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【著作権】

新しい著作権管理団体は登場するか――著作権審議会が中間まとめを発表

■URL
http://www.monbu.go.jp/singi/chosaku/00000260/
http://www.monbu.go.jp/singi/chosaku/00000261/

 文化庁の著作権審議会内に組織される専門部会「集中管理小委員会専門部会」が「中間まとめ」を発表した。中間まとめは、仲介業務制度を含む著作権の集中管理に関する規制緩和などを提言するもので、今後、関係者や一般からの意見を募った上で最終報告をまとめる。

 中間まとめは、全体で8章立てで構成されている。ここでのポイントは「仲介業務法」の見直しについてだ。仲介業務法は、1939年に制定された法律。文化庁より許可を得た団体のみが著作権の仲介業務が可能という内容で、現在まで実質的に改定されていない。音楽著作物については、仲介業務法制定以来、日本音楽著作権協会(JASRAC)が唯一の管理団体。商業的に利用される音楽については、事実上JASRACが独占的に管理している。

 中間まとめでは、著作権の集中管理に関して、権利の保護、また、利用の円滑化を図る方法の一つとしてその意義を述べている。一方で、著作物利用手段の普及や、技術の発達により「個別管理」での対応も可能であるとしている。大雑把に一例を言うと、「インターネットにより個人でもホームページ上で画像や音楽など人の作品を使う例が増えてきた。そして、現在では、許諾システムや使用料徴収システムを組み合わせて、著作者自身でも著作権を個別に管理できる」ということだ。これにより、例えば、著名なミュージシャンが自分のサイト上でオリジナルの楽曲を配信することが可能になる(現状では、例え自分の曲でもJASRACによる許諾が必要。しかも使用料は暫定)。中間まとめでは、「集中管理か個別管理かの選択は、権利者自身が決定すべきものであるが、技術革新は確実に多用な管理方法や形態を可能にさせる方向に動いている」としている。

 また、ここでは、「集中管理団体の参入規制の原則的廃止」も検討されている。これは、新たに著作権管理団体の参入を可能にするというもので、例えば、オンラインでの音楽配信に関する著作物のみ扱う管理団体が登場する可能性もあるということだ。この利点は、「権利者の委託先の選択の幅が広がること」、「競争原理の導入による合理的、効率的な管理」「効果的、効率的な著作物使用料の設定」などがあげられる。特に競争原理の導入については、JASRACの独占体制に関して、従来からNMRCなどの業界団体や坂本龍一氏らアーティストが激しく批判しており、望まれていた部分である。一方で、中間まとめでは、複数管理団体の存在により発生する「許諾手続きの複雑化・煩雑化」「使用料の不明瞭さ」「管理コストの高騰」などの問題点を指摘している。

 集中管理小委員会専門部会では、政府全体の規制緩和政策との関係、競争原理の導入、権利者/利用者の保護といった法的基盤整備の基本方針に従えば、「複数の集中管理団体が存在することを否定することは適当でない」として、「一定の用件を満たした集中管理団体であれば、自由に参入を認める方向である」としている。また、ある程度の新規参入団体がある場合には、職員研修、委託契約約款作成例の研究、著作物使用料規定の作成例の研究などを実施する「集中管理団体協議会(仮称)」の設立が望ましいとしている。

 なお、集中管理小委員会専門部会では、関係者や一般から中間まとめに対する意見を募集している。電子メールか郵送で応募可能で、締め切りは7月31日。

('99/7/6)

[Reported by okiyama@impress.co.jp / ymasa@wizvax.net]


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