[業界動向]
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01:コンシューマー市場でもNCの普及を図る
   日本オラクルが事業戦略を発表
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http://www.oracle.co.jp/ (日本オラクル)
http://www.nc.com/ (Network Computer,Inc.)

 日本オラクルは24日、国内におけるNC(Network Computer)の事業戦略を発表した。
従来から提唱しているイントラネットなどの企業ユーザー向け市場とともに、今後は
家庭向けコンシューマー市場も主な対象としてNCの普及を推進していく。
 企業向け市場では、PCや汎用機に代わるネットワーク端末として、NCの導入を促進
する。TOC(総所有コスト)の削減やネットワークの管理・運用の手間を大幅に軽減
できるなどの点で有利だとしている。日本オラクルがNC用ソフト「NC
Administration Server」を提供し、船井電機、ユニデン、富士電機、アクトンテク
ノロジィがハードを販売。約40社のシステムインテグレーターを通じてユーザーにシ
ステムを提供する。同日、富士電機がNC用ソフト、ハード、サービスなどをパッケー
ジした商品を発売したが、そのほかのメーカーについては、今のところ発売は未定だ。
 コンシューマー市場では、テレビでインターネットを利用するための「NCTV」を投
入する。NCTVは、インターネット接続機能とテレビ受信機能を搭載したセットトップ
ボックス型の端末。家庭での手軽なインターネット接続環境を提供する。サービス開
始にあたって、現在、大手ISPや放送事業社と交渉中だ。年内にISP5社、CATV会社5~
10社でNCTVによるダイヤルアップ接続サービスの開始にこぎつけたいとしている。こ
のほか、テレビ朝日のデータ放送「ADAMS」への対応が決定しているほか、PerfecPC
によるデータ配信も検討中だ。
 さらにNCTVは、会員向け通販や自治体の情報キオスクなど、特定用途向けのエクス
トラネットにも活用できるとしている。この分野では今秋、さくら銀行がNCTVを利用
したホームバンキングサービスを開始することが決定している。
 NCTV用のセットトップボックスは、台湾Acer社が開発・供給する。同社の「NT150」
ではCPUにAMD X5 133MHz、4~8MBのメモリー、6~8MBのフラッシュメモリー、33.6
kbpsのモデムなどを搭載。日本オラクルがブラウザーソフト「TV Navigator」をライ
センス供給する。なお、NCTVによるサービスを提供するプロバイダーでは、ユーザー
の管理などを行なうサーバーソフト「Custom Connect Server Suite」が必要となる。
 NCTVの操作は、すべてリモコンから行なう(URLやテキストの入力にはキーボード
も使用可能)。ウェブサイトの閲覧、テレビの表示ができるほか、メール機能、テレ
ビを見ながらチャットを行なう機能がある。ホームページは、テレビモニターにあわ
せてクライアント側でカスタマイズして表示。また、ブックマークがサムネール表示
されるなど、初心者にもわかりやすい工夫もなされている。なお、初期画面やメニュ
ー画面はサーバー側でカスタマイズできるため、各ISPが自社のサービスにあったも
のを用意することができるのも特徴だ。デモ機で見る限り、操作感はWebTVとほぼ同
じと言ってよく、家庭向けインターネット端末として競合することが予想される。
 発表会で、佐野力・日本オラクル代表取締役社長は「コンシューマー用NCは大きな
可能性を持った市場。今年のOracle OpenWorldでは、(コンシューマー向けの展示が)
半分を占めるだろう」と述べ、この分野への意欲を見せた。また、米Oracle社の子会
社、Network Computer,Inc.(NCI)のCEO、David Roux氏も出席。「次世代のコンピュ
ーティングは、業務処理の手段ではなく、コミュニケーションの手段になる」とNCの
あり方を示唆した。
[Reported by nagasawa@impress.co.jp]

(98年3月25日)