日本音楽著作権協会(JASRAC)は、音楽著作権管理のデジタル化構想「DAWN 2001」を発表した。DAWNは「Designs for the Administration of Works using New Technology」の略で、ネットワーク上の音楽配信への対応も含め、JASRACが行なう音楽著作権管理業務をデジタル化し効率化しようというもの。同協会では、2000年に具体的な全体の仕様を策定し、2001年からの稼働を目指す。
DAWN 2001で構想されている主な内容は次の通り。
・音楽の権利情報、権利処理システムの一元化
・音楽利用と著作権処理のトータルなルール構築
・音楽の違法利用の監視・防止
・インターネットの利用などによる効率的な利用許諾
具体的には、JASRACは、音楽著作物の作品届受付、使用届受付、さらに作品情報を統合したデータベースを構築し、従来「紙ベース」で行なっていた業務をデジタル化する。また、ネットワーク上の音楽コンテンツについては、電子透かしによりコンテンツに埋め込まれた著作者情報と、統合データベースを照合し、利用された(購入された)楽曲1件1件の著作物使用を把握する。さらに、音楽データ検索ロボットの導入により、違法コピーファイルの監視も行なうという構想。
これらの実現のためには、電子透かし、コピープロテクション、認証、課金システムなどの技術が不可欠で、同団体だけではなく、産業界、関係省庁の協力が必要としている。特に、レコード製作者、コンテンツプロバイダーは、コピープロテクション、電子透かしの施された音楽コンテンツを作成する必要があり、各企業/団体との調整が必須となっている。具体的にどのような電子透かし/コピープロテクション関連技術が利用されるかは未定で、技術の最低条件はJASRACが提案し、各社が別々の技術を採用したとしてもJASRACは対応するとしている。
JASRAC加藤常任理事は「DAWN 2000の実現で、今までのように、おもしろ半分に違法ファイルを公開することができなくなる」としている。また、米国に比べネットワーク配信への対応が遅いのではないか、との問いには「日本には、米国と違い、レコード制作者、実演家の権利である『著作隣接権』がある。それらへの対応に時間がかかってしまった」としている。
なお、JASRACは、DAWN 2000の最大のポイントは「音楽の原盤制作時点で透かし情報を入れること」としており、インターネットだけではなく、今後のデジタル放送時代の著作権管理も視野に入れている。
('99/6/3)
[Reported by okiyama@impress.co.jp]