*************新企画!「ウォッチャーのイチオシサイト紹介!」*****************

 本日が第1回目の新企画「ウォッチャーのイチオシサイト紹介!」。このコーナー
では、日頃、最新ソフト情報から面白サイト情報まで、世界中のありとあらゆるイン
ターネット関連ニュースから、新鮮な情報を発見して編集部に教えてくれているネッ
トサーフィンの達人「ウォッチャー」の方々が、その鋭い視点で選んだお薦めのサイ
トを紹介します。
 今一番「旬」なサイトから、各ウォッチャーの趣味が滲み出るサイトまで、幅広い
ジャンルを紹介していく予定です。どうぞお楽しみに!
---------------------------------------------第1回レポーター: 福本直之 氏

海岸から遠く離れて - SEA TV -
http://seatv.nttlabs.com/seatv/

 現在開催中のInternet World Expo'96。イベントがある度にWatchでもお伝えして
いるが(記事中に「StreamWorks」と「リアルタイム」という言葉が使われていたら
まずIWE'96関係のイベントだと思っていい)、開催から半年経って折り返し点に来た
今でも未だにその全体像を掴めぬ者も多いと思う。なるほど日本公式パビリオンのア
ートディレクションはシンプルかつ上品に洗練されているし、企業協賛パビリオンも
さりげに自社PRを折り込みつつ、様々なやり方で日本色を打ち出そうとしている(蛇
足だがソフトバンクのサイトのやる気のなさは一見の価値があると思う)。
 しかしそうしたIWE'96公式パビリオンのいずれに対してもどことなく空疎な感じを
否めないのは何故だろう。それはコンテンツが当事者の内的自発性・必然性に基づく
物とは到底思えないからだ。それら展示物は主体性(Subjectivity)に基づいた「表
現」としてあるのではなく、まさしくワンノブ展示物(Object)としてある。
 そうした華々しくも空疎な公式サイトとは別に、つつましくも、しかし確実な手応
えを感じさせてくれるサイトをここにご紹介しよう。NTTLABのサイトの中に置かれて
いるSEA TVは海をキーワードに、人的交流、知的エンターテイメントの創出を目的と
してボランティアベースで運営されている。IWE'96参加以前の昨年6月に開局し、す
でにマルチメディアグランプリのネットワーク部門エンターテインメント賞を受賞し
ているのでご存じの方もいるかもしれない。
 SEA TVのコンテンツは多岐に渡るため詳細をここに書くことはしない。ただネット
ワークの利点を生かし、人と海とを切り結ぶ現在可能な試みの全てがここに収められ
ているといっても決して言い過ぎではないだろう。エコロジーというキーワードも見
え隠れし、全体に牧歌的雰囲気も漂うが、気楽でイージーなノリだけではこれだけの
コンテンツを生み出すことなど出来はしない。素朴かつ手作りの風合いを感じさせる
デザインも洗練されたプラスチックなイメージに覆われたIWE'96関連のサイトの中で
独特の味わいを醸し出している。今夏には世界の海をリアルタイムで放送する
「Seaside Network」などの企画も控えているという。
 水族館は都市と海の境界線上に成立する。それは都市と海を繋ぐ場所である。繋ぐ
こと(Wire)、それはまたインターネットのラディカルな運動性の謂いでもある。北
極海の白イルカを100Mbpsの高速光ケーブルを経由してアキバの90インチLCDディスプ
レイで見ることができる日はいつだろう。
(おまけ:筆者がWebmasterを担当する「第4回世界水族館会議」のホームページはこ
ちらです。 http://www.sisnet.or.jp/nomurakougei/IAC96/index.html )
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(96年6月19日)