ウォッチャー金丸のNEWS Watch
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1997年10月7日


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PCを使わないインターネット電話端末「インフォトーク」
富士通グループのネット関連ソフト
余談2題:鬼刑事とは/MS関連イベント2題



[インターネット電話][ベンチャー](レベルA'
シンガポールのイノメディアのPCを使わないインターネット電話端末「インフォトーク」


 日経産業新聞1面には、シンガポールのハイテクベンチャー企業のイノメディアが、PCを使わないインターネット電話端末「インフォトーク」を開発し、年内にも日米や世界各国で発売するという記事が掲載されている。通常の電話機に接続するだけでインターネット接続が可能で、公衆回線を使うよりも約1/10の通信コストで国際電話や長距離電話をかけられるとしているらしい。「インフォトーク」は、自分と相手の電話機の両方に一つずつ端末を接続ので、もちろん双方ともプロバイダーへの加入が必要だが、接続料金だけで双方とも国際電話をかけられる仕様のようだ。価格は端末1台300ドル(内蔵モデム:33.6kpbs)で、日本ではサカタインクインターナショナル(大阪)と東海理化販売(名古屋)が輸入販売することにになるともしている。インターネットTV電話も可能になる「インフォビュー」も1台500ドルで同時発売される模様だ。
 通常の電話機を使ったインターネット電話サービスも、リムネットの「リムフォン」をはじめ、少しずつ普及し始めている(7月28日のINTERNET Watchでのインターネット電話特集も参照)のだが、まだまだ特定のプロバイダーの付加サービスとなっていることから、使用するアクセスポイントやプロバイダー自体を自由に選べなかったりする。その点、上記の「インフォビュー」を使えば、機器を双方で持たなければならないというデメリットはあるものの、プロバイダーは双方任意に選べるので、確実に市内電話料金でのインターネット接続が可能になる。後は、選んだプロバイダーの混み具合や回線状態で通話品質も左右されてくるので、ユーザーにも電話通信業者選択の自由が得られた分、プロバイダー選別の目を持つ必要性も出てくるだろう。

 また同じく日経産業新聞17面には、このイノメディアの創業者で現社長兼CEOのウン・カイワー氏(シンガポールの代表的なベンチャーであるクリエイティブ・テクノロジー社の創設者の一人でもある)のインタビュー記事も掲載されており、イノメディアは他社からの出資は受けずとも社員の持株だけで、充分に世界市場に打って出ている現状などを話している。
 アメリカ的なベンチャー・キャピタルと創業者という関係を持たずとも、アジアにおいては創造的なベンチャー企業を起こす事が可能であるとする好例とも言えそうだ。



[ソフト][電子メール](レベルA'
富士通グループのインターネット関連ソフト


 日経産業新聞2面には、富士通子会社の富士通徳島システムエンジニアリング(FTK)が、インターネット経由の電子メールを相手が読んだかどうか表示する電子メール開封情報照合ソフト「BothWays(ボスウエーズ)」(Windoes95/NT対応) を開発したという記事が掲載されている。これまでは、パソ通や同一サーバーなどでしかメールの未/既読の判別は出来なかったが、クライアント側で判別を管理することでインターネット経由でも可能にするシステムを考案したようだ。1本当たり1,995円(税込み)で、主としてシェアウエアとしてインターネット上で配布し、年内は無料試用できるらしい。
 確かにメールを送った相手が確実に読んでくれるかどうか、どうしても心配になっててしまう方には必要なソフトだろう。相手からの開封返信データが必ず返ってくるので、特にメーリング・リストなどでこのソフトを使った場合には、通信トラフィックの増加を引き起こす元とはなる。しかし、メールを(サブジェクトだけ)「見た」だけなのか、ちゃんと「開封した」かでもめるケースも仕事上以外でも起こり始めており、強制的にでもこういったソフトを使わせたいと思っている(メール情報を発信・管理する立場の)方も多いことだろう。

 次に日刊工業新聞7面には、富士通ピー・アンド・エスが、インターネットを通してユーザーに催し物など最新情報を提供する電子カレンダーソフト「光響詩」を開発したという記事も掲載されている。ユーザーのPCに情報が配信されると画面上のカレンダーにマークが表示され、これをクリックすることで詳細情報が入手できる機能を持つようだ。
 情報提供先企業のURLがあらかじめ組み込まれており、その新製品やイベントなどの最新情報が自動配信されるので、一種のプッシュ・サービスと言ってもいいだろう。

 また先週の新聞記事には富士通静岡エンジニアリングが、フロッピィディスク1枚に入れて持ち運べる携帯用メールソフト「Pocket Mailer」(Windoes95/NT対応)を発売開始した(10月6日のINTERNET Watchダイジェスト記事参照)という記事も掲載されていた(と記憶している)。これもシェアウェアでネット上からダウンロード可能としており、1本1,800円という値段となっている。
 出張時や移動時にPC端末などを持って行かなくても、移動先でインターネット接続されている端末(FDドライブ付き)があれば、FD1枚でとりあえずメールだけは送受信できるようになる点が、一番の売りとなっている。

 上記の富士通関連の3社がそれぞれ、インターネット関連ソフトをほぼ同時期にリリースするのは、現在のネット関連ソフト隆盛時においては単なる偶然(?)なのかもしれない。しかし、ちょっとした使い勝手の良さこんなものがこんな時には必要だなというニーズを掴もうとする、ユーザーへの細やかな配慮を感じる製品群ともなっているようだ。富士通全体も、情報ネットワークへの取り組み強化を大きく打ち出しているが、グループ内のこういった各々の製品開発がそのうねりを支えているのだろう。




余談その1:鬼刑事とは
 日刊工業新聞7面と日経産業新聞6面には、横河ディジタルコンピュータ(YDC)が6日、インター/イントラネット上のWebユーザーの認証・管理ソフト「鬼刑事(オニデカ)」を発売したという記事が掲載された。フロッピーディスクを使って、アクセス毎にユーザー認証のためのパスワードなどを書き換える「ワンタイム・パスワード」方式を採用しており、上記のメールソフト「Pocket Mailer」と同様に、FDの廉価性も利用したソフトと言える。
 今日の朝日新聞29面や日刊工業新聞9面にも掲載されている、NTTの研究所の社内ネットワークに外部から不正侵入された事件では、ダイアルアップ接続方式を悪用した手口が使われたことで、パスワードの管理が問題とされている。ダイアルアップの様な簡易な接続方式を持つシステムにこそ、FDなどの安価な媒体を使った鍵を使うことを考えた方が良いのだろう。(FDの復権にも、上記ソフト共々寄与してくれそうではあるが...)

余談その2:MS関連イベント2題今日のヤジウマ9月24日のやじうまWatchも参照)
 日経産業新聞17面には、6日付のニューヨーク・タイムズ紙上で、消費者運動家のラルフ・ネーダー氏が米MSの市場支配に反対する全米キャンペーンを計画し、11月13、14日にワシントンで集会を開く予定だという記事が掲載された。米サンのスコット・マクニーリー会長(通称JAVAMAN?(^_^;)らが参加するとも報じられているらしい。
 一方、asahi.comの10月7日付のシリコンバレーリポートでは「マイクロソフトマラソンを見る」と題して、9月21日に米サンノゼでMSが主催したマラソン大会を写真付で特集している。概ね参加者や周辺住民にはこの催しは好評で、楽しければどこが主催しようがOKだという雰囲気が伝わってくるリポートになっている。
 これらはMSに関しては相反するビッグイベントとなっているのだが、アメリカ人達は(趣旨はさておき)楽しむ事にかけては天才的であるので、大いに盛り上がる(った)イベントになる(なった)ことだろう。(^_^)



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