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【イベントレポート】

Spring Internet World '99 会場レポート:
インターネットビジネスが現実的な段階に突入

会場の風景
会場の風景

 インターネットの最大規模のトレードショー「Spring Internet World '99」が、4月14日から16日までロスアンジェルスで開催され、600社以上の出展企業、4万人以上の来場者が集まった。今回の展示会では、広帯域に備えたコンテンツ配信やTVとインターネットの融合が大きなテーマとなっていたが、出展企業の多くはE-Commerceサイト構築ソフトやオークションサイトツール、またログ解析ソフトやIPテレフォニー製品など実用的な製品を展示していた。会期中のセッションの多くも、コンテンツサイトやE-Commerceサイトオーナーに対して、効果的なインターネット広告の方法やマーケティングのコンセプトを教えるというものが多く、インターネットビジネスが現実的な段階に突入したことをうかがわせるものとなった。



●パーミッションマーケティングの時代

 会期中のセッションの中で、Yahoo!のSeth Godinダイレクトマーケティング副社長は、インターネット広告でもっとも重要なコンセプトである「パーミッションマーケティング」について語った。同氏は「1人のアメリカ人が1日に受ける広告メッセージは3,000種類以上にものぼると言われている。このような情報の洪水、メディアの多様化やセグメント化により、広告の効果は薄れている。従来型のメディアで機能しなくなった広告がなぜ、オンラインの世界で機能するだろうか」と語った。

 ここで、重要になるのがパーミッションマーケティングである。インターネットでは、通常の郵便のようにダイレクトメールを送るとスパムになるため、ユーザーにメールを送ってもいいかを確認する必要がある。いったんパーミッション(許可)を得れば、ターゲットを絞ったマーケティングが行なえる。

 同氏は「インターネット広告の目的は、ユーザーパーミッションを得ることにある。パーミッションは、その企業の資産であり、他社には販売できない。効果的なパーミッションマーケティングを考える上で、自社の広告が彗星型か衛星型かを考えてみよう。彗星型はいったんトラフィックを導いたらそれで終わり、衛星型は軌道を回るようにカスタマーとの関係を保つものだ」と語った。


●さまざまなストリーミング技術が登場

Emblaze OnDemand
「Emblaze OnDemand」デモ

 GEO Interactiveは、新たなストリーミングコンテンツ開発ツール「Emblaze OnDemand」を発表した。同ツールを使用して作成された音声ファイルは、Java対応のWebブラウザーがあれば再生でき、RealPlayerやNetShowなどのようなクライアントソフトは必要ない。同システムには、無料Javaアプレット、ActiveXプレイヤー、Emblaze OnDemand 1.0サーバーが含まれており、1995ドルとなる。また同社では、同技術を使用した音楽ポータルサイト、Webradioを開設している。

 Microsoftもまた、MP3と比較してファイルサイズを半分に圧縮できるというストリーミング技術「Windows Media Technologies 4.0」を発表した。Exciteは15日、同社のコミュニティサイトで、同システムのカスタムバージョンを提供することを発表した。これにより、Exciteのコミュニティメンバーは、オーディオまたはビデオクリップをサイトに掲載することができるようになる。同社では、90日以内にこのサービスを導入するとしている。



●Centraal、「My RealName」を発表

My RealName
「My RealName」ブース

 Centraalは、個人サイトのキーワード検索サービス「My RealName」を発表した。これは、自分のホームページの題名をMy RealNameに登録することにより、サイト訪問者はURLを覚える必要がなく簡単にサイトを訪れることができるというもの。これにより、ホームページのアドレスが変わっても、サイト訪問者は新しいURLアドレスを入力する必要はない。

 最初のサービスとして、Geocities、Tripod、Fortune City、Angelfire、Xoom.comなどに参加するコミュニティユーザーは、無料でMy RealNameを使用することができる。また、追加の名前は、年間費100ドルで得ることができる。

 Centraalでは、もともとビジネス向けのキーワード検索「RealNames」を提供しており、これらは、AltaVista、Inktomi、Infoseek Express、LookSmart、NeoPlanetなどで使用することができる。現在、合計2万件以上のRealNamesユーザーが存在し、毎日1,300万件のクエリーがあるという。



●実用的なE-Commerceツール、勢ぞろい

 Acme Softwareは、問題解決サイト作成ツール「FAQtory」を発表した。これは、「よく尋ねられる質問(FAQ)」コーナーを簡単に作成できるインタラクティブ・アプリケーションである。E-Commerceソリューションを開発しているBroadvisionは、日本語を含む複数言語をサポートするE-Commerce構築ソフト「One-to-One Version 4 International」を発表した。その他、オークションサイトが簡単に作成できるOpenSiteの「OpenSite Auction Version 4.0」、eGain Communicationsの自動電子メール返信サービス「eGain Hosted Network 2.0」などに注目が集まった。

 また、CallWaveやeFax.comでは、電子メールからファックスを送るサービスを発表した。これは、1回の電子メール送信で、Webサイト登録時にファックス番号を残したカスタマーに対しては自動的にファックスが送られ、それ以外のカスタマーには電子メールが送信されるというもの。


John Chambers
Cisco Systemsの
John Chambers社長兼CEO

 今回の会議は、時間や距離、資本の大小が関係ないインターネットの世界では、新たなビジネスモデルに対応できない企業や国家は急速に遅れを取っていくことを痛感させるものとなった。Cisco SystemsのJohn Chambers社長兼CEOは15日の基調講演で、「インターネットの急速な普及が経済のグローバル化を急速に進め、企業のビジネスのあり方のみではなく、国家の将来をも大きく左右することになる。たとえば、アメリカと日本のR&Dにかける投資を見てみよう。アメリカでは資本支出の42%をR&Dに投資しているのに対して、日本はその半分の22%しか投資していない。これでは、将来的な差がもっと広がる可能性があるだろう」と語っている。


('99/4/19)

[Reported by HIROKO NAGANO,LA]


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