ウォッチャー金丸のNEWS Watch
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1997年9月26日


HEADLINE 3 articles

通産省の暗号製品の輸出規制緩和政策
携帯電話+電子マネー
NTT・ワイヤレスデータシステムWL-100
余談4題:インターネット電話再販/コンテンツ開発支援/PC国内生産鈍化記事に想う...その3/Watch型ポケベル



[暗号][規制緩和](レベルA'
通産省の暗号製品の輸出規制緩和政策


 日経産業新聞1面トップには、通産省がDVD駆動装置やICカード、課金管理・データ放送向けのデジタル放送受信機の3品種を暗号製品の輸出管理の対象から除外し、年内に開く国際会議でそれを提案するという記事が掲載されている。従来の輸出管理を継続するとハイテク産業の国際競争力を阻害しかねないと判断したためで、10月に開かれるワッセナー協約(通称:新ココム)の管理対象品目見直し会合で加盟33カ国に対して提案される予定ということらしい。
 この判断に昨日のINTERNET Watch Webにも載った、米下院商業委員会が9月24日に暗号技術の輸出を自由化する法案を可決した件が影響しているのは間違いないところで、米国の規制緩和の動きに追随した形を取ったとも考えられる。これらは民間企業などの強い要望が日米ともに反映されている結果とも言え、民間が官を主導している様でもある。しかし現在の各国国政のトレンドを見た場合に、国防(守り)より国利(攻め、又はお金)を優先させる傾向(必要性)があることから、まずはその流れを推し進めたいという思惑もありそうだ。
 来週月曜日の29日から、日経産業新聞・マルチメディア面でこの関連企画が連載されるので、暗号製品規制緩和の方向性や効果なども見極める参考にもなるだろう。



[デジタル携帯電話][電子マネー](レベルA'
携帯電話+電子マネー


 日経産業新聞6面には、米マスター・カード・インターナショナル傘下のモンデックス・インターナショナルは英移動体電話会社のセルネットとモンデックスの電子マネー・システム対応型のデジタル携帯電話の開発で提携するという記事が掲載されている。既に両社は開発作業に入っており、向こう1~2年でモンデックス・システム対応型の携帯電話を欧州などで発売するようだ。
 9月22日のMONDEXのリリースでも、開発する携帯電話には欧州規格のデジタル携帯電話方式「GSM(Global System for Mobile communications)」を採用するとあり、電子マネーをICカードで扱うスマート・カードを使って、通話料金の支払いはもちろん、電子マネー口座からスマート・カードへの引落なども携帯電話を使って可能となるとしている。 スマート・カードを他の携帯電話に差し込んで、通話出来るようにするシステムも検討しているということだ。
 CellNetはブリティッシュ・テレコム(BT)の子会社で、英国のみならず69ヶ国で270万人のユーザーを持ち、一日1千万コールを誇るセルラー電話会社でもあるので、GSM方式が普及している世界各国(特に欧州やアジア地域)でMONDEXの電子マネーを使えることになる。電子マネー用の専用端末がなくても携帯電話だけで口座引落が出来れば、スマート・カードの使い勝手もグンと上がることは間違いないだろう。またそのスマート・カードで通話の際の個人認証なども出来るので、携帯セルラー通信業者にとっても課金制度を統一できるメリットもあり、それぞれの企業にとって益の多い開発が期待出来そうだ。



[無線LAN](レベルB
NTT・ワイヤレスデータシステムWL-100


 日経産業新聞9面及び日刊工業新聞9面には、NTTが26日に世界最高速伝送の無線LANシステム「NTT・ワイヤレスデータシステムWL-100」を発売するという記事が掲載されている。
 9月25日のNTTのリリースでは、19GHz帯の無線周波数を利用し、最高25Mbps(実効通信速度15.2Mbps)のワイヤレスデータ伝送を実現しており、クライアントPCを12台接続するシステムではそのシステム価格が約3百万円となっている。その中でも中心局が135万円、端末局が54万円(12台接続では2局必要)という構成となっており、8ポートHUBを持つ端末局にクライアントPCを数台接続するようなオフィス・グループでの使用を想定しているようだ。
 高速LANについては有線のLANと同等もしくはそれ以上の伝送速度が求められており、KDDなどでも最大18Mbps(2Mbps×9チャンネル)のマルチチャンネル無線LANを4月に開発している(4月3日のKDDのリリース及び4月4日のNEWS Watch参照)のだがが、まだ製品として出されてはいないところを見ると、その需要度に疑問が残っていると思われる。
 今後、この製品も低価格化と伝送速度アップ化が図られるならば、インテリジェント・オフィスなどにおけるOA機器の移動や追加、撤去といった、流動性を持った効率的レイアウトも可能となってくるので、有線LANに代る室内通信手段への期待が膨らみそうだ。




余談その1:インターネット電話再販
 日経産業新聞2面には、リムネットが11月から、インターネット国際電話の再販事業を始めるという記事が掲載された。16回線分を1,200万円で販売し、リムネットは通話管理などのサービス料金を徴収するようだ。
 既にインターネット電話システム販売は開始しているリムネットだが、インターネット電話システムを自前で持って商売しようというプロバイダーや新規通信業者の数がまだ少ないことから、インターネット電話事業参入への敷居を低くした方策と言えそうだ。話題だけが先行して一般への浸透が遅れていることも、事業としてもうひとつ盛り上がっていない原因とも思われる。

余談その2:コンテンツ開発支援
 日経産業新聞5面には、通産省が音声や画像などを取り込んだマルチメディアコンテンツ制作に必要な技術開発を支援するという記事が掲載された。中小企業を中心に35件の研究テーマを採択し、一件あたり5千万円~1億円程度(総額22億円)を助成するらしい。
 9月24日の通産省のリリース及びマルチメディアコンテンツ振興協会(MMCA)のリリースにはその詳細が掲載されており、全国から公募を行った結果、1,198件の申請が寄せられ、35件が採択候補として選定されたとある。
 1件あたり平均6千3百万円弱の助成金が多いか少ないかは何とも言えないが、即インターネットなどで広くその成果の良し悪しの判断がつく研究だけに、単に助成金を食いつぶすだけではないところを期待したい。

余談その3:PC国内生産鈍化記事に想う...その3
 日刊工業新聞2面には、富士総合研究所が25日に日本の生産に関するリポートをまとめ、耐久消費財(車等)などの最終需要財の在庫が生産財に先行して増加しており、そのケースが発生した後には必ず景気後退の道をたどっているという記事が掲載された。
 上記からすると、PCのみならず一般工業製品全般でも在庫のだぶつきが出ているわけで、PCに関してだけ大騒ぎをするのはいかがなものか、とこの記事を読むと思えてしまう。しかし、このリポートが(日本全体の)景気後退の前触れとしていること方が、もっと気になってしまうのだが...

余談その4:Watch型ポケベル(今日の軟な話題)
 日刊工業新聞15面には、NTT DoCoMoシチズン時計と共同で、ウォッチ型ポケベルを開発したという記事が掲載された。年内に1万円台で発売されるらしい。
 インプレス社と共同で開発すれば、電子メール配信サービス付きのWatch型ポケベルが出来るようで...(^_^)



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