ウォッチャー金丸のNEWS Watch
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1997年9月12日


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IBMのNetPC展開方針変更
次世代携帯電話に対するNECの動き
余談4題:KDD訴訟/Push,Push,Push,Push/東京電話/今日の日米比較



[NetPC](レベルA'
IBMのNetPC展開方針変更(MSの危機?)


 日経新聞13面には、米IBMが「NetPC」の戦略を見直す という記事が掲載されている。これまで大小2機種の商品化を検討してきたが、小型機種の発売を取りやめて、大型機種についても機能を通常のPCに近づけて市場投入するということらしい。その大型機種は10月にも、米国などで発売され、価格も$1,000~$1,300といったところのようだ。
 今週8日のPC Watch-Web掲載の後藤さんのWeekly海外ニュースにおいても「IBMがNetPC製品化を取りやめか?」という記事が取り上げられていたのだが、それが現実となってきたようだ。市場の要求から、この様な決断がなされた模様だが、PCに近い大型機種(デスクトップ型?)もFDやCD-ROMドライブと接続出来ないことなどから、どこまで市場の需要に対応しているかは未知数だろう。
 この様にWintel陣営内部からもNetPC対応の足並みに乱れが生じていることから、今日の後藤さんのWeekly海外ニュース「危機に直面するMicrosoft」にも、より真実味が増して来ていると言えそうだ。MSが推進するNetPC構想がこければ、小型卓上情報端末市場をNCやJava端末が席巻する可能性もあり、Wintel帝国に大きな楔が打ち込まれるとも限らない。ただ後藤さんのいうとおり、MSもパラノイド(偏執症者)であるならば、生き残るためにはJavaベースのWindowsなどという成り振り構わない裏技を使ってくる(J/Direct6月20日のINTERNET Watch Web参照)などもその第一歩か?)ことなども考えられ、危機を乗り越える方法も数多く検討はされているのだろう。
 まずは、11月17日から米ラスベガスで開催されるCOMDEX/Fall'97あたりまでにはNetPCの趨勢もハッキリしてくると考えられ、それまでPCメーカーなどからも目が離せないことになりそうだ。



[次世代携帯電話](レベルB
次世代携帯電話(IMT-2000)に対するNECの動き


 日経産業新聞9面及び日刊工業新聞11面には、NECと米通信機器メーカーのクアルコムが10日、CDMA(符号分割多元接続)方式携帯電話向けの接続機能を共同開発すると発表したという記事が掲載されている。
 9月11日のNECのリリースでも、NEC製の交換機とクアルコム製の無線基地局制御装置間を標準インタフェース(IS-634)で接続するよう、共同開発することで合意したとしており、IS-95(またの名をcdmaOne)というアメリカ系企業が推進するCDMA方式との接近が見られる。
 これで、DDI(第二電電)IDO(日本移動通信)などが推進するIS-95(cdmaOne)方式(7月15日のNEWS Watch参照)が、NECのような携帯電話交換機メーカーからも支援を受けた形に表面的には見える。しかし、NTT DoCoMo日本テレコムなどが推進しているW-CDMA通信方式(7月30日のNEWS Watch参照)や、欧州携帯メーカーなどが推す「UMTS」規格(9月8日のNEWS Watch参照)なども含めた共通の携帯電話交換機標準インタフェースをNECは提案しており、例え通信方式が全世界で共通化されなくとも、得意な交換機においてインターフェースを共通化して市場を握ろうとする強かな思惑もありそうだ。
 次世代の世界的移動体通信規格「IMT-2000(International Mobile Telecommunications-2000)/FPLMTS(Future Public Land Mobile Telecommunication Systems)」(ITU(国際通信連合)にて検討中)を巡る通信方式の標準化擦り合わせ作業(戦争?)が激しくなるのに連れて、その周辺技術を巡るメーカー間の具体的なデファクト争いも活発になってきたと言えるだろう。




余談その1:KDD訴訟9月3日のNEWS Watch参照)
 日経新聞11面&日経産業新聞9面及び日刊工業新聞10面には、KDDの西本正社長が11日、米連邦通信委員会(FCC)に対し米国で行政訴訟を起こすと正式表明したという記事が掲載された。8月頭にFCCが一方的に決めた、各国通信業者に対する国際電話接続料金基準(ベンチマーク制度)の取り消しを求めるようだが、今回は(珍しく)アジア各国や欧州の通信業者からも応援(連携)がありそうな、国際的にも率先した行動として評価されそうだ。

余談その2:Push,Push,Push,Push
 日経産業新聞3面には、プッシュ型ソフトの米バックウェブ・テクノロジーズが年内にも日本法人「バックウェブ株式会社」(仮称)を設立し、日本市場に進出するという記事が掲載された。
 同社はマリンバ、ポイントキャスト、ウェイフェアラー・コミュニケーションズと並ぶ、4大プッシュ型ソフトの1社ということだが、米国勢にプッシュされて土俵際まで追い詰められているのは、日本の小兵(ソフト)力士達だろうか...(^_^;)

余談その3TTNetの「東京電話」8月13日のINTERNET Watch Web参照)
 日経新聞13面及び日刊工業新聞10面には、東京通信ネットワーク(TTNet)が1月から始める格安電話サービスの名称が「東京電話」と決まったという記事が掲載された。
 9月11日のTTNetのリリースには、あの「寺内貫太郎一家」をCMキャラクターに起用した広告活動を10月1日から始めるとあり、「東京」の下町にも大好評というイメージを打ち出す、ということなのだろう。「大阪電話」や「名古屋電話」だとしたら、一体何が復活したのだろうか...(^_^;)

余談その4:ECに対する米政府の本音今日の日米比較7月17日のNEWS Watchも参照)
 柔らかめ(お笑い)の話題が2本続いたので、今週最後の記事は硬く締めたい。
 日経産業新聞1面トップには、米クリントン政権のEC振興策発表を受けて、9月から日米政府間交渉が始まっていることから、米政府の本音をアイラ・マガジナー米大統領上級顧問にインタビューしたという記事が掲載された。
 米政府は、民間主導で1年以内に国際合意を作るよう求める一方、欧州がプライバシー保護の政府規制を打ち出したことに強い懸念を表明しており、日米は民間によるルール作りに向け協力すべきだとする「日米サイバー連合」を迫っているようだが、その米側の狙いを彼に聞いている。その真意を簡単にまとめると、EUのEC保護政策は日米のみならず欧州にとっても不利益になると考えているところから始まっていると解釈できそうだ。
 このマガジナー氏は、前回の来日時のインタビュー記事を読んだときもそう感じたのだが、明晰なる頭脳でECのオープンな成長性を素早くハッキリ相手に伝え、米国の権益のみならず21世紀の世界経済をECによって大きく変えて行こうという情熱もある方のように思える。この様な人物が大統領の側近にいるアメリカと、今日の日経新聞1面トップや日刊工業新聞1面トップに居並んだ(密室の中で人選された)大臣達のいる日本とを比べた場合、悲観的な気分になるのは私だけではないだろう。



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