INTERNET Watch Title

ClickClick Here


【レポート】

体験レポート:新宿の電子マネー実験「スーパーキャッシュ」がいよいよスタート

■URL
http://www.s-cash.gr.jp/

■電子マネー「スーパーキャッシュ」体験レポート:バーチャルモール編
/www/article/1999/0416/superc.htm

■スーパーキャッシュとは?

 国内の銀行とNTTが推進する電子マネーの共同実験「スーパーキャッシュ」がいよいよスタートした。スーパーキャッシュは、NTTが開発したICカードを用いた電子マネー。今回の実験では、新宿のデパートや駅ビルなど現実の店舗での「リアル実験」と、ICカードリーダーを用いてインターネット上のショッピングモールで利用できる「バーチャル実験」が同時に行なわれる。これは、国内では初めての試み。もちろん、1枚のカードで、リアル実験でもバーチャル実験でも使える。

 リアル実験では、約10万人の利用者、約1,000店舗の加盟店を予定(4月14日時点では、約400店舗)。バーチャル実験では、約1万人(リアルモールを兼ねる)の利用者、約10のバーチャルモールの参加を予定している。なお、現在どのくらいの参加者がいるのか尋ねてみたところ、まだ人数は把握していないとのことだった。

■どうすれば利用できる?

 電子マネーの発行は、東京三菱、第一勧業銀行、三和銀行など国内の24銀行がそれぞれ発行する。利用するには、新宿周辺のスーパーキャッシュに対応している任意の銀行にあらかじめ申し込み、ICカードを作っておく必要がある。新規に口座を作って申し込む人はもちろんのこと、すでに該当銀行に口座を持っている人もICカードへの切り替えが必要なため手続きが必要になる。銀行によって多少の違いがあるが、おおよそ1週間~2週間程度を必要とするようだ。ホームページで募集を行なっている銀行もある(スーパーキャッシュのホームページを参照)。なお、申し込み時にバーチャルの実験も希望すると、先着でICカードリーダーなどが貸与される。


■公衆電話で電子マネーのチャージができる!

 編集部では、まず実際の店舗で「スーパーキャッシュ」を体験してみることにした。まず、スーパーキャッシュのホームページで対応している店と、チャージ機の設置場所をチェックする。ヨドバシカメラ、さくらや、ビックパソコン館など、パソコン関連を扱っているショップが対応しているのは嬉しい限りだ。

 チャージ機は、実験に参加している銀行の新宿周辺の支店に設置されている。非常に興味深いのが、チャージ機能を持ち、スーパーキャッシュで通話できる公衆電話だ。この公衆電話は、ICカード用の新型公衆電話とはまったく別物。この電話機は、新宿の高島屋の正面入り口付近ほか、新宿駅ビルなど数カ所に設置されている。

 なお、実験参加者には、加盟店ガイドブックが配られるが、14日時点で対応しているお店が掲載されているわけではないという。インターネットに掲載されているショップは、すでに対応しているショップと考えてよいとのこと。あらかじめインターネットでチェックしてから出かけた方が確実だ。

 今回は、高島屋に設置されているスーパーキャッシュ対応公衆電話でチャージ、そのまま高島屋で買い物をすることにした。公衆電話の見かけは「グレ電」呼ばれるISDN対応電話とよく似ている。ディスプレイ部分の下に4つボタンがついており、カードの差込口は、テレホンカードとICカードそれぞれ別にあった。

 まず、ICカードを入れようとしたのだが、入り口がロックされているようで入らない。焦って何度か試した後、公衆電話に貼られている説明書に気付いて読むと、まずボタンで残高照会をするのか、チャージをするのかなどを選択すると書かれている。確かに「チャージ」を選択してから再度カードを入れると、すんなり入る。テレホンカードの感覚で先にカードを入れてしまったのだが、どうも勝手が少々違うようだ。また、テレホンカードのように自動的に吸い込まれるのではなく、手応えがあるまで自分で奥に差し込む。すると、いくらチャージするのかディスプレイに表示されるので、必要な分をプッシュボタンで入力する。確認すると数秒待たされ、残高が確認されると、口座からICカードにチャージできる。チャージ終了後、明細はディスプレイ上で表示されるだけで、明細書は出てこない。

 チャージ終了後、そのままディスプレイの下の「通話ボタン」を押し、受話器を取るとそのまま通話できた。通話中、ディスプレイには、テレホンカードを使用した場合と同様に、ICカードの残高が表示される。

 ちなみに、チャージできるのは銀行口座に入っている範囲内で(クレジット機能はない)、最高10万円まで。

■実際に買い物を体験

 実際に買い物をしようと地下の食品街にいき、「このカードは使えますか?」とスーパーキャッシュのカードを見せた。しかし、クレジットカードのひとつだと思われたのか、「なんのカードですか?」と逆に尋ねられる。「スーパーキャッシュという電子マネーなんですけど…」と説明すると、「電子マネー?」と少し戸惑いつつ、レジに聞きに行ってしまった。すぐにレジの女性が現われ、「使えます!」と笑顔で答えてくれた。さっそく、商品をお願いすると、「××円のお引き落としになります」とカードをレジに持っていった。サインも暗証番号も打ち込むことなく、やがてレシートと取引額とカード残高がプリントされた「SCご利用明細書」の2枚が手渡された。電子マネーをチャージしてしまえば、あとはカードを渡すだけで買い物ができるわけだ。

 よく知らない店員もいるようだったので「あまり使う人はいないのか?」とレジの女性に尋ねたところ、「本日初めてのお客様です。ちょっとドキドキしちゃいました」との返事。ちなみに、買い物をした時間は夕方6時近く。広い食品街のひとつの店なので偶然かもしれないが、まだそれほど多くの人が使っているわけではないようだ。

 今回使ってみたところでは、キャッシュカードを兼ね備えているICカードのせいか、なんとなく暗証番号のひとつでも打ち込まないと不安だな、と思った。カードには、キャッシュカードと同様にカタカナで名前が打ち込まれているが、特に本人確認はない。落とした場合も考えて、買い物をする前に必要な分だけをチャージするといったことや、申し込み時に簡単な暗証番号はつけないといった対策を考えておいたほうがよさそうだ。

 次は、バーチャルモールでの体験をお届けする。

('99/4/14)

[Reported by junko@impress.co.jp]


INTERNET Watchホームページ


ウォッチ編集部INTERNET Watch担当internet-watch-info@impress.co.jp