============================================================================ 特集 オンライン小説 読書の秋には、インターネットで小説を読もう ============================================================================ そろそろ陽気も秋めいてきたが、秋といえば食欲やスポーツではなく、アカデミック に読書としゃれ込みたいところだ。インターネットには数多くのオンライン小説サイ トがあるが、あまりにも膨大な量があるため、今回は日本語で読めるものの中から編 集部の独断によるお薦めサイトに絞って紹介したい。 ●インターネットの特性をいかした小説サイト ---------------------------------------------------------------------------- WWWで小説を読むからには、まずはオンラインならではの楽しみ方のできる読書をし たい。ここでは、HyperTextやRealAudioなど、インターネットの特性を生かしたサイ トを紹介する。 ■時間、場所などは読者の自由。WWWの特性を生かした「99人の最終列車」 http://www.justnet.or.jp/naminori/99/top.htm 江戸川乱歩賞授賞のミステリー作家、井上夢人作の「99人の最終列車」を読むことが できる。舞台は地下鉄銀座線だ。HyperTextの特性を生かして時間、場所、人物の読 み進め方は読者が自由に選ぶことができる。毎週更新。 ■用語の解説もついて、実際の仕事にも役立つ!「小説企業講座」 http://biztech.nikkeibp.co.jp/nvw/novel/index.htm このページの特徴は、読んで面白い小説でありながら、ハイパーリンクによるデータ や用語の解説が付いており、実際の経営やビジネスにも役立てられそうなことだ。作 中人物が経営などの選択をする局面では、読者が電子メールで投票をして物語を展開 させることもできる。毎日更新。 ■味のある方言で語るリアルオーディオ小説「性春の門」が聞ける http://www.dik.co.jp/wa/ii/hougen/novel_mokuji.html ここでは、ちょっとエッチな連載小説「性春の門」をリアルオーディオで聴くことが できる。面白いのはそれが全て方言で語られている点だ。大阪弁に始まり博多、東北 など、主人公の移動に合わせて方言も変化する。これが味があって面白い!小説だけ でなく、ぜひ音声も試してみることをおすすめする。 ■選択により話が変わるゲーム仕立ての小説が読める「DEMANDER」 http://www.gix.or.jp/~suzuya/ ここでは、ハイパーリンクを利用したゲーム仕立ての小説を読むことができる。 Shockwaveで作られたインターラクティブ・ムービーがなかなか秀逸。これをクリッ クすると物語のヒントが。主人公はあなた自身とのこと。 ■貴方の選択次第で結末が変わるハイパーリンク小説「ペンション」 http://inforyukyu.or.jp/~teeda/story/0.html 1ページごとに、2つの選択肢のどちらかを選びながら読み進むという形式の小説だ。 この作者は「ハイパーリンク小説」と名づけている。貴方の選択次第で結末が変わる ぞ。 ■面白おかしく「カガク」を解説する「インタラクティブ・サイエンス・コラム」 http://www.granular.com/ISC-J/ MacUser/Japan付録CD-ROMに連載中の科学コラムのWWW版だ。「サルはハムレットを打 てるか?」「渋滞はなぜ起きる」などのテーマを軽い文体で科学的に解説しており、 面白くわかりやすい。文中には関連科学サイトを紹介するリンクも埋め込まれている。 ●時間の無い人向き?短編小説が読めるサイト ---------------------------------------------------------------------------- 読書はしたい。しかし時間がない。と、お嘆きの方にうってつけなページを紹介しよ う。これらの短編小説ならば、あまり時間をかけずに手軽に読書を楽しむことができ る。 ■「パスカル短篇文学新人賞」の受賞作が読めるページ http://www.asahi-net.or.jp/quick/pascal-top.html ここでは、「パスカル短篇文学新人賞」の第1回、第2回の受賞作品を読むことができ る。受賞作だけあって読み応えのある内容だ。ちなみに、第1回受賞者の川上弘美氏 は今年7月17日に、第115回の芥川賞を受賞した。 ■笑える短編小説がいっぱい。「ゐんばの大型小説の世界」 http://www.asahi-net.or.jp/~EC4T-SN/ 「短い・鋭い・ばかばかしい」をテーマにした、短編小説を約30本読むことができる。 大型といってるが、長編は無い。びっくりする話や笑えるものが多くてなかなか面白 い。 ■続きが読みたかったら、拍手ボタンを押そう!「インターショートストーリー」 http://www.bekkoame.or.jp/~mashu/story/story.html 出だしの部分だけが書かれた小説が、5本掲載されている。読んでみてて面白いとか、 続きが読みたいと思ったら、拍手ボタンを押そう。「拍手10個で、1作品を増やす予 定」とのことだ。 ■詩的な超短編小説が読める。御十三永倖二朗さんのページ http://www.win.or.jp/~sid10795/Tommy/Menu.html ナイトクラブをこよなく愛するという御十三永倖二朗さんの超短編小説集。6本の詩 的な作品が読める。(有)ネオ・ファクトリー発行「IN NATURAL」に連載中とのこと。 ■13本の超短編小説が読める「文駄羅幸左衛門作品集」 http://www.sainet.or.jp/~mulcci/bundara/index.html なかには、ちょっと長めの物もあるが基本的には、ちょっとした時間で読み切ること ができる超短編が13本掲載されている。うまくまとまった内容のものが多い。 ■短編小説とショート・ショートが読める。桑高克直さんのホームページ http://mars.elcom.nitech.ac.jp/~kuwa/Novels/Short/index.html 5本の短編小説と8話のショート・ショートが収録されている。短編のうち2本は完結 しているが、他は、まだ連載中。 ■8ミリの自主制作映画をもとにした小説「名探偵松笠シヒタケの冒険」 http://www.na.rim.or.jp/~h9-japan/ 8ミリの自主制作映画をもとにした、WWWでの展開版第1弾。学園を舞台にした推理小 説で、現在第24話まで掲載しているが、1話1話はとても短い。 ●作家のページ ---------------------------------------------------------------------------- 作家のページは結構たくさんあるが、著作権の関係からかページ上で作品を読める WWWは少ない。ここでは、WWWで作品が読めるページを中心に紹介する。 ■筒井康隆氏らの作品が読める。作家による文芸ネット「JALInet」のページ http://www.jali.or.jp/ 筒井康隆、小林恭二氏らによるインターネットを拠点に創作活動をするJapan Literature Net(通称JALInet)のページ。作家紹介や作品目録の他、エッセイや小 説などの作品を読むこともできる。中でも断筆宣言中の筒井康隆氏の新作「越天楽」 の連載が読めるのは注目に値する。 ■村上春樹氏のおもしろエッセイ「村上朝日堂」 http://opendoors.asahi-np.co.jp/span/asahido/index.htm 村上春樹氏が、週刊朝日に連載中の同名エッセイ集の作品を読むことができるページ。 どの作品も面白い上に、安西水丸氏のイラストも雰囲気抜群で良い。このページ宛て のメールには、村上氏本人も目を通すとのことなので、本人から返事がもらえるかも。 ■ミステリー作家太田忠司氏のホームページ http://www3.hitachi-ts.co.jp/~ohta/ 日本推理作家協会所属、太田忠司氏のホームページ。ここでは、同氏の何編かのショ ートショート作品の他、日記なども読むことができる。かなり頻繁に更新されている ようだ。 ■岡田斗司夫氏の著書2冊の全文をWWWで読むことができるサイト http://www.netcity.or.jp/OTAKU/okada/tosyokan/index.html 岡田斗司夫氏が「著作者本人がネットワーク上で全データを公開する」という実験の ために運営しているサイトだ。ここでは同氏の著書『オタク学入門』(太田出版)や 「ぼくたちの洗脳社会」(朝日新聞社)の全文を読むことができる。 ■村松周一郎氏の「小説 アマゾン水力発電所建設夢物語」 http://www.sunshine.or.jp/amazon-1/ オリジン出版センター発行の「小説 アマゾン水力発電所建設夢物語」の全文を読む ことができる。かなりの長編。モニターで見る「立ち読み」は無料だが、保存やプリ ントをすると有料とのこと。 ●中長編小説が読めるページ ---------------------------------------------------------------------------- 短編小説では物足りないという人は、これらのページでじっくり読んで見て欲しい。 ただし、WWWで長編小説を全文公開しているサイトはあまり無いようだ。 ■じわりと胸にくる感動が欲しくなったら「五色台の野性児たち」を読もう http://service.kagawa-net.or.jp/benjamin/menu.htm 高松市の中心部から車で西へ30分、瀬戸内海国立公園の中にある山岳公園「五色台」 での作者と野性児(捨てられた犬達)との心温まる、そして時に哀しい出来事を綴っ た物語だ。読むとじわじわと胸に暖かいものがあふれてくる、おすすめのページだ。 ■読み応えのある長編小説が読める「東京人工群島」 http://www.media.or.jp/web/azuki/rgl1_top.htm ここでは、6本の小説を読むことができる。たいていWWW上で公開している小説は短編 が多いのだが、ここでは長編小説が最後まで読める。 ■連載小説「おばあちゃんの十円」 http://www.butaman.or.jp:8000/~sonatina/ これは、結婚を決意した女性が、式の10日前に不意に故郷へ戻り自分の過去を振り返 るという内容の中編小説だ。 ■本職が画像診断医の中条卓氏が書く「【画像診断医】麻生玲」 http://www.asahi-net.or.jp/~pw7t-fjwr/indexr.html 画像診断医を主人公にした小説が読める。作者も同職についているだけに詳しい物語 を読むことができる。第9話まであり、結構長編だ。専門用語などの注釈や人物紹介 にはリンクが張られており、わかりやすい。なぜか参考文献の難しそうな医学専門書 の間にブラックジャックが混じっているのはご愛敬? ■幻想小説「隠れ里」 http://www.asahi-net.or.jp/~df7t-ymd/k-0.html 大昔から現在まで、様々に名を変えて語り継がれる桃源郷伝説がある。日本において は、「隠れ里」と呼ばれる不思議な集落にまつわる物語。 ■ちょっとHなアドベンチャー・ストーリー「TATTOO」が読める http://www.coara.or.jp/~aono/tattoo/tattoo.html TATTOO(刺青)をめぐるちょっとHなアドベンチャー・ストーリーを読むことができ る。まだ完結してないが結構長い。作者自身の手によるイラストもなかなか良い。 ●その他のオンライン小説 ---------------------------------------------------------------------------- その他にも、WWWには数多くのオンライン小説がある。編集部で集めてみたもので、 上記の分類に入らないものなどを、ここで一括して紹介する。 ■文を読むという行為自体がゲームに? KUDRYAVKA(クドリャフカ)のホームページ http://village.infoweb.or.jp/~fwgj3580/ 実世界とオンラインの世界とが、ない交ぜになった不思議な小説を読むことができる。 この小説は、これから発売されるゲームの下敷きになっているのだそうだ。「モニタ ー上の文章を読む」という行為そのものがゲームになるとのことで、なんとも興味深 い。 ■パソコンから生まれた「デジタル小太郎」の冒険物語「電脳小説--KOTAROがゆく!」 http://www.melcoinc.co.jp/magazine/con_vol4/kotaro/kotaro.html パソコンから生まれた「デジタル小太郎」の冒険物語。現在、第一話<ビクトリアク ライシス>を一括ダウンロードして読むことができる。コタローのキャラクター紹介 や設定も細かい上、挿し絵も凝っていてなかなか面白い。 ■カラスをテーマにした物語が、1話ごとに違った展開で読めるページ http://www.asahi-net.or.jp/~xt7y-oohr/novel.html カラスを共通のテーマに、1話ごとに違った物語を展開する短編小説「鴉(からす)」 が現在第4話まで掲載されている。 ■禅宗のお坊さんのありがたい話が読める「一筆法話」 http://www.spwave.or.jp/shopping/ktroad/dozyuzi.html/00.html 禅宗のお坊さんの約30編の法話を読むことができるページ。いろいろと心に響くよう なことやありがたい気になる話が収録されている。ただ、子供服メーカーのページの 中にあるのが不思議と言えば不思議。 ■作者のおしゃべりのような話が読める。純愛小説「バカ二人旅」 http://dolphin.c.u-tokyo.ac.jp/~kurota4/baka/index.html 黒田啓行さんのホームページにある。作者のおしゃべりのような小説「バカ二人旅」 を第10話まで読むことができる。 ■もしかしたら作者の実体験を語っているのかも? 「ハイテク仕掛けのラブストーリー」 http://www.asahi-net.or.jp/~XB2H-TNK/htech.html ページの作者の実体験を語るような形式で書かれた恋愛小説。ワープロがきっかけで 始まる恋の物語だ。今後、話はネット関連の内容をからめたものになっていく様子。 それだから「ハイテク仕掛けのラブストーリー」なのだろうか?更新は、ほぼ毎週と のこと。 ■バレエをテーマにした小説が読める「今日子のホームページ」 http://www.asahi-net.or.jp/~XN8K-WK/index.htm ここでは、バレエをテーマにした小説を読むことができる。作者は、5歳の時からバ レエを習っているだけあって、さすがに描写の一つ一つに細かい配慮が為されている。 ■女の子向けのちょっとHな小説が読める。冴木史奈さんのホームページ http://www.yo.rim.or.jp/~saiki/ 人気アイドル・グループ三人組の男の子たちの恋愛模様を描いた「星降る夜は切なく て」を読むことができる。 ■小説 「ニイハオ 神戸の街」 http://www.omni.bekkoame.or.jp/kurita/niihao/niihao0.htm 中国と日本を舞台に、たくましく生きる中国人女性の話を読むことができる。 ■連載小説「名酒泡盛ロマン」 http://www.inforyukyu.or.jp/rental/teeda/awamori/yuntaku.html 沖縄の名産品泡盛のメーカーのページだけあって泡盛や、その年代もの「クース」に ついての詳しい話が満載の連載小説を読むことができる。 ■ファンタジー小説やホラー小説などが読める「RAPUNZEL's WORKSHOP」 http://www.dtinet.or.jp/~m-nagai/ NIFTY-Serveで公開されていた物をホームページ向けに修正したホラー小説やファン タジーものなど3本の小説を読むことができる。 ■「新世紀エヴァンゲリオン」のパロディ小説が読める「nary's home page」 http://www2.meshnet.or.jp/~nary00/shumi.html このページでは「新世紀エヴァンゲリオン」のパロディ小説が読める。「最終回の学 園ラブコメ風エヴァの世界をもっと見てみたい」と思ったのが執筆の動機だそうだ。 ■Virtua Fighterをイメージした小説などが読める金丸優子さんのホームページ http://www.adguard.co.jp/kanemaru/lib.html Virtua Fighterをイメージした小説、小室哲哉作曲の楽曲のイメージやTMNのメンバ ーを主人公にした小説、パロディ小説などを読むことができる。 ●投稿で小説を作ってみよう ---------------------------------------------------------------------------- 読むだけでは飽き足らない人のために、自分で作品の執筆に参加できるリレー小説や、 作品の投稿を募集しているページを紹介しよう。 ■筋書のない小説 http://www.kt.rim.or.jp/~yos/ 読者は前の作者の続きを考えて書き込むことができるリレー小説だ。語句にハイパー リンクをかけて関連サイトやサウンド、ムービー等を埋め込むこともできる。SF、 ハードボイルドなど計8ジャンルが用意されている。 ■同じ書き出しの3つの物語をあなたの投稿で発展させよう「CyberStone」 http://www.vega.or.jp/~stone/variety.html 石をテーマとした同じ書き出しの3つの物語を読者が書き足しながら発展させていく というページ。既に、3話ともまるで違う方向に発展していてなかなか興味深い。 ■読者からの投稿作品を集めた「週刊文学文芸」のページ http://www.ask.or.jp/~bungaku/ ここは、読者からの投稿作品を集めたページだ。詩、小説、随筆、短歌などジャンル は何でもOKだ。掲載作品それぞれに対して編集部からコメントが付くのがうれしい。 現在は更新が遅れているようだ。 ■実験小説?ネバーエンド2「オートノベラーズ」 http://ab1609.sip.eee.yamaguchi-u.ac.jp/furu/nov/ ネバーエンドとは、投稿希望者が物語を書いている最中に、ページ上のボタンを押す と、自動的に文に擬音か台詞が追加されるので、それに合わせて文を書き続けるとい う仕組みの実験的な小説だ。書く方も難しかろうが、読む方にも理解力を要する。 ■インターネットに自作の小説を載せたい人は応募してみては? http://club.infopepper.or.jp/~stakahashi/story.htm ここ「シノブ君のホームページ」では、読者から小説の投稿を募集している。自分で ホームページを持っていないが、インターネットに作品を載せてみたい人は、利用し てみては? ●リンク集で、もっと小説を! ---------------------------------------------------------------------------- 上記の小説を全て読破しても、まだまだ読み足りないという読書好きな人は、これら のリンク集を使って、更なる小説に挑戦してみて欲しい。 ■膨大な量のオンライン小説を収録したイエローページ http://www.st.rim.or.jp/~saito/JOY/J/category/novel.html 有名なJ.O.Y.のオンライン小説のインデックスページ。未整理分も含めると膨大な量 の作品を紹介している。 ■ミステリー小説のファンなら、「北大推理小説研究会」を見てみよう http://lis2.huie.hokudai.ac.jp/~maki/mmc/index.html 自称「日本最強のミステリ系リンク」だそうだ。142件ものミステリー関連ホームペ ージへのリンク集。リンク先の全てのページで小説が読める訳ではなく、どちらかと いえば書評のほうが多い。 ■SFファンならこのリンク集は見逃せない。「日本語で読めるSFなページ」 http://www.asahi-net.or.jp/~fq4h-hrym/jpsf_g.htm 「日本語で読める」をキーワードに様々なSF関連サイトを紹介しているページ。こち らも、オンライン小説より書籍の書評が多い。 [Reported by sasaki-m@impress.co.jp / Watchers] (96年9月2日)