********** ★★創刊一周年記念「編集部のおすすめサイト紹介!」★★ **********
先週に引き続き今週もここで、「編集部のおすすめサイト紹介!」をお届けいたしま
す。今月は、創刊一周年を記念して、毎週一人づつ計4人の編集部員がここで、おす
すめのサイトを紹介していきます。
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第4回 : 山下憲治
『Webとは何か』を探る道しるべ──リクルートとTWO TOP
http://www.recruit.co.jp/
http://www.twotop.co.jp/

 正直にいうと、私の一押しというページはない。というのも、私自身はさほどネッ
トサーフしないからだ。『え!ウォッチの編集長なのに?』と驚かれるかもしれない
が、実はだからこそインターネットウォッチを企画したのだ。ネットサーフしなくて
も面白いページを教えてもらいたい。楽をして面白いところだけ体験したい。毎日メ
ールで教えてくれたららくちんだなーと考えたのだ。
 が、結果は毎日締め切りを持つという、パソコン誌業界前代未聞のシステムの中に
どっぷりとはまることになり、楽になるどころがますます時間はなくなってしまった。
もちろん、ウォッチで紹介するWWWのほとんどは一度は見てみるのだが、残念ながら
「ページの中身を楽しむ」まで時間をかけるわけにはいかないのが実状だ。
 しかし、そうした中で短い時間しか見なかったにも関わらず「ううむしてやられた」
と思ったWWWサーバーがある。それが出版社の「リクルート」とPC/AT互換機ショップ
の「TWO TOP」のサーバーである。
 冷静に考えればWWWは読者にとって、ハイコストで、緻密さ・美しさに欠け、表現
力が乏しく、持ち運びも難しい不便なメディアである。だから、それを補ってあまり
ある魅力がなければいけない。こんな当たり前のことを教えてくれるページだ。
 リクルートのコンテンツは、基本的にインターネットとは無関係な、不動産、中古
車、旅行などの情報の集まりである(WebdeW等は除く)。しかし、それらをまさに
WWWに適した表現を使って提供している。検索や絞り込みといった当たり前のサービ
ス。条件にあったページをパーソナライズする機能。あるいは、直接ローン等の試算
をその場で行なってくれるサービス。これを紙の上でやれといわれても無理である。
WWW化されたそれらの雑誌の紙バージョンは、分厚く買って帰るものいやになるよう
なものばかりである。
 TWO TOPは、まさに商売とは何かを端的に示している。「お店に置いて売れないも
のを、インターネットで商売したら売れると思うのは間違いだ」と誰かが書いていた
が、その逆も真なりで『お店で売れているものを、お店と同じ感覚で買えるのならイ
ンターネットでも売れる』ということを示したわけだ。TWO TOPは、3つの点で優れて
いたといえる。一つは、リアルタイムで商品と価格表を更新し、お店で買うのもイン
ターネットで買うものまったく同じにしたこと。もう一つは、へたにコマースやモー
ルに拘らず、お客さんとメールで対応したことだ。そして最後の一つは、その価格と
商品がきわめて魅力的なものだったということだ。素朴なページで、素朴な対応方法
であるにも関わらず、1ヶ月に億単位の売り上げがあるそうだ(ちなみにウォッチ編
集部の売り上げは年間でようやく億単位)。
 今回押した2つの企業は特別なことをしたというわけではないと思う。インターネ
ットではない、普通の雑誌の読者やお店にくるお客さんが、いったい何を欲している
のか?それを考えてWWWを作っただけに過ぎないのではないだろうか。
 実際、多くの自動車メーカーがホームページを作っているが、私はそのなかで税金
など諸費用込みの「見積もり」を取れるようなページを見たことがない。また、全国
すべての営業所・販売店を網羅したマップを見たこともない。ゲームがあったり、新
車の情報があったりはしているが、今週末の近くの販売店のフェアの内容が書いてあ
るページを見たこともない。また、電子メールで点検の時期を教えてくれるサービス
も見たこともない。はっきり言おう、「自動車メーカーのホームページを見てもその
会社にお金を払うきっかけにはならない」のだ(とはいえ、インターネットは日々変
化しているので既に始めているメーカーもあるかもしれないが)。
 私は、企業のホームページは、もっと面白く、もっと実用的になると信じている。
しかし、それはShockwaveのゲームを作ることでもなければ、プレゼントページを作
ることでもない。ではどうしたらいいのか?そのヒントをこの2つのページから見つ
けられるのではないかと思っている。面白いページが無ければ、われわれの商売も成
り立たなくなってしまうのだから、企業のホームページにはがんばって欲しい。
[Reported by ken@impress.co.jp]

(96年12月25日)