPUから導入してきたが、0.25ミクロン技術ではノート型PC向けMPUの生産から導入を始めるということらしい。
 インテルの8月26日のリリースでも、米9月8日に0.25ミクロンの加工技術を使ったノート型PC向けMMX-MPUを発表するとしているようだ。このMPUは、8月28日のPC Watchに掲載された後藤さんのWeekly海外ニュースにも掲載されている、開発コード「Tillamook」であると考えられる。上記の新聞記事の通り、製造戦略を転換しているとすれば、次の「Deschutes」(開発コード名)も、ノート型用PentiamIIとして開発される方が早くなりそうだ。
 先週の新聞紙面には、秋葉原等の日本の電気街のパソコン売上の落ち込みを救っているのが、比較的価格帯の高いノートPCの売れ行きであるという調査記事も出ており、この様なPC市場の動向が全世界的にも見えてきたという読みがインテルサイドにも働いていると思われる。ノートPC市場の急速な伸びを考慮し、0.25ミクロン加工技術による消費電力低減による発熱の問題解消を狙ったために、これまでのデスクトップPC向けMPU開発先行型を転換したというのが、一般的な見方であろう。
 ほぼMPU市場を独占しているインテルにしても、市場原理が働くのは当然とも思われるが、市場原理に従うばかりでなく、NetPC等の次世代、次々世代のPC用のMPUにつながるコンセプトも期待したいところだ。



[情報追及](レベル?9月1日のWatch集中企画にも関連掲載あり
ダイアナ英元皇太子妃の悲劇とインターネットを含めた情報公開について


 もはや世界中の誰もが知っているニュースではあるのだが、敢えてマスコミの端っこにいるものとして取り上げさせていただきたい。まだ、感情的な動揺が走っている最中で、NEWS Watchの欄だけでは結論には達しないだろうが、今感じている、情報追及とインターネット等での情報公開の役割について書いてみたい。
 今日は日経新聞1面だけでなく、世界中の新聞・マスコミ1面記事には、ダイアナ英元皇太子妃らが自動車事故で死去した記事が掲載されていることだろう。朝日新聞39面には、英バッキンガム宮殿が31日、弔辞を王室のホームページで受け付けると発表した記事が掲載されており、そのバッキンガム宮殿のホームページには世界各地から弔辞が殺到して、アクセスもままならないなどという記事もNIKKEI-NETに載っている。
 ここで、インターネットがどう使われたなどということは、単なる脇の記事でしかないのだが、その英王室関連の各ホームページにも過剰な王室報道や追っかけカメラマン「パパラッチ」に対する非難が相次いでいるということが、私にとってかなり気にかかる問題だ。
 今はマスコミ関係者のみならず、世界中の全員が多かれ少なかれれ、十字架を背負ってしまったという気持ちになっていると思われる。皆、心の奥底に、自分自身の追及心(好奇心)が彼女らを殺してしまったのではないだろうかという猜疑心や、これまでのマスコミの一方的な報道を許していたという気持ちもどこかにあるのだろう。
 今日までに情報を素早く欲しがるような社会システムを作り上げてしまった以上、そこから逃れる術はなく、ますます情報への要求はインターネットも含めた通信技術の発達とともに増長されていくと思われる。そういった中での自己防衛手段を、ダイアナ元皇太子妃のような有名人ならずとも考える必要性があるのだろう。ただし、過度の情報社会では、逃げる(隠す)と追いかけられるという図式が成立しているので、ある程度の情報公開を自ら行うことが、身を守る手段となってくるとも思われる。しかし、一部の人々が情報を公開するだけでは、より過激に欲しがる層を生んでしまうという事実あることが、今までのマスコミ等の加熱ぶりを見ても分るので、例えば今回の場合のような、「写真」というデジタル技術でどうとでも合成できるような情報への欲求そのものを和らげるような社会なり風潮にならない限り、今回の悲劇は繰り返される可能性がありそうだ。例えば以前、ダイアナ元皇太子妃とアルファイド氏がヨット上で話している写真が、英タブロイド紙に掲載されたが、それは頭の位置を合成して、いかにも親しげに話している構図に変更されていた、などといったことが多用される時代になってきている。その様な過度の情報追及が、その情報の真の価値を歪めつつあることをもっと知れば、あおりたてるような追及心も冷めてくるのではと思えてしまう。他人に強要されず、自らが発信した情報が一番価値があるものになれば、自ずと他人が群がる必要性がなくなりそうだと考えるのは、あまりに理想的過ぎるのだろうか。
 おしむらくは、もっとインターネット等による情報共有がはかられた社会(まだまだ観念的と言われそうだが)ならば、この悲劇を生まずに済んだかも知れない。
 お悔やみを申し上げたいと思う。




余談未掲載のお知らせ
 上記の件で、マスコミの一員として喪に服するため、今日の余談は取り止めとさせていただきます。m(__)m 



INTERNET Watch


(C)1996 Impress Corporation. All Rights Reserved.

internet-watch-info@impress. co.jp