[トラブル]
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02:政府サーバーに侵入事件続発。新聞社にも
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●経企庁シンクタンクにも

 経済企画庁のシンクタンク「総合研究開発機構(NIRA)」のホームページ(HP)に
ハッカーが侵入。一部の文字から米国の成人雑誌「プレイボーイ」のHPにリンクが張
られるなど改ざんされる被害を受けていることが26日、分かった。

●毎日新聞社にも侵入の形跡

 毎日新聞社(東京都千代田区)の接続用コンピューター(サーバー)に対し、ハッ
カーによるものとみられる外部からの不正な侵入の形跡があったことが26日、分かっ
た。
 同社によると、同日午後7時40分ごろ、同社社員がハッカー侵入の形跡に気付き、
同社は急きょサーバーを停止、調査に当たった。サーバーは同日午後11時までに復旧
したが、その間、同社のホームページが閲覧できなくなった。同社は今後、さらに詳
しい原因を調査するとしている。

●総務庁統計局でまた被害

 総務庁統計局のホームページ(HP)に再び何者かが侵入し、内容を書き換えていた
ことが27日朝、分かった。これまでの総務庁や科技庁の被害と同様、南京大虐殺に言
及し「日本軍国主義の復活」などと批判する中国語文が書き込まれ、新たに
「Miracle」と署名されていた。同庁では直ちにサービスを停止し、首相官邸と警察
庁に通報、被害状況などを調べている。

●警視庁、アクセス時間を絞り込みへ

 科学技術庁と総務庁のホームページ(HP)が書き換えられた事件で、警視庁麹町署
捜査本部は27日、ハッカーがアクセスした時間帯の絞り込みなど、両庁のサーバーコ
ンピューターのデータを収録したハードディスクの解析に向け、本格作業を始めた。
捜査本部は既に両庁の担当者から事情聴取を進めており、中央官庁を狙った初のハッ
カー事件の全容解明を目指す。

●大学コンピューターのアドレス利用

 人事院のホームページ(HP)に25日未明、約1万件の不正アクセスが試みられた件
で27日、高知県土佐山田町にある高知工科大学のコンピューターのIPアドレス(コン
ピューターのID番号)が使用されていたことが同大学などの調査で分かった。
 人事院のホームページは中央省庁と関連機関を結ぶ広域システムの「霞が関広域通
信ネットワーク(WAN)」に付設されているが、同ネットワークに同大学の研究室に
あるコンピューターのIPアドレスが残っていた。同ネットワーク運用センターが25日
午前、同大学に連絡、同アドレスが使われたことを確認した。

●不正アクセス、文部省でも。侵入は失敗

 東京・霞が関の中央省庁ホームページ(HP)への「ハッカー」行為が問題となって
いるが、科技庁や総務庁などに続き文部省のホームページへも何者かが不正に侵入を
試みた形跡があることが27日に分かった。同省は、内閣安全保障・危機管理室に報告
するとともに、大学など文部省関係機関へも文書で注意を呼び掛けた。

●外務省にも不正アクセス。防止ソフト作動し実害なし

 外務省のホームページ(HP)に対し25日午後10時すぎに、不正アクセスを試みた形
跡があったことが27日、明らかになった。実際には、不正アクセス防止ソフト(ファ
イアウオール)に遮られ、HPを管理しているサーバに達しなかったため実害はなかっ
た。

●運輸省HPも改ざん。「日本はアジアの恥」と書き込み

 中央官庁のホームページへのハッカーの侵入が相次ぐ中、27日夜、運輸省のホーム
ページ(HP)も改ざんされていることが分かった。
 HPには中国語で「われわれは、日本政府が1937年の南京大虐殺を認めないことなど
に強く憤慨する」などと書かれていた。さらに英語で「日本人?みんな知っているよ
うに、歴史の真実に対面する勇気がない人々だ。アジアの人々の恥だ」などと書かれ、
三つのアドレスが書き込んであった。これらのアドレスに接続するとうわさが書き込
まれた中国語のHPにつながる。ハッカーは「湖南省のビリー」と名乗っている。
 同日午後9時すぎに、運輸省職員が改ざんに気付き、HPを停止した。

●郵政省、ネット接続業者に対策を要請

 郵政省は27日、科学技術庁などのホームページが相次いでハッカーの不正な侵入を
受けている問題で、インターネット接続業者(プロバイダー)の業界団体であるテレ
コム・サービス協会に対し、2月下旬をめどにハッカー対策をとりまとめるよう要請
したことを明らかにした。
(時事通信社)
(2000年1月28日)