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ウォッチャー金丸のNEWS Watch

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1997年11月12日


HEADLINE 3 articles

地方情報格差是正への方策
VPN廉価ルーター
イントラネットで医療情報
余談4題:カタリスト/ASAHIネットの全米ローミング・サービス/簡易電力モニター/ジョブズがデルに噛付く


 

○地方情報格差是正への方策
 日経新聞13面には、徳島県内のプロバイダー5社が来年度中にも、アクセス・ポイント(AP)の相互接続を実現させるという記事が掲載されている。徳島県や徳島大学などと行う実験の一環で、富士通徳島システムエンジニアリング(InfoEddy)スタン(STAN NET)であいネット(Mandala Net)ニューメディア徳島(NMTネット)レインボーネット(City Naruto)が参加し、まず徳島市外にAPを持つ会社から2社を選び、県の第三セクターである徳島健康科学総合センターと共同で12月に実験するとしている。

 県レベルのインターネット・インフラ整備ということで言えば、岡山県が推進している「岡山情報ハイウェイ構想」(5月28日及び10月29日のNEWS Watch参照)の様な、光ファイバーを新たに敷設し、IIJ東京インターネットなどとの相互接続も果たしてAPを増設するなどの派手さはないだろう。しかし今回は、中小のプロバイダーがサービスアップ(生き残り)のために取る相互接続の方策が、結果的にインターネット接続を安価に提供できる地域を広げて、地方の情報格差是正に貢献する地道な取組みになるものとしても期待したい。


○VPN廉価ルーター
 日経産業新聞2面には、セイコーインスツルメンツ(SII)は12月上旬から、専用線サービスを利用しなくてもインターネットを利用して専用線網を構築できるルーター「アクセスゲートウェイ NS-2480-20/21」(DSU無し:9万8千円/DSU内蔵:11万8千円)を売り出すという記事が掲載された。ISDNやOCN網を使ったVPN(仮想プライベート網)構築が可能な機器として、1対1で使うことを想定しているようだ。

 11月11日の同社のリリースにもあるように、上記に「マルチアクセスサーバ NS-2482」を含めたNS-2400シリーズは全て、VPN構築が可能となっており、トンネリングやアクセスリスト、パケットフィルタなどの技術を利用することにより、インターネット上の特定の拠点間通信におけるセキュリティと閉域性を提供出来るとしている。データをアウトソーシングする企業や事業者が増えつつある一方、専用線には利用料金も高く利用方法も融通が効かないという制約があり、この製品群を含めたVPN用の機器やソフト、回線サービスへのニーズは今後とも増えると思われる。


○イントラネットで医療関連情報
 日経産業新聞19面には、健保連大阪連合会が98年春をメドに、全国の先端的な病院や近畿地方の全病院(合計約3千病院)の詳細情報を、大阪府の約300の会員健保組合にイントラネット提供するという記事が掲載された。診療科目など基礎データだけでなく、看護体制や医療設備など自治体に報告している情報全項目を提供するとしている。

 健康保険組合にのみ病院等の情報がイントラネット公開されるということで、例えば健保組合での病院選定や医療費用のチェックのための情報として、サービス・アップや医療費削減などにも寄与させる狙いがあるのだろう。しかし、一般の患者にとっても医療現場の詳細なデータは、適正な病院などを選別する貴重な情報源ともなるので、早期のインターネット公開も望まれる。




余談その1:カタリスト
 日経産業新聞2面と日刊工業新聞7面には、アスキーサムシンググッド(ASG)が11日、米ニューファイア社と提携し、同社のソフト「カタリスト(Catalyst)」(25万円、画像再生ソフトの「トーチ(Torch)」は無料)の日本での販売開始の発表を行ったという記事が掲載された。これはVRML使用の立体動画像作成ソフトで、15~30フレーム/秒のスピードの高速立体動画像を作成できるとしており、当初は英語版を販売して来年3月から日本語版を投入するともしている。

 このソフトは、主にゲームサイトなどを制作するようなプロ・デザイナー向けと考えられるが、ホームページに動画を入れたいとするニーズも拡大させる可能性も持っていそうだ。

余談その2:ASAHIネットの全米ローミング・サービス
 日経産業新聞2面には、ASAHIネットを展開するアトソンが今月末をメドに、米プロバイダーのUUNETの接続ポイントを同社が借りて、米約500都市で会員に対するローミング・サービスを開始するという記事が掲載された。

 このところ日本のメジャー・プロバイダー会社がこぞってサービスアップのために参入する海外ローミング・サービスなのだが、海外での仕事や旅行先でのネット接続が安価に出来るかどうかも、プロバイダー差別化の項目としては一般化してきた感じだ。

余談その3:簡易電力モニター
 日刊工業新聞12面には、富士通が自社開発した簡易電力モニター装置(乾電池式)2千台を全国拠点に配備し、99年末までに電力消費量を10%削減(年4億円!)するという記事が掲載された。特にオフィスなどでコンピューター設置数が多いソフト開発部門での電力削減効果を期待しており、装置自体も98年から外販する計画ともしている。

 24時間インターネットなどに繋ぎっぱなしのコンピューター・ネットワーク環境が整備されるに連れて、情報への接続及び通信料金が気になるばかりでなく、電力消費量にも注意しなければならない時代になってきたようだ。

余談その4:ジョブズがデルに噛付く!?
 日経産業新聞21面には、米Appleのジョブズ暫定CEOが10日のオンライン販売などの新事業発表の場で、米デル・コンピュータのマイケル・デル会長に挑戦状を叩き付けたという記事が掲載された。デル会長が10月にAppleの先行きを悲観視した(けなした?)ことに端を発しており、その日ジョブズ氏は、オンライン販売でいつかデルに追い付いてやるとする発言も行ったともしている。

 相変わらずのジョブズ節が出たようだが、言葉だけではなく実績でどこまでPCメーカーとしての気概をデルに見せつけられるかということにも、注目が集まることだろう。


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