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【ドメイン】

ドメイン移行にともなう併用期間の終了日、迫る

4月1日以降、プロバイダーの旧ドメインはどうなるのか?


 国内プロバイダーの新旧ドメイン併用期間が、3月31日をもって終了する。期間内はメールアドレスやURLが旧ドメインでも新ドメインでも利用できたが、4月1日以降は、原則として新ドメインでなければ利用できなくなる。移行対象となるプロバイダーのユーザーはもちろん、今のうちにメールソフトの設定変更を済ませておかなければならない。また、それ以外のユーザーも他人事ではなく、アドレス帳やブックマークなど、変更しなければならないところも多い。まだ変更を済ませていないユーザーは、直ちにチェックして欲しい。今回は、メールアドレスを中心に解説する。

●すべてのプロバイダーが「ne.jp」になるのか?

 今回の移行では、基本的に、従来「or.jp」ドメインを割り当てられていたプロバイダーが「ne.jp」に移行するわけだが、すべてのプロバイダーにそのままあてはまるわけではない。大きく分けると、次のようなパターンに分けられる。

 1)「or」から「ne」のみの変更
 2)「or」から「ne」への変更+第3ドメインの変更
 3)「or」から「ne」への変更+第3ドメインの変更+第4ドメインの変更
 4)規則性のない変更
 5)「or」のまま変更しない

 1)は「bekkoame.or.jp」から「bekkoame.ne.jp」へ、「so-net.or.jp」から「so-net.ne.jp」への変更など、「or」を「ne」に置き換えるだけでよいパターン。多くのプロバイダーがこのパターンに当てはまる。一方、2)は「niftyserve.or.jp」から「nifty.ne.jp」、「attnet.or.jp」から「att.ne.jp」など、「or」を「ne」に置き換えるとともに第3ドメインも同時に変更するというもの。また、3)のように「tokyo.xaxon-net.or.jp」が「tk.xaxon.ne.jp」になるなど、第3ドメイン、第4ドメインも変更されるパターンもある。いずれにせよ、これら3パターンは、旧ドメインがわかれば、後述する移行リストなどをもとに機械的に新ドメインに置き換えることが可能だ。

 これに対し、4)は機械的に変更することが不可能なパターン。編集部で確認したところでは、JustNetがこれにあたる。例えば「username@jsn.justnet.or.jp」が「username@ma?.justnet.ne.jp」になる。「or」から「ne」への変更は問題ないとして、これにユーザーごとに個別の第4ドメイン「ma?」が割り当てられるわけだ。「?」には2、3、4などの数字が入るが、ユーザー名との規則的な関係はないという。本人から新ドメインを知らされなければ、第三者は知る術もない。なお、JustNetではメールアドレスのほか、ホームページのURLについても、第4ドメイン「www?」が個別に割り当てられる。JustNet会員は、相手方が変換してくれることは期待できないため、知人への連絡、メールマガジンや検索サイトへのアドレス変更届けが必要になるだろう。

 また、ドメイン移行は強制ではないため、最初からne.jpには移行しないプロバイダーもある。ASAHIネット、IIJ4U、リムネットなどは「or.jp」のままなので注意したい。

●移行するプロバイダーはどうやって判断するのか?

 まず、自分のプロバイダーのドメインについてだが、これは、すでにプロバイダーから連絡が来ている(もしくは、プロバイダーのホームページで告知されている)はずなので、それにしたがってメールソフトなどの設定を変更しておけばいい。問題は、アドレス帳やブックマークなどに記録されている、自分以外のユーザーのドメインである。

 移行については、かなり前からアナウンスされ、移行期間も設けられていたので、友人からアドレス変更の連絡を受けた人もいるだろう。しかし、親しい仲ならともかく、変更のあるすべての人からそのような連絡を受けることはまずないだろうから、自分で調べて変更しなければならない分も出てくる。特に、個人でメールマガジンやMLなどを主宰していて、膨大なメールアドレスを管理している人などは悩みの種だ。
 メールマガジン配信の「まぐまぐ」にうかがったところ、登録されているアドレスのうち、約5%が移行の対象となるという。それでも、昨年11月時点での登録者数は700万人ということなので、35万人のアドレスが移行対象になるということだ。当然、登録者からの連絡を待ってすべて手作業で変更を行なうわけではなく、移行リストをもとに自動変換する予定だという。

 ところで、この移行リストは、メール配信代行会社のトライコーンと協力して作成作業を進めているとのことだが、うれしいことに、リストは一般でも利用することが可能だ。トライコーンがWebサイトで無料で公開している「メールアドレスの旧ドメインから新ドメインへの変換ツール」がそれだ。
 変換ツールでは、Web上のフォームに旧メールアドレスを入力し、変換ボタンを押すだけで新アドレスが表示される。昨年の12月末に公開されて以来、1日で2,000回の利用があるという。もとになっているリストは、同社が配信代行業での経験を通じて独自に蓄積してきたもので、機械的に変換できない一部のプロバイダーを除き「99%はカバーしているのではないか」としている。まぐまぐのほかにも国内の大手出版社やAmazon.com、CDNowなどにもリストを提供しているという。

 さて、移行リストについては、JPドメインを管理しているJPNICからも発表されているが、こちらは未確認のプロバイダーが多いうえ、第3ドメインまでしかわからない。正式なリストとはいえ、「不完全なので、事実上変換作業には使えない」という声もある。

 このほかにも、個人で運営されているサイトなどで、ドメイン移行リストや移行ツールを公開しているところもある。また、本誌別記事でも紹介しているように、ブックマークファイルやHTMLファイル内のアドレスを変換できるソフトも公開されている。ただし、完全には対象アドレスをカバーしていないようなので、現時点ではトライコーンによるツールやリストで最終確認するのがベストだと思われる。

メールアドレスの旧ドメインから新ドメインへの変換ツール
http://www.tricorn.ne.jp/mailtools/domain.htm
 トライコーンが提供する無料の変換ツールで、一度に1,000件程度まで変換が可能。なお、大量のメールアドレスを変換したい場合については、リストのみを無料提供するということなので、それを入手して自分で変換することが可能。有料で変換までのサービスも行なっている。
◎問い合わせ先
E-mail info@tricorn.co.jp

1999年3月末日をもって使用できなくなるドメイン一覧
http://www.tricorn.ne.jp/mailtools/list.htm
 トライコーン作成のリストで、第4ドメインまで掲載されている。

JPドメイン移行リスト
http://www.wave.co.jp/~chika/domain/
 個人の方が作成されたリストだが、各プロバイダーの移行説明ページへのリンクもあり便利。

OR->NE 移行について
http://www.nic.ad.jp/jp/regist/dom/or-ne/index.html
 JPNICによるドメイン移行の解説ページ。移行が確認されたプロバイダーのリストが掲載されている。3月22日の公開以降も更新されており、3月26日現在、223社の移行が確認されている。ただし、未確認プロバイダーも165社残っている。

●4月1から、すぐに旧ドメインは使えなくなるのか?

 移行を実施したプロバイダーについては、当初、3月31日までに作業を完了させ、4月1日からは旧ドメインが抹消される予定だった。実際、DTIなどのように、すでに移行期間終了前に旧ドメインでの利用を停止したプロバイダーもある(本誌2月1日号参照)。しかし、併用期間を終了した場合、届かなくなる電子メールが大量に出るなどの混乱が予想されるという意見などがあり、一部のプロバイダーで併用期間の延長が認められることになった。前にも紹介したJPNICによる3月26日時点のリストによると、かなりの数のプロバイダーで2000年3月31日までの延長が認められている。BIGLOBEやInfoWeb、ニフティ、ベッコアメ・インターネット、JustNetなど大手プロバイダーのほか、地域系プロバイダーなど41社が併用期間を延長することになっている。これらのプロバイダーの旧ドメインについては、4月に入っても引き続き利用できることになる。
 ただし、ニフティではメールの受信のみ併用可能。また、JustNetでは、2000年3月31日を待たずに1999年12月31までで旧ドメイン宛メールの転送を打ち切るとしているので、併用期間が延長されたといっても注意が必要だ。

 このように、一部のプロバイダーについては旧ドメインがすぐに使えなくなるというわけではない。しかし、いずれにせよ1年後には抹消されてしまうため、今のうちに変更作業は済ませておくべきだ。特に、機械的に変換できないプロバイダーの会員は、知人やメールマガジン、MLなどへの連絡も必要だ。

('99/3/29)

[Reported by nagasawa@impress.co.jp / Watchers]


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