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1997年12月8日


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日本と韓国とのインターネット相互接続
インターネット・キャッチホン・システム
電話番号入力でネットサーフィンを
余談4題:インターネット電話ユーザー数/PHSデータ通信料値下げ/複数電子マネー対応/ラジオと雑誌の連動企画


[国際相互接続](レベルA'11月27日のINTERNET Watch記事も参照
日本と韓国とのインターネット相互接続


 日経産業新聞2面には、プロバイダーの相互接続事業を展開する日本インターネットエクスチェンジ(JPIXKDD東京インターネットAT&T Jensなどの大手プロバイダーなど16社の共同出資会社)が来年1月から、韓国大手プロバイダーのDACOMに日本のプロバイダーとの相互接続サービスを提供するという記事が掲載されている。韓国では日本のホームページやDBへの閲覧要求が多いため、DACOMと東京・大手町のJPIXセンターの間をDACOM負担の国際専用線で接続するとしている。
 これまで海外との接続は、日本と海外のプロバイダー同士の接続にとどまっており、今回が日本のプロバイダー相互接続点に海外企業が直接接続する初めてのケースとなるともしている。

 11月18日のNEWS Watchでは、グアム-フィリピン間を結ぶ海底ケーブル敷設や「China-US太平洋海底光ケーブル」計画などが、日本の情報空洞化に拍車をかけるのではとの懸念を表明したが、今回の様に相手国側から接続要求が来る程の(アメリカと同じ立場に立つような)アジア地域での情報のハブ化を日本が目指すためには、回線強化とともに発信する情報の付加価値も上げることも優先すべきだろう。

編集部注:KDDに問い合わせたところ、DACOMとの接続に関しては現在交渉中で、正式には決定していないとのこと。




○インターネット・キャッチホン・システム
 日経産業新聞1面には、カナダの通信機器のノーザン・テレコムが、インターネットにアナログ電話で接続中に他の通話がかかって来た場合に、ユーザーのPC画面にメッセージを表示するサービス「インターネット・コール・ウェイティング」を開発したという記事が掲載された。利用するにはJava対応のブラウザーと電話会社の話中転送サービスがあることが必要だが、従来のキャッチホン・サービスとは異なり、接続中に割り込み電話が入っても回線は切れずに電話が入ったかどうか分かるとしている。また、このサービスを提供するためのシステムを、まず北米の電話会社やプロバイダーなどに販売し、日本など海外向けには98年半ばを予定しているようだ。

 12月2日の同社のリリースでは、今年の末までにカナダ都市部の数地域でサービスを開始するとなっており、北米だけではなくISDNサービスの普及比率が低い地域では、このサービス需要も多くなるだろうと推測される。ISDN普及率が高い日本においても、今後通話料金が安い一般公衆電話でのダイアルアップ接続サービスの差別化のための、Javaとブラウザーを使った方策の先駆けとなるものと思われる。


○電話番号入力でネットサーフィンを5月6日のNEWS Watch参照)
 日刊工業新聞10面と日経新聞18面には、インターネット関連サービスのディアンドアイシステムズ(D&I)が電話番号データ管理業のNTT情報開発と提携し、希望のホームページに接続する際にURLを打ち込まなくても、その企業や団体の電話番号を入力するだけで済むサービスの共同展開を始めたという記事が掲載さた。D&Iは昨年8月から「ハッチ」システムの名称で、1~10ケタの数字を入力すれば目的のページに接続できるサービスを開始しているが、今回は電話番号をURLに変換し登録するサービスを月額1千円程度にするとしており、将来的には電話番号でホームページに接続できる企業・組織をタウンページに明示することも計画しているようだ

 インターネット・ユーザーがPC利用者ばかりでなく、キーボードを使わない一般ユーザーなどが増えてくることが予測されるので、電話番号という馴染のあるロケーター(場所や分類を示すもの)を使ったオンライン広告や情報提供サービス展開などへの用途の広がりも見込めそうだ。




余談その1:インターネット電話ユーザー数
 日経産業新聞22面には、コールバック方式の格安国際電話で急成長している米IDTが、インターネット電話の利用者が世界で35万人に達したことを明らかにしたという記事が掲載された。同社は'96年8月にPCと電話をインターネットで結び通話できる「Net2Phone」('96年8月20日のINTERNET Watch記事参照 )を開始し、今年9月には電話同士の通話が可能な「Net2Phoneダイレクト」サービスを米国で始めており、 日本でも丸紅と組んで10月にサービスを開始するなど事業を拡大しており、来春には同社の売上高の1割強をネット電話で占めたいとしている

 具体的に世界のインターネット電話のユーザー数が提示された例は、今回が初めてなのではと思うが、35万人という数字の桁数が上がるのも、あっと言う間の出来事になりそうだ。

余談その2:PHSデータ通信料値下げ
 日経産業新聞9面には、DDIポケット電話グループが来年1月から、データ通信専用料金を導入するという記事が掲載された。同グループは、DDIのデータ通信専用網を活用し1分13円のインターネット接続サービスなどを提供しているが、今回は通常の音声での通話料金に比べ10~40%割安にする方針で、さらに文字メッセージサービスの多様化なども進める計画としている。

 現在、携帯電話の通話料金値下げにおされた形でPHSの通話料金収入の低下を招いているわけだが、32kbpsデータ通信料金の値下げがPHS利用率アップにつながるかどうか、PHS陣営にとっても'98年は勝負の年となろう。

余談その3:複数電子マネー対応
 日経産業新聞2面には、米ヒューレット・パッカード(HP)が来年第1四半期をめどに、複数の電子マネーに対応できるICカード読み取り端末「PATM」(Personal-ATM)を日本で発売するという記事が掲載された。仕様の異なる複数の電子マネーに1台で対応できるのはこれが初めてで、「モンデックス」や「ビザキャッシュ」など異なる電子マネーでも一台で読み取れるとしている。

 日本国内外でも、銀行やカード会社などによる電子マネーの標準化への動きが激化してきているが、そんなデファクトを取るような争いに巻き込まれるより、この様な方策の方がスマートでもあり、EC普及を早めることにも貢献してくれそうだ。


余談その4:ラジオと雑誌の連動企画
 日経産業新聞3面には、TBSアスキーが8日から、インターネットやPCの活用法などをテーマにTBSラジオとアスキーの雑誌、そして両社のホームページを連動させて発信するコンテンツの共同企画制作を始めるという記事が掲載された。TBSラジオは8日から3日間、午後9時から1時間の特番「デジタルおとな電話相談室」を放送し、月刊/週刊アスキーの両編集長をゲストに迎えて事前にインターネットで募集した質問に答えていき、「週刊アスキー」(1月号)の他、「月刊アスキー」(1月号)や「インターネットアスキー98」(2月号)などで、番組で伝えきれなかった情報を記事で掲載するとしている。

 これは、昨年からラジオのニッポン放送とインプレス社が取り組んでいるメディアミックスのコンセプトと同様な試みなのだが、'98年には両陣営の展開にどのような差異が出てくるか、注目されるところだろう。



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