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【イベントレポート】

MCIワールドコム・ジャパン主催カンファレンスのため来日

「惑星をつなぐインターネット」

“インターネットの父”Vint Cerf氏が講演

■URL
http://www.wcom.co.jp/
http://www.wcom.com/cerfsup/

 5月24日、都内にてカンファレンス「Internet:The Next Generation~次世代インターネットとビジネスの可能性~」が開催された。主催は、MCIワールドコム・ジャパン。カンファレンスは、「インターネットの父」として知られ、現在MCI上級副社長を務めるVint Cerf氏による基調講演と、村井純慶應義塾大学教授らによるパネルディスカッションの2部構成で実施された。


Vint Cerf氏 Vint Cerf氏による基調講演では「The Future of Internet」をテーマに、インターネットの将来像が語られた。Vint Cerf氏は、インターネットの標準プロトコルであるTCP/IPの共同開発者であり「インターネットの父」と呼ばれる人物。

 同氏は、「電話は欠点がありすぎる」「ラジオは商業的価値がない」などという、結果的に外れてしまった先人の予測をあげ「インターネットの将来について予測することはできない」としながらも、「インターネットは、電話回線以上の普及を見せると信じている」と語った。普及の鍵は「ローコストと、高速さ」で「サービスの信頼性を得るには、それぞれ関係各社が協力すべき」としている。

 また、未来の話では、惑星間をインターネットでつなぐ構想が語られた。TCP/IPゲートウェイを宇宙空間に作り、惑星間で通信を行なうというもので、「2030年には人間が火星に着陸するかもしれない。そして火星人にもインターネットは使えるはず」と語り講演を終えた。


野中氏、Vint氏
左から野中氏、Vint Cerf氏
 第2部で開催されたパネルディスカッションは「次世代インターネットとビジネスの可能性」をテーマに進められた。参加者は、司会進行にジャーナリストの野中ともよ氏、パネリストは、Vint Cerf氏のほか、慶應義塾大学教授 村井純氏、日本総合研究所取締役 田坂広志氏、デジタルガレージ社長 伊藤穣一氏。

 “次世代インターネット”について、村井氏は「技術的な話だけではなく、例えば障害を持つ人に向けたサービスなど、これまでと違う対象に向けて、いかに出していくかというのが大きな問題」と語った。また、「今やらなければならないことは山のようにあり、それが何かわかっている。次世代というのはやめて“現世代”と呼んだほうがいい。技術的には、デジタル情報をどんなところにも送れるようにし、誰もが共有できるようにするのが課題」と語った。

パネルディスカッション
左から、村井氏、田坂氏、伊藤氏

 日本のインターネットの普及について、伊藤氏は「最近は(行政関連で)インターネットに口を出す人が増えてきた。日本で本当にインターネットの利用が始まるのは今年だと思う。普及前に規制されるのは問題だ。日本でレギュレーションを決めようとしてるのは、インターネットを使ってない人。問題は人材の不足だ」と語った。また、インターネットが個別のビジネスに与える影響として、田坂氏は「ECは、まず消費者を変える。それはマーケットを根本的に変えるものだ。企業はもっとB to Cのスタイルを進めていくべき」としている。また、伊藤氏は、Dell社のサプライマネージメントによるコスト削減や、本社をバハマに置くDHL社の例をあげ、「インターネット利用でコストは下がる。日本企業は本気でコスト削減を考えていない。また、例えば、税制で優遇される国に本社を置き、流通面でもそれにあった国にシステムを置くなど、それぞれの国の特徴を活かした企業活動を進めるべき」と語った。

 最後は会場からの質問に答えた。「米国はインターネットを支配しようとしているのではないか」との問いに、村井氏は「英語、ドルの戦略としてインターネットを使っているのではないかという誤解を解きたい」と語り、Vint Cerf氏は「インターネットは誰にも支配することができない。英語が大きいのは事実だが、それが各国でのインターネットの発達を妨げるものではない」と語った。

('99/5/24)

[Reported by okiyama@impress.co.jp]


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