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新聞などで、インターネット決済に関する記事を見ない日は少ない。セキュリティの問題、新しい電子決済サービスなどさまざまだ。新しい決済サービスは多数生まれているものの、現状でこれがスタンダードと言えるものはまだない。
このシリーズでは、現在実用化されている決済サービスの信用性や「本当にお金を払ってまで使う価値があるの?」といった不安要素などを検証し、さまざまな支払い方法(決済技術)を体験レポートする。
さて、今回はインターネット専用のプリペイド型小口決済手段「NET-U」を紹介する。
(株)ユーカードは、プリペイドカード決済事業者として設立された会社で、インターネットが普及する以前からプリペイドカード「U-CARD」を発行している。今回紹介する「NET-U」は、ユーカードが持つノウハウを生かし、インターネット上で利用できる小口決済向けのサービスとして'95年にスタートしたものだ。
NET-Uでは、電子財布ソフトである「NET-U WALLET」に、「NET-U」という価値(お金)を充填して使用する。NET-U WALLETを使うことによって、安全性を確保しつつ、統一された支払い手順により使いやすくしている。インターネットに接続していなくても、残高や履歴を照会できる。
ユーカードによると、現在の会員状況は約一万人という。利用者は圧倒的に男性が多いが、最近では女性会員が増加傾向にあり、音楽(MIDI)データや電子本の購入に多く利用されているとのことだ。
利用開始までの流れ
1.NET-U WALLETのインストール
2.会員登録
3.NET-U WALLETに価値を充填しよう
4.NET-Uの購入手順
■NET-U WALLETのインストール
NET-Uを利用するには、専用のアプリケーションソフト「NET-U WALLET」が必要だ。ソフトは無料で、雑誌や書籍のCD-ROMで配付されている。もし手元にない場合はユーカードから申込みを受け付けている。現在NET-U WALLETはWindows版とMac OS版の2種類が配布されている。
なおNET-U WALLETは、暗号化技術の海外流出防止等のため、日本国外への持ち出しは制限されており、利用できるのは国内のみとなっている。
ここではインターネットマガジン1999.9号に収録されているWindows 95版Ver4.0を使用した。NET-U WALLETのインストールは簡単で、インストールプログラムを実行しダイアログに従っていけば20秒程度で終わる。
■会員登録
次に新規に会員口座を開設するために会員登録を行なう。申込みはNET-U WALLETから指示に従って入力して行くだけだ。
スタートメニューの中から「NET-U入会申込み」を実行すると、会員データの保存先を聞かれる。NET-U事務局では、データ保護のためフロッピーディスクへの保存を推奨しているが、ハードディスクにも保存できる。ここでは「C:\net-u\」を指定した。
次に、会員申込の画面が表示されるので、情報を入力すると同時に会員データの格納先を再確認する。続いて、NET-U WALLETを起動するための「パスワード1」と支払いを許可するための「パスワード2」を登録する。続いて「ユーザーデータ作成」を実行すれば、約10秒ほどで終わる。最後に、インターネットへ接続していることを確認して「送信」すれば会員登録は完了だ。
最後に登録情報の保護のため、再度フロッピーディスクへのバックアップを要求してくる。念のためバックアップをしておこう。
■NET-U WALLETに価値を充填しよう
インストールをした当初、「NET-U WALLET」の中身はまだ空っぽなので、まず「NET-U」を購入して価値を充填しよう。支払いは、銀行振込み、もしくはクレジットカードのどちらかで行なえる。
■NET-Uの購入手順
NET-Uを購入するには、まずNET-U WALLETから申し込む。支払い方法は、クレジットカードと銀行振込の2通りがある。どちらも基本的な手順は同じだが、銀行振込の場合は、銀にお金を振込みに行く前に、あらかじめネット上で「必ず入金の予約」をしてから振り込む必要がある。クレジットカードで購入する場合は、WWW上から登録するとその場ですぐ購入できる。ただし、クレジットカードで登録した場合のみ、本人確認のため、NET-Uセンターより確認の案内書が郵送されてくる。
購入するには、クレジットカードで支払う場合も銀行振込の場合も、まずスタートメニューからNET-U WALLETを起動する。「NET-U購入」ボタンを押して、「銀行振込」か「クレジット」を選択する。ここで購入したい金額を入力し、クレジットを選んだ時はカードの有効期限も入力する。一度に入金できる額は、最低3,000円~。「OK」ボタンを押すとすぐに処理は終わる。申込み内容を確認する時は、NET-U WALLETの「履歴照会」から確認できる。
銀行振込の場合は、この作業が「入金の予約」になるので、終わったら振込みに行こう。振込先はWWW上から確認できる。
なお、NET-Uでは振込んでから実際に価値が充填されるまでに2~3日かかるとあったが、試してみたところでは昼に銀行で振込したところ、夕方には入金確認のメールが来た。ちなみに、NET-Uでは、入金予約と銀行の入金情報を照合しており、「入金予約」を忘れてしまった場合は、確認に手間取るようだ。
NET-Uでの商品購入の大まかな流れ
1.商品を購入
2.NET-U WALLETで支払い
■商品を選ぶ
現在、約600店の加盟店で利用できる。今回は、楽譜がCDに合わせてスクロールする「デジ譜」から、楽譜を買ってみることにした。欲しい曲を選択すると、Emailと名前、パスワードの入力項目が表示される。デジ譜では、うまくコンテンツが届かなかった場合のために商品の再送を行なっているが、その場合にこのパスワードが必要になる。
商品をショッピングカートに入れると、カートの内容が表示される。買いたいものをすべてショッピングカートに入れたら、「購入」ボタンを押す。すると、精算会社の選択画面が表示されるので、そこからNET-Uを選択すると、見積もりが表示される。確認したら「NET-Uで支払う」を押すと、自動的にNET-U WALLETが起動される。
■NET-U WALLETで支払い
NET-U WALLETが起動されたら、「パスワード1」を入力する。すると即座に「NET-U決済」購入金額63円と表示される。「確認」ボタンを押すと、次に決済用の「パスワード2」を要求される。この時点ではまだキャンセルができるが、「パスワード2」を送信すると、キャンセルはきかないので注意しよう。
「パスワード2」を送信すると、インターネットを経由して、利用者、加盟店、NET-Uセンター間で本人認証等が行なわれる。処理が終わると「利用明細」が表示されるので確認しよう。
「利用明細」のダイアログには、「店舗からのお知らせ」の欄がある。今回の場合は、そこの案内に従って指定のURLにアクセスし、WWW上からコンテンツの送り先(電子メールで送られる)を指示した。むやみに確認ボタンを押さずに、きちんと利用明細を見るようにしよう。
■複数箇所のパソコンで利用したい場合
複数のパソコンでNET-Uを利用したい場合は、利用したいパソコンに予めNET-U WALLETをインストールしておけば、NET-U会員データ(NET-U2.DAT、NET-U3.DAT、NET-U4.DAT)をフロッピーディスクなどを使って持ち運んで利用できる。この会員データはWindows、Mac OSのどちらでも互換性があり、機種が違っても問題なく動作する。ただし2カ所以上のパソコンにNET-U会員データを保存して使った場合、NET-Uセンターで管理しているNET-U残高とパソコン側の残高が一致しなくなるため、利用を停止され利用できなくなる。こうなるとNET-U事務局に連絡するしかない。
NET-Uは、専用アプリケーションを使った決済システムのため、Net-Uに対応している店鋪なら、どのサイトでも同じ支払い手順で購入できる。また、インターネットに接続していなくても、残高照会や履歴照会ができるのは便利。アプリケーションのインストールも難しくなく、利用者側のデータを紛失した場合でも残高の保証がされてるので安心だ。
欠点は、専用アプリケーションのため、WindowsもしくはMacintosh以外のユーザーは使えないところだろう。なお、Mac OS版は、バージョンアップがされていないため、Windowsに比べて若干利便性が劣る。
従来のバージョンまでは、クレジットカードの申込みに時間がかかったり、パスワードを何度も入力しなければならない点など問題もあったが、Windows版の最新バージョンでは対策がなされている。クレジットカード番号の即時送信やパスワードも任意で、アプリケーションに記憶させるオプションも付いた。
●利用にあたって
プラットフォーム:
1.WindowsまたはMacintosh
2.Internet Explorer 3.02以上、またはNetscape Navigator 3.01ja以上
費用:入会金、年会費0円
利用技術:独自暗号技術
評価基準(三段階評価)
設定の簡便 :★★
○専用アプリケーションのインストールが必要。
安全性の配慮:★★1/2
○取引情報の独自暗号化
○残高不一致による不正利用の防止策
利用金額 :★★
○最大39,999円まで一度に入金が可能
使いやすさ :★★
○最終的に専用アプリケーションで支払いを確定するので、間違えて申込むといったようなトラブルは少ない。
[Reported by ちびあゆ(chibiayu@bekkoame.ne.jp)]
第2回「BitCash」
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第3回「アコシス」
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第5回「QQQ Members Commerce System(サンキューシステム)」
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第10回「WebMoney」
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■第11回「Cyber Chip System(サイバーチップシステム)」
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■第12回「SET」
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