最近ますます、インターネットでの音楽配信を巡る動きが激しくなっている。本誌でも取り上げる機会が非常に増えているが、新技術の発表が連日のように行なわれ、聞き慣れない用語が多くなってきた。また、関連企業の買収/提携が頻繁に行なわれ、それぞれの企業の位置関係がわかりにくくなっている。そこで今回は、確認の意味を込めて、インターネット音楽配信関連ニュースに現れる用語を集めてまとめてみた。
なお、ここでは、従来のCD販売を脅かすもの、CDに代わるものとしての「音楽配信」にフォーカスを当てている。各用語は、各ジャンル内で50音順、アルファベット順に並べている。
・音楽フォーマット/圧縮形式用語
・配信/再生ソフト関連
・ハードウェア用語
・音楽配信システム用語
・法関連用語
・関連団体用語
・アーティスト
・レコード会社/配信サービス
・情報収集サイト
・音楽業界相関図(Update '99 7/5)
・相関図'99 6/4バージョン
・内容は随時アップデートします。更新したものには★印がついています。
・この色は新項目です。
●音楽フォーマット/圧縮形式用語
ATRAC 3 (Adaptive
TRansform Acoustic Coding 3) [圧縮技術]
http://www.sony.co.jp/soj/CorporateInfo/News/199902/99-021/index.html
ソニー独自の音声圧縮技術。現在MDに採用されている「ATRAC」を同社の小型IC記録メディア「メモリースティック」用に改良したもので、従来の2倍の圧縮率をほこるという。ソニーでは、著作権保護技術「MagicGate」との組み合わせで音楽配信の標準を狙う。
・別項参照→メモリースティック、MagicGate
MPEG-2AAC (Advanced
Audio Coding) [圧縮技術]
http://drogo.cselt.stet.it/mpeg/
MPEG-2で規格化されている音声圧縮方式の1つ。特徴としては、さまざまな音声の帯域幅に対応していることなどが上げられる。CD並みの音質で1/20に圧縮可能。「a2b
music」で採用されている圧縮技術はMPEG-2AACをベースにしている。将来的にMPEG-4オーディオの一形式として正式に標準化される予定。
・別項参照→a2b music
MP3 (MPEG-1
Audio Layer3) [圧縮技術]
http://drogo.cselt.stet.it/mpeg/standards/mpeg-1/mpeg-1.htm
MPEG1の音声部分を利用した圧縮方式。CD並みの音質で、約1/10に圧縮可能と「データが軽くて、音がいい」ことに加え周辺機器/ソフトが充実していることもあり、従来から利用者は多い。最近、新聞、テレビでも取り上げられ一般的な知名度も急上昇中。その手軽さから違法コピーの蔓延を招いており、「悪者扱い」の報道を受けることもあるが、各権利団体、アーティストともに「技術的に悪いものではない」という認識は共通。
MP4 [圧縮技術]
http://www.globalmusic.com/
米Global Music社による独自形式。圧縮した音楽データと再生用ソフトを組み込んだ形式で提供される。MP3、またはMPEGとの関連性はない。今までに、主なところではPublic
EnemyがMP4による楽曲を配信している。
・別項参照→Public Enemy
QDesign
Music Codec [圧縮技術]
http://www.qdesign.com/
米QDesign社による独自形式。MP3よりさらに高い圧縮効率を誇るという。Appleの「QuickTime」でも使用されている。'99年7月には、Texas
Instruments社と共同で携帯音楽プレーヤーの開発を進めることを発表した。
・別項参照→QuickTime、Texas
Instruments
TwinVQ(Transform-Domain
Weighted Interleave Vector Quantization)
[圧縮技術]
http://twinvq.jpn.net/
NTTヒューマンインタフェース研究所が開発した音声圧縮技術。原音の1/18以下に圧縮可能。エンコーダーとプレーヤーの試用版がWeb上で無償公開されている。ヤマハの「SoundVQ」は互換製品。携帯音楽プレーヤー「SolidAudio」の音楽データとして採用されている。
・別項参照→SolidAudio
★MS
Audio(WMA:Windows Media Audio)
[圧縮技術]
http://www.microsoft.com/japan/windows/windowsmedia/
米Microsoft社による音声圧縮形式。コードネーム「MS Audio」の名で知られている。 同社では、同じ音質ならMP3の1/2の圧縮比率といった例をあげ、他のフォーマットより圧縮比、音質ともに優れているとアピールしている。著作権保護機能を備えた配信システム「Windows
Media Technologies」との組み合わせで音楽配信の標準を狙う。なお、'99年6月には、携帯音楽プレーヤー「Rio」が次期モデルでの対応を表明した。8月にはWindows
Media Technologies正式発表に伴い、多くのWMA対応ソフトが発表された。
・別項参照→Windows Media Technologies 、Rio
★Beatnik
Player
[再生ソフト]
http://www.beatnik.com/index.html
米Headspace社による音声ファイル再生プレーヤー。MIDIやWAVのほか独自音楽フォーマット「RMF(Rich Music Format)」に対応している。RMF形式は、音質を損なわずにファイルサイズを小さくできる点や、著作権情報の埋め込める点が特徴。しかし、最大の特徴は「インタラクティブ性」。ユーザーが任意のトラックを組み合わせて音楽を楽しむことができる。David
Bowieのサイト「BowieNet」でデモが公開されている。 また、'99年8月にはYahoo!と提携し、デジタルコンテンツサイト「Yahoo!Digital」にコンテンツを提供している。
★MP3再生ソフト
[用語]
MP3ファイルを再生するためのソフト。「Winamp」「Sonique」「MacAmp」などが有名。国産では「SCMPX」が人気を集めている。再生、音量調節など音声再生ソフトの基本性能のほか、プレイリスト機能などを備えている。また、「RealPlayer
G2」「Windows Media Player」なども、新バーションで次々とMP3対応になっている。ただし、Winampも最新バージョンでMS Audioに対応するなど、音楽再生ソフトは様々なファイルフォーマットにも対応する形に進んでいる。'99年6月には、Winampを開発するNullSoftがAOLに買収、また、'99年8月には、SoniqueがLycosに買収されるなど、ポータルサイトによる買収が相次いでいる。
・別項参照→Winamp
MusicMatch Jukebox
[音楽管理ソフト]
http://www.musicmatch.com/jukebox/
インターネット上の音楽コンテンツや、ローカルの音楽ファイル/音楽CDなどを一括して管理できるソフト。MP3エンコーダー機能も備えている。携帯MP3プレイヤー「Rio-PMP300」や「NOMAD」に同梱されている。機能的に同様のソフトとしては「RealJukebox」があげられる。同ソフトを開発するMusicMatch社は、デジタル著作権管理システムを開発する米InterTrust社と提携するなど、合法的なMP3による音楽配信に向け活動を進めている。
・別項参照→Rio-PMP300、RealJukebox、InterTrust
QuickTime
[再生ソフト]
http://www.apple.com/quicktime/
米Apple Computer社による動画/音声再生ソフト。最新バージョン「QuickTime 4」では、ストリーミングにも対応している。また、AVI、DV、Macromedia
Flashなどのムービー、アニメーションのほか、音声ではMP3など対応フォーマットを拡張している。
★RealJukebox
[音楽管理ソフト]
http://www.real.com/realjukebox/index.html
インターネット上の音楽コンテンツや、ローカルの音楽ファイル、ローカルの音楽CDなどを一括して扱い、管理できるソフト。CDDBサーバーから再生中のCDのアルバム名や曲名を引いてくることや、再生時に自動的にバックグラウンドでMP3やRealAudio
G2などの音楽ファイルにエンコードできる機能を備えている。RealNetworks社の音楽配信システム「RealSystem MP」の一環としてリリースされたソフト。'99年8月に発表された「RealJukebox
Beta 2」では、a2b、LiquidAudioにも正式に対応した。有料版で、ビットレートが最大320kbit/secまでの高帯域でエンコードできるなどの機能を拡張した「RealJukebox
Plus」もある。 なお、大手レコード会社Warner Music Groupとの間で、RealJukeboxを使った楽曲のプ ロモーションに関する提携も発表している。
・別項参照→RealSystem MP、EMMS、a2b
music、LiquidAudio
RealPlayer G2 [再生ソフト]
http://www.jp.real.com/products/player/index.html
ストリーミング再生ソフトの代表格。音声と動画に対応している。最新バージョンでは、MP3にも対応したほか、Liquid Audioとの提携によりLiquid
Audioフォーマット再生も可能になった。5月の音楽配信システム「RealSystem MP」発表以降は、単なるストリーミング再生ソフトからデジタル音楽配信の総合クライアントとしての性格も帯びてきた。また、IBMの音楽配信システム「EMMS」でもその技術が採用される。
・別項参照→Liquid Audio、RealSystem MP、EMMS
Siren [音楽管理ソフト]
http://www.sonicfoundry.com/
音楽編集ソフトで知られるSonicFoudry社の音楽管理ソフト。Microsoft社の配信システム「Windows Media Technologies」の正式発表とともにリリースされたことからもわかる通り、WMAフォーマットに対応している。ほかには、CDDBへの接続、エンコード等通常の機能を備えているほか、音楽と連動して動く3D画像を同時に表示するのが特徴だ。
・別項参照→MS Audio(Windows Media Audio)
★Skin
[用語]
http://www.winamp.com/winamp/skins/index.phtml
MP3プレーヤーの“見た目”を替えるモジュール。例えば、Wimampを、カーステレオ風のインターフェイスにしたりできる。作成も比較的容易で、多くのユーザーにより様々なSkinが公開されている。'99年8月に発表された「RealJukebox」もSkin対応になった。
・別項参照→Winamp
Winamp [再生ソフト]
http://www.winamp.com/
Nullsoft社による代表的なWindows対応のMP3プレーヤー。シンプルな操作性と確かな機能で人気。また、Skinの対応などユーザーが遊べる領域が残っている点も人気の一因だ。「SHOUTCast」によるストリーミングのMP3にも対応している。PlayMedia
Systems社からソースコードを無断流用しているとして訴えられたが、その後和解している。
・別項参照→MP3再生ソフト、SHOUTCast
★メモリースティック
[記録メディア]
http://www.sony.co.jp/soj/CorporateInfo/News/199902/99-021/index.html
ソニーによる小型IC記録メディア。すでに4MB、8MB、16MBの3種類が商品化されているほか、256MBの開発も検討されている。メモリースティックを利用した携帯音楽端末「メモリースティックウォークマン」も開発中で、'99年内に製品化される予定。ソニーの著作権保護技術「MagicGate」との組み合わせによる音楽配信において、有力な記録メディアとなる。2000年4月には、NTTドコモの「メモリースティック対応PHS端末」との組み合わせによる配信実験も実施される。
・別項参照→MagicGate
★Rio
[携帯音楽プレーヤー]
http://www.diamondmm.com/company/public/PressRelease.CFM?ID=204
Diamond Multimedia Systems社による携帯MP3プレイヤー。世界初の携帯型MP3プレーヤー、Saehan社の「mpman」より後発だが、価格や転送ソフトの充実等で人気を集めた。また、MP3情報サイト「RioPort」との連携や、InterTrust社によるデジタル著作権管理システムへの対応など、今後も注目のMP3プレーヤーの1つだ。なお'99年6月には、内蔵メモリー、付属ソフトを拡張した次期モデル「Rio
500」の概要が発表された。また、「Rio 500」の次のモデルでは、MP3のほか「Windows Media Audio」にも対応する。
・別項参照→携帯MP3プレーヤー、InterTrust 、Windows
Media Audio、RioPort
★SolidAudio
[携帯音楽プレーヤー]
http://www.solidaudio.jpn.net/
神戸製鋼所とNTTの共同開発による携帯音楽プレーヤー。サイズはクレジットカード大で厚さ10mm、重量55g。音楽圧縮技術は「TwinVQ」を採用している。固有の識別番号を持つメディアを利用したデジタルコンテンツ流通方式「InfoBind」によってコンテンツが配信される。'99年7月末よりハギワラシスコムによりOEM販売されている。実売価格は3万円程度。
・別項参照→TwinVQ、InfoBind
CDDBサーバー [サービス]
http://www.cddb.com/
その名の通りCD情報が登録されたインターネット上のデータベースサービス。Music Match、RealJukeboxなどのインターネット上の音楽とローカルの音楽を一括して管理するソフトには、CDDBへの接続機能が搭載されている。例えばパソコンのCD-ROMドライブにオーディオCDをセットすると、ソフトがCDDBデータベースに接続し、自動的に「アーチスト名」「アルバム名」「ソング名」をダウンロードする。
・別項参照→Music Match Jukebox、RealJukebox
Clearinghouse
[用語]
本来は「手形交換所」の意味。音楽配信システムでは、大手銀行が金融取引が正当に認められたものであることを保証するために利用する手形交換所の概念を取り入れ、ユーザー/コンテンツの認証センターを「Clearinghouse」と称している。EMMS、InterTrustなどがこの名称を使用。
・別項参照→EMMS、InterTrust
DAWN 2001
[著作権管理システム]
http://www.jasrac.or.jp/jhp/dawn2001/release.htm
JASRACによる音楽著作権管理のデジタル化構想。2001年からの稼働を目指している。音楽著作物の作品届受付、使用届受付などの情報を統合したデータベースを構築し、業務をデジタル化する。また、ネットワーク上の音楽コンテンツについては、電子透かしによりコンテンツに埋め込まれた著作者情報と、統合データベースを照合し、利用された(購入された)楽曲1件1件の著作物使用を把握する。さらに、音楽データ検索ロボットの導入により、違法コピーファイルの監視も行なうという構想。ただし、実現するには、電子透かし技術の開発や、原盤を制作するレコード会社などの協力が不可欠となっている。
・別項参照→JASRAC
DRM
(Digital Rights Management)
[用語]
http://www.intertrust.com/drm/index.html
Intertrust社によるデジタル著作権管理システム。コンテンツ提供者が、コンテンツを制限を加えパッケージングして配布、ユーザーは、コンテンツパッケージを入手した後、ライセンスサーバーへ接続してライセンスを受け取るしくみ。Microsoft
Windows Media Technologiesに含まれるデジタルコンテンツ著作権管理ツール「Windows Media Rights Manager」で採用されているほか、携帯用MP3プレーヤー「Rio-PMP300」がDRMへの対応を表明している。
・別項参照→InterTrust、Windows Media Technologies、Rio-PMP300
EMMS (Electronic
Music Management System) [音楽配信システム]
http://www.almaden.ibm.com/cs/madison.html
米IBMによる音楽配信システム。専用のクライアントソフト、認証サーバー、コンテンツ制作システムなどで構成されている。基本的に採用する音楽圧縮技術の種類は問わない。すでに、大手レコード会社5社と共同で、今春から米国内で実験を開始することが発表されている(通称“Madison計画”)。実験はCATVユーザーが主な対象だが、ダイヤルアップユーザーへの配信も視野に入れている。なお、RealNetworksとの提携により、Real社のクライアントソフトおよび配信用コンテンツ作成ツールがEMMSに組み込まれることになったほか、ソニーとの提携により、著作権保護技術「MagicGate」とも連携するなど、その規模は大きくなっている。
・別項参照→5大レコード会社、MagicGate
InfoBind(仮称) [音楽配信システム]
http://info.ntt.co.jp/news/news99/9902/990223.html
NTTと神戸製鋼所の共同開発による音楽配信システム。携帯用音楽プレーヤー「SolidAudio」が使用される。東芝による固有の識別番号(ID)付きスマートメディアを利用し、特定のメディアにのみ記録可能なことによる不正コピー防止と、同方式に準拠しているプレーヤーならどれでも再生できることを特徴としている。なお、SolidAudioでは、音楽圧縮形式に「Twin
VQ」を利用しているが、技術的にはMP3を使うことも可能。
・別項参照→SolidAudio
InterTrust
[音楽配信システム]
http://www.intertrust.com/
著作権管理機能を組み込んだ音楽配信システム。コンテンツは、音楽データや歌詞、クレジットのほか、著作権情報、端末機器へのコピー制限情報などを盛り込んだ上で暗号化され「Digibox」というファイルに収められて配信される。著作権保護には、同社による著作権管理システム「DRM」が使われ、コンテンツの追跡調査も可能だという。音楽を聴くには、専用の再生ソフトが必要。再生ソフトは、ジャケット写真、リンクボタン、歌詞などを表示する。暗号を解くためのユーザー認証は、課金/認証センター「Clearinghouse」(米国ではReciprocal社が運営)で行なわれる。同社は、Diamond
Multimedia社、MusicMatchと提携しており、携帯MP3プレーヤー、MP3用ソフトでの浸透を図る。なお、'99年7月には、大手レコード会社BMGがInterTrustの採用を表明した。
・別項参照→DRM、Clearinghouse、Reciprocal
Liquid
Audio [音楽配信システム]
http://www.liquidaudio.com/
Liquid Audio社による音楽配信システム。Dolby Digital圧縮方式を採用した「Liquid Audioフォーマット」によりCD並みの音楽を配信する。音楽データには、RSA暗号鍵による暗号化、電子透かしによる著作権侵害防止策が施されている。ユーザーは、音楽購入時に「Liquid
Passport」が発行され、その購入に使用した専用の再生ソフト「Liquid Music Player」のみで再生することができる。再生ソフトは、ジャケット写真や歌詞、クレジットなどを表示可能。また、このシステムは、一度だけCD-Rに録音できる特徴がある。Tower
Recordsなどがサンプル提供用に同システムを採用しているほか、独自の音楽紹介サイト「Liquid Audio Music Network」も運営している。なお、'99年6月には、大手レコード会社EMIが同システムの採用を発表、7月には、「Zip」などの記録メディアで知られるIomega社と提携した。また8月には、三洋電機と携帯プレーヤー開発について提携、Yahoo!とコンテンツ提供について提携するなど快進撃を見せている。
・別項参照→Liquid Audio Music Network
MagicGate(仮称)
[著作権保護システム]
http://www.sony.co.jp/soj/CorporateInfo/News/199902/99-028/index.html
ソニーによる、半導体メディアやパソコン用の音楽著作権保護技術。コンテンツを暗号化するとともに、メモリースティックなどの半導体メディアと対応機器の間で、お互いが、MagicGateによる音楽著作権保護に対応しているかどうかの認証を行ない、認証されたメディアと機器間でのみ音楽コンテンツの再生や移動が可能となるというもの。ソニーでは、さらに流通システムも絡めた「Super
MagicGate(仮称)」の開発も進めており、SDMIに音楽配信システムとして提案する。
・別項参照→メモリースティック、SDMI
MusicLink [音楽配信システム]
http://www.sony.co.jp/soj/CorporateInfo/News/199903/99-036B/index.html
ソニーによる、CS放送を利用した音楽配信チャンネルの名称。ATRAC形式の音楽データが番組と並行して配信され、それらを専用の対応機器を使って4倍速でMDに録音することができる。不正コピー防止に関しては、光デジタルを通じた場合にはSCMSを採用する。当初は、著作権処理等の問題から配信されるのはインディペンデント系の音源のみ。
・別項参照→Audio Home Recording Act
MusicPod [音楽配信システム]
http://www.musicpod.co.jp/musicpod.html
情報通信関連のベンチャー企業ブイシンク社により開発された“音楽の自動販売機”。音楽を光ファイバー経由で店舗用の専用端末に配信し、ユーザーは直接MDに録音するというシステム。1曲あたり150円~250円程度で販売する予定。年内か来年初頭の実用化を目指す。直接インターネットを利用してユーザーが音楽を聴くというものではないが、新しい音楽流通の1つとして注目しておきたい。
Reciprocal社
[企業]
http://www.reciprocal.com/
著作権管理システムを開発する会社。Microsoft社の出資を受けている。Microsoftのコンテンツ配信システム「Windows Media Technologies」の認証/課金サーバーを開発するとともに、実際に認証/課金作業を行なう「Clearinghouse」を運営する。同じくInterTrust社のClearinghouseも運営している。なお、'99年5月に米AT&Tの子会社「a2b
music」の創立者を含む開発チームを引き抜いており、今後の動きに注目の会社だ。
・別項参照→Windows Media Technologies、InterTrust、a2b
music
RealSystem MP
[音楽配信システム]
http://www.real.com/company/pressroom/pr/99/realsysmp.html
RealNetworks社による音楽配信システム。同社のRealSystem G2技術や、同社が買収したXing Technology社のMP3技術など、デジタル音楽技術をベースにした音楽配信システム。著作権管理情報の埋め込みや、CDDBサーバーによるアルバム名、曲名、アーティスト名のデータベースサービス、携帯MP3プレイヤーなどへのデータ格納などの機能を持つ。EMMS、Liquid
Audioへの対応などその守備範囲は広がっており、すでにレコード会社、技術関連会社など、各業界の60以上の会社がサポートを表明している。
・別項参照→CDDBサーバー、EMMS、Liquid
Audio
SHOUTcast
[音楽配信システム]
http://www.shoutcast.com/
MP3をストリーミングで配信できるシステム。Winampで知られるNullSoftによるもの。Winampのプラグイン「SHOUTcast server」により、Winampの「プレイリスト」に登録した音楽データをストリーミングで配信できるというもので、個人でも「放送局」になることができる。
・別項参照→Winamp
Texas Instruments社
[企業]
http://www.ti.com/
もともと、DSPなどの開発で知られる企業だが、SDMIの携帯音楽プレーヤーの仕様公開とともに、Liquid Audioなど数社との提携を発表し、今後の動向が注目される。音声圧縮方式「QDesign
Music Codec」との連携による携帯プレーヤーの仕様も開発している。
・別項参照→Liquid Audio 、QDesign
Music Codec、SDMI
★Windows Media
Technologies [音楽配信システム]
http://www.microsoft.com/japan/windows/windowsmedia/
Microsoft社によるデジタルコンテンツ配信システム。再生プレーヤー、エンコーダーなどを含むコンテンツ作成ツールのほか、著作権保護機能を持つ管理ツール、ペイ・パー・ビュー方式の課金を可能にするツールなど、コンテンツの作成から配信、再生までの製品群で構成されている。音声圧縮形式はMS
Audioを採用。Sony Music Entertainmentとの提携を発表しており、相互のソフト/コンテンツについて共同でマーケティング、プロモートを進める。'99年8月に正式版がリリースされるとともに、MusicMatch、Nullsoftなどのソフト会社、EMI
Music、Warner Music Groupなどのレコード会社がサポートを表明した。
・別項参照→MS Audio
中間まとめ [用語]
http://www.monbu.go.jp/singi/chosaku/00000260/
文化庁の著作権審議会内に組織される専門部会「集中管理小委員会専門部会」によりまとめられた仲介業務制度を含む著作権の集中管理に関する規制緩和などの提言。「集中管理団体の参入規制の原則的廃止」といったJASRACの一元管理体制を揺るがす項目が含まれていることもあり、当然JASRACは、真っ向から反論する「意見書」を提出している。各団体からの意見をまとめた上で最終報告が作成される。
「ネットワーク上での有料の音楽利用に関する著作物使用料について暫定合意」
[用語]
http://www.jasrac.or.jp/jhp/network/index.htm
http://www.jasrac.or.jp/jhp/enchou.htm
JASRACとNMRCの間で進められている、インターネット上での音楽利用に関する著作物使用料についての暫定的な合意。月額基本使用料の問題などに関して、'97年の協議開始から両者の主張は平行線を辿っており、'98年11月に'99年3月31日までの暫定合意が発表されたが、結局、さらに2000年3月31日までの1年間延長されることになった。また、NMRCの一員として協議に参加していた日本レコード協会は、'99年5月、独自にJASRACとの交渉にあたる方針を発表した。日本では、インターネット上での音楽配信が技術的に可能であっても、著作者に支払われる著作権使用料が決定していないのが現状だ。
・別項参照→JASRAC、NMRC
Audio Home Recording
Act [法律]
http://www.hrrc.org/ahra.html
一般家庭での音楽録音に関する米国の法律。特にデジタル録音機器によるコンテンツの違法複製などを禁じており、デジタルコピーの世代管理規格「Serial Copyright
Management System(SCMS)」などを定めている。'98年、携帯用MP3プレイヤー「Rio PMP300」を製造するDiamond Multimedia
Systems社は、RIAAからAudio Home Recording Actを侵害しているとして製品の出荷/販売の停止を請求していたが、米連邦地裁は販売差し止めを破棄した。
・別項参照→Rio PMP300、RIAA
Digital Millennium Copyright
Act [法律]
ftp://ftp.loc.gov/pub/thomas/c105/h2281.ih.txt
デジタル時代に対応した米国の改正著作権法。'98年10月にクリントン大統領により署名された。コピープロテクトを破ること自体を禁止しており、関連する装置の製造、販売、輸入も規制の対象にしている。また、オンライン放送事業者は、音楽を放送するたびに著作権が帰属する音楽レーベルに一定割合の金額を支払わなければならないといった項目も含まれている。インターネットラジオ局「RadioMoi」は、'99年5月に同法に基づき音楽配信に関するライセンスを受けている。
・別項参照→RadioMoi
日本音楽著作権協会 (JASRAC)
[団体]
http://www.jasrac.or.jp/
「仲介業務法」に基づき文化庁の許可を得て、音楽著作権の仲介業務を行なっている国内で唯一の団体。今年で創立60周年を迎える。作詞家、作曲家、音楽出版社など音楽の著作権者の代表としての役割もあり、著作権を侵害する違法コピーの撤廃に力を注いでいる。インターネットの普及以降、ネットワーク上の著作権使用料の策定も含め、その対応の遅さぶりが批判されることもあるが、最近ネットワーク音楽配信にも対応した次世代著作権管理システム「DAWN2001」を発表した。
・別項参照→DAWN2001
ネットワーク音楽著作権連絡協議会
(NMRC) [団体]
http://www.impress.co.jp/nmrc/
ネットワーク上での音楽利用のための許諾ル-ル制定に向け、情報収集、研究および関係諸団体間の合意形成を目的として'97年に設立された団体。音楽電子事業協会、マルチメディア・タイトル制作者連盟、日本レコ-ド協会、、日本インターネット協会など9団体で組織されている。'98年11月にJASRACとの間で、インターネット上での音楽利用に関する著作物使用料について'99年3月31日までの暫定的な合意をしたが、その後も両者の意見は食い違いを見せ、さらに2000年まで暫定期間が延長された。
・別項参照→「ネットワーク上での有料の音楽利用に関する~」
米レコード協会 (RIAA:The
Recording Industry Association of America)
[団体]
http://www.riaa.com/
'52年に設立された米国のレコード産業による業界団体。従来から、違法MP3ファイルによる海賊盤の蔓延に対する危惧を表明していたが、最近では、自身のサイトでMP3ファイルによるデモ曲を掲載するなど、MP3、また、インターネット上の音楽配信に対する姿勢も和らいできた。SDMIでも中心的な役割を演じている。
・別項参照→SDMI
★メディア・アーティスト協会
(MAA) [団体]
http://www.maa.gr.jp/
'99年2月に設立された、「デジタル・メディアに関する、アーティスト自身によるアーティストのための団体」。音楽家の坂本龍一氏、佐野元春氏、ゲーム作家の飯野賢治氏ら6名のアーティストが発起人となっている。毎月の定例会では、著作権に関する勉強会や音楽配信システムのデモなどが実施されているが、「内容が音楽分野に偏りすぎではないか」との声が会員からあがり、今後より広いジャンルにわたって活動を進める。今後は、著作権のありかたなどに関して、MAAとしての見解を意見書として国内外に公表する予定だ。
・別項参照→坂本龍一、佐野元春
ASCAP
[団体]
http://www.ascap.com/
BMIと並ぶ米国の大手音楽著作権管理団体。設立は1914年。インターネット上での音楽配信に関する著作権処理をいち早く取り入れたことでも知られている。'99年2月には、音楽データ用の「電子透かし」技術の開発に関して、米Solana
Technology Development社と提携している。また、'99年6月にはMP3紹介サイト「MP3.com」との提携を発表した。
・別項参照→MP3.com
Genuine Music Coalition
[団体]
http://www.liquidaudio.com/company/press/archive/1_25_99b.html
Liquid Audio社が中心となり、レコードレーベルなど音楽関連企業48社により結成された団体で、デジタル音楽の新標準フォーマット「Genuine
Music」の推進を目的としている。Genuine MusicはMP3などの音楽フォーマットを拡張したもので、ファイルには、音楽の作者、著作権所有者などの情報が「電子透かし技術」でデジタル署名される
SDMI
(Secure Digital Music Initiative)
[団体]
http://www.sdmi.org/
デジタル音楽著作権保護を目的に'98年12月に設立されたフォーラム。米国大手レコード会社、IT関連企業、関連団体などが参加している。インターネット上の音楽配信の実現に向け、重要な役割を担う団体。音楽配信に関わる各企業からの発表には、「SDMIに標準規格として提案する予定」とのことわり書きが多い。SDMI内に組織された携帯音楽プレーヤーに関するワーキンググループが、業界標準仕様の策定を進めており、'99年7月に最初の仕様を発表する。年内には、SDMIの仕様に沿った製品が発売される予定だ。
佐野元春 [音楽家]
http://www.moto.co.jp/
佐野元春氏はインターネットの活用に積極的なミュージシャンの一人。「インターネット1996ワールドエキスポジション」の128KTTHプロジェクトへの参加のほか、数回のインターネットライブ中継、また、有料のデジタルコンテンツの販売などを実験的に行なっている。MAAの発起人の一人でもある。
・別項参照→メディア・アーティスト協会
Beastie Boys [ラップグループ]
http://www.beastieboys.com/
米国のラップグループ。Public Enemy同様、曲をMP3で掲載し、レコード会社Capitol Recordsから強制的に削除された。その後、自身のレーベル「Grand
Royal」のサイト上でMP3のストリーミングによるインターネットラジオ「GR Radio」を開始した。最近では、コソボ紛争被害者達のためのチャリティとして、過去にリリースされていない3曲のリミックスを無料で公開し、バンドとスポンサーが1ダウンロードにつき2ドルを慈善団体に寄付するというユニークなチャリティ活動を開始している。
P-MODEL
[テクノバンド]
http://netnavi.nikkeibp.co.jp/mp3/P-MODEL/
日本のテクノポップの草分けとして知られるバンド。自身のサイト「P-PLANT」上でMP3による曲を販売する。プロアーティストとしては日本初の試みとなる。
同バンドは、MP3による配信を開始するにあたって、メジャーレーベルとの契約を切った。
Public Enemy [ラップグループ]
http://www.public-enemy.com/
'82年に結成されたラップグループ。扇動的なメッセージで強い支持を集めている。インターネットとの関わりは、'98年暮れに自身のサイトで公開した新曲を所属レコード会社Polygram/Universalから削除されたことから始まった。その後、MP4による曲の配信、所属レコード会社からの離脱、インターネット上のレコード会社Atomic
Popとの契約と話題を提供してきた。5月には、新譜「There's a Poison Going On」をインターネット上で先行販売した。インターネット上の音楽配信に積極的なリーダーのCHUCK
Dは、インターネット関連のカンファレンス「Silicon Alley 99」や「Plug.in」でのパネルディスカッションに参加し、旧来の音楽業界を激しく批判している。
・別項参照→MP4、Atomic Pop
Todd Randgren [音楽家]
http://www.tr-i.com/
約30年にも及ぶキャリアを持つミュージシャン。一時期「新曲はインターネット上でしかリリースしない」と発表し話題になった。現在、自身のサイトでは、会員に向けてオリジナルの曲を提供している。
★Amazon.com
[オンラインショップ]
http://www.amazon.com/
大手オンライン書店として知られるAmazon.comだが、音楽配信にも積極的。最近では、音楽のダウンロードコーナー「Free Digital Downloads」を開設し、メジャーアーティストの曲を多数無料で公開している。
Atomic Pop
[企業]
http://www.atomicpop.com/
MCA、CBSなど大手レコード会社で幹部を歴任してきたAl Teller氏が'99年2月に設立したインターネット上のレコード会社。L7、Public
Enemyの曲をMP3、a2b musicで配信している。5月には、Public Enemyの新アルバムを販売、またZIPドライブによる販売も発表するなど話題になっている。
・別項参照→a2b music、Public Enemy
EMusic(GoodNoise)
[企業]
http://www.emusic.com/
EMusicは、インターネット上のレコードレーベルとして設立された「GoodNoise」が'99年に社名変更したもの。GoodNoise時代から、オリジナルレーベルでの作品を販売しているが、中堅レコード会社RykoDiscとの提携などにより、その扱いカタログを増やしてきた。
Liquid Audio Music Network [音楽配信サービス]
http://www.liquidmusicnetwork.com/
Liquid Audio社による音楽配信サービス。レコード会社やレーベルは、同社の音楽配信システムやホスティングサービスを利用して、Liquid Audio
Music Networkサイト上で音楽を配信することができる。現在、「Ultimate Band List(UBL)」などの音楽サイトや「Atomic
Pop」といったレーベルが参加している。
MP3.com
[MP3サイト]
http://www.mp3.com/
音楽だけではなく、ハード/ソフトも含め最新のMP3関連ニュースなどを発信している、代表的なMP3総合情報サイト。'97年開設。プロ/アマ問わず、アーティストの登録やMP3による曲データの掲載を受け付けており、Tom
PettyなどのメジャーアーティストがMP3.com上で新曲を公開することも多い。 音楽著作権管理団体ASCAPとの提携により、さらに強力になりそう。
・別項参照→ASCAP
★music.co.jp
[音楽配信サービス]
http://www.music.co.jp/
'97年4月より日本で開始された会員制の音楽配信サービス。Liquid Audioを利用して音楽を配信している。また、「デジタル権利センター」を設置し、コンテンツ配信の許諾、認証、決済、権利処理を代行している。'99年9月にはMP3による音楽配信を開始した。
RadioMoi
[音楽配信サービス]
http://www.radiomoi.com/
ストリーミングのMP3によるインターネットラジオ。自前の音楽データベースを持っており、ユーザーはアーティスト名などから曲を検索することができる。作成したプレイリストをサイト上のコーナーに登録でき、他のユーザーが作成したリストの曲も聞くことができる。'99年5月には、RIAAからDigitalMillennium
Copyright Actに基づく音楽配信のライセンスを受けた。
・別項参照→RIAA、DigitalMillennium Copyright Act
★RioPort
[音楽配信サービス]
http://www.rioport.com/
米Diamond Multimedia Systemsの子会社で携帯音楽プレイヤー「Rio」を開発する会社。サイトでは、MP3による音楽配信を行なう。'99年7月には、音楽専門テレビチャンネルで知られるMTV
Networks Onlineと、大手 レコード会社Universal Music Groupとの間で、デジタル音楽の配信やSDMI仕様準拠 のプレイヤー開発において提携したと発表するなど注目の企業。
・別項参照→Rio、SDMI
Riffage.com
[MP3サイト]
http://www.riffage.com/
米Diamound Multimedia社で携帯MP3プレーヤー「Rio」の開発を進めていた元幹部Kenneth R.Wirt氏により設立されたMP3音楽サイト。mp3.com同様、アーティストの登録やMP3による曲データの掲載を受け付けている。
Listen.com [オンライン音楽検索サイト]
http://www.listen.com/
MP3を含め“合法的”な音楽ファイルのディレクトリー/検索サイト。Macromediaの「Shockwave.com」、Yahoo!の「Yahoo!Digital」との提携など注目を集める。ユーザー自らが登録できるレビューなどが便利。
MP3.ne.jp [MP3サイト]
http://www.mp3.ne.jp/
日本語によるMP3総合情報サイト。新製品の情報も充実している。オリジナル曲の募集や掲載もしている。
SonicNet [音楽情報サイト]
http://www.sonicnet.com/
http://www.sonicnet.co.jp/ (SonicNet
Japan)
デイリーで音楽ニュースを配信する「SonicNet」。メジャーなミュージシャンがインターネットを新曲を公開、といった記事がよく取り上げられる。SonicNet
Japanでは、1日遅れだが日本語で記事を読める。ビデオクリップなども配信。
Webnoise [音楽情報サイト]
http://www.webnoise.com/
'97年に開設された音楽業界関連のニュースサイト。特にインターネットでの音楽配信についてのニュースが充実している。
('99/6/13)
[Reported by okiyama@impress.co.jp / Watchers]