ちょっと知りたいページの裏側
第2回:日本のコンピュータ情報
■URL
http://www.fujitsu.co.jp/hypertext/link/
「ちょっと知りたいページの裏側」は、皆さんがご存知のさまざまなサービスやコンテンツが、どうやって作られているのかといった、なかなか知る機会がないところをインタビューしようというものです。
さて第2回目は、富士通の中にある「日本のコンピュータ情報」。このページには、富士通をはじめさまざまなハードウェア・ソフトウェアメーカーのニュースリリースへのリンクがまとめられています。また、更新時間も昼間はもちろんのこと、深夜の3時だったり、早朝6時半だったりと、メーカーのページでありながら、いい意味でらしくないユニークなページです。そのあたりを中心に、富士通のwebmasterをしている新井さんにお話をうかがうことにしました。
■参照データ
www.fujitsu.co.jp:1,400万ページ/月
日本のコンピュータ情報ページ:155万ページビュー/月
●始まりは、社内IRCで得た反応の高さ
IW編:まずは、「日本のコンピュータ情報」を始めたきっかけを教えて下さい。
- 新井:たまたま若い人が作ったページを見て「おもしろいじゃないか」と思ったのをきっかけに、コンピュータ関連のWhat's
Newのリンクページというのを試しで作ってみたんです。それで、社内のIRCで反応を聞いてみると、「面白い!」と好評で。大勢がそう言うならたぶんそんなに外れたサービスじゃないし、やってみようかということになり、'96年9月から始めました。
IW編:そうすると、最初は社内の人向けに作ったものなんですか?
- 新井:といいますか、ネットワークの上で自分らが必要な情報を、どんなふうにしたら楽しくみられるか、という彼らのワガママでできあがったようなものなんです。自分達も便利で、でもそれによって世の中の役に立てればいいなと。
IW編:他社の新製品情報を掲載するというのはスゴイ、と思うんですが…。
- 新井:最初、富士通のホームページにそれを持ち出すのはさすがにちょっと勇気要りました(笑)。他社さんのパソコンの情報を出したりするわけですから。そこで、私の上司、広報室長に相談したところ、「いいことだから」と言ってくれまして、また折りがあったら社長にも断わっておいてあげるよ、と。まぁ、何かのついでに断わってくれたんでしょうね。一応社長決裁なんです。
IW編:読者からの反応はいかがですか?
- 新井:掲載した会社から、うちのリンクが間違ってます、なんて指摘がすぐ来るんです。そんなとき、見て頂いてるんだなと実感したりして(笑)。よく叱られてますけど、ありがたいなと思います(笑)。
IW編:新井さんご自身のインターネット歴は?
- 新井:'94年に今でいう富士通社内のイントラネットの運用を引き受けたんです。それまでは、ボランティアでどこが運用元ともつかず広がってきたんですね。それで、どこかがまとめなくちゃいけないというんで、私が引き受けます、と。
IW編:それ以前もネットワーク関連の仕事をしていたんですか?
- 新井:イントラネット運用を引き受ける前は、富士通の中で、パソコン通信のCUGがあってそれのシスオペをやってきたんです。でも、あるときNTTのWhat's
New!を見て、その便利さにコロッと一転してしまって(笑)。そう、あの日本地図の中に日本中のWebが集められていた頃です。それまでは、パソコン通信のほうがいいなんて言っていたのに(笑)。
●サイトチェックは全自動から手動まで使い分け
IW編:www.fujitsu.co.jpのマシン構成を教えてください
- 新井:現在は、計6台あります。8CPUのワークステーションSS1000Eが1台。これは、www.fujitsu.co.jpとftp.fujitsu.co.jpも兼ねています。シングルCPUのワークステーションSS20が4台。ほかに社内のサーバーを検索できるサーバー、「検索君」と呼んでいるんですが、それが1台です。
IW編:サイトのチェックに関しては、プログラムなどを使ったりしているんですか?
- 新井:いろんな道具を使っています。「小回りくん」と呼んでいるんですが、うちが開発したもので、指定した時間ごとに回ってくれるんです。それも使ってるし、フリーでもそういうソフトがありますよね。「小回りくん」のような全自動のしかけと、ちょこちょこっと手でやるような更新チェッカーみたいなのと、両方使っていますが、双方良いところ悪いところがあるんで、適当に使い分けています。
IW編:巡回している会社の基準はありますか?
- 新井:基本的には、自分がうちで環境を作るときに、自分が買おうと思う道具のサイトを選んだという感じです。初期のころは、「オレはあそこのパソコンが好きなのに入っていないから加えろ」なんて社内IRCで言われたりして(笑)。僕が知らないところで必要なものは、教えてもらって加えてきた感じです。たまに相手先に行ってのぞいてみて新しいページができたりしたところをチェックすることもあります。
IW編:見出しの文章を見ると、見たままでなくて、ちゃんと中身を読んで付けているという印象があるんですが、そのあたりは?
- 新井:一応内容は見ています。それによって、要らないな、というものは落としたり。でも、早く寝たいからバッと片づけることもあります(笑)。そのとき次第ですね。以前は、やっていくうちに1ページがだんだん大きくなってしまったので、少しでも寸詰めようとしたんです。だから、「~について」と言う部分や、「~発売」なんていう当たり前の部分は落としたりしてね。
IW編:ところで、今回一番お伺いしたかったことなんですが、更新時間を見ると、昼間はもちろんのこと、午前3時だったり、早朝だったりと24時間体制かと思ってしまうほどの頻度ですよね。それについてはどうやって作業しているんですか?
- 新井:(家で)寝る前にやったり、朝会社来る前に起きてやったり。3時頃の更新の場合は、飲み会などがあるとその分(生活が)ずれますよね。ずれるとああいう時間になったりするだけの話で(笑)。自宅に帰ってもメールぐらい見られるでしょう。それのついでにやってるだけのことですから。
IW編:ついでとはいっても、やはりなかなかできないことだと思うんですが…。休日も更新されていたりしますよね。
- 新井:電話線があるところにいたら一回ぐらいメール見ませんか?
IW編:うーん、見るときもあるし、見ないときもありますが…。
- 新井:その程度なんですけどね(笑)。それが仕事ですから。
IW編:全部一人で作業しているんですか?
- 新井:以前は一人でした。現在は、昼間は別の人がやっていて、僕は夜と休日を担当しています。
●今後の課題は見せ方の工夫
IW編:時々ページのデザインなどが変わったりしていますね。
- 新井:現在、休止しているサービスがあります。いいサービスだと思ったんですが、なぜか検索サービスが、全然使われないんだなぁ。パソコンと入れれば、富士通から他社からみんな出てくるし、便利だと思うんですけどね。
IW編:システム負荷が大きくてやめたのかと思っていましたが。
- 新井:あまり賢くない検索エンジンを使っていたこともあるんです。しばらく休止してみると、いろいろ出てきてるし、今更かなと。もういいかなと思っているところがあります。
IW編:これからつけ加える機能などの予定があれば教えてください。
- 新井:何か変えると2つにひとつは失敗しているんですよ(笑)。で、社内でいろいろ言われて。また変えないと言われるし、難しいですね。ただ、情報の見せ方を工夫したいなとは思っています。3日に1度のアクセスであればいいかもしれないけど、1日に1度アクセスしてくる人は見にくいかもしれない。そうそう、コメントをつけたらどうかという話もあったんですよ。でも、うちが他社の商品にコメントをつけたら大変なことになる(笑)。いい話だけならいいんですけどね。
IW編:Webを作っている人なら見せ方についてはきっと一度は悩むと思うんですが、確かに難しいですね。
- 新井:ネットワークって、みんなで使っているじゃないですか。そんな中でみんなで便利に使えればいいなと思っています。そこで僕ら自身にとってもおもしろい何かがあればまたやるし、つまらなくなればやめちゃうかもしれないし。昔流のやりかたでやってますので、あまり計画性はないです(笑)。まぁ、有料にするつもりはないし、できる範囲でやっていきたいと思っています。これいいな、なんていう話があれば考えます。
IW編:ありがとうございました。
【編集部より】
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('97/3/4)
[Reported by junko@impress.co.jp]
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