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3月31日、Netscape Communications社のオープンソースプロジェクト「Mozilla.org」が1周年を迎えた。しかし、その記念の日は、同プロジェクトの中心人物の辞任の日ともなった。
辞任したのは、同社の社員としてMozilla.orgの立ち上げたJamie Zawinski氏。同氏は、NetscapeがまだMosaic Communicationsと呼ばれていた頃から同社に勤務しており、20番目の社員だったという。そのZawinski氏が辞任を決意した理由は何だったのか。同氏は3月31日付の文書を自分のホームページで公開し、辞任の理由を語っている。
Zawinski氏はその文書の中で「Mozillaプロジェクトは、私が働き続けるには憂鬱で苦しくなりすぎてしまった」と述べており、プロジェクトの行き詰まりを感じていたようだ。
同氏はさらに、「私の卑見ながら正しい意見を言わせてもらえるならば、私たちはソースコードを公開してから6ヵ月以内にNetscape Navigator 5.0を出荷すべきだった。しかし、私たちはそれを実行する方法を見出すことができなかった。そのことについては私自身にも責任がある。個人的な失敗だったと認識している。ただ、違うやり方で何かを行なうことができたかどうか、私には分からない」と続けている。
その一方で同氏は、「Mozillaプロジェクトがどんな問題を抱えているにしても、それはオープンソースがうまくいかないからではない、ということを確認させてほしい。オープンソースはうまくいく場合もあるが、万能薬でないということも確かだ。教訓的な話をするならば、ここに死にかけたプロジェクトがあって、それに「オープンソース」という妖精の魔法の粉を振りかけたら、全てが魔法のようにうまくいく、というようなものではないのだ。ソフトウェアは難しいものだ。問題はそんなに簡単ではない」とも記している。
オープンソース運動については、最近熱心な推進者であるEric Raymond氏もまた仲間との不和から後継者を探していることを表明しており、管理の難しいオープンソースならではの問題点も浮上してきている。
それでも、Mozilla.orgは今でも活発な動きを続けている。最近ではフロッピーディスクに収まるほどのサイズの高性能レンダリングエンジン「Gecko」が発表されており、近々Netscape Navigatorの次期バージョンに組み込まれ、発表される予定となっている。
('99/4/5)
[Reported by taiga@scientist.com]