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【レポート】

WIRELESS JAPAN '99レポート

■URL
http://www.ric.co.jp/wireless/

 東京ビッグサイトで21日より23日まで、ワイヤレス/モバイルソリューション展「EXPO COMM WIRELESS JAPAN '99」が開催されている。「ソリューション展」とあるとおり、展示の中心はcdma計測機器など、移動通信体のキャリアやメーカー向けの製品だが、稼動しているBluetoothなど、ユーザーにも興味深い展示も見られた。

 展示会と同時に、おもに情報システム担当者をターゲットとした有料・無料のセミナーやワークショップも併催されている。ここではセミナーの様子なども合わせてお伝えする。


■「IMT-2000の需要は不透明」DDIセルラー小野寺氏

小野寺氏 初日のセミナーでは、cdmaOneを導入、年内に64kbpsパケットサービスを導入予定のDDIセルラー副社長の小野寺氏が講演を行なった。同氏は、TACS方式を採用した時点では50%のシェアを維持していたが、PDCの時代となって、開発と並行して標準化を行なったNTTドコモに対して標準化後に開発を行なうNCCは約1年の遅れをとったなど、NTTドコモとのシェアが開いた理由を分析。PDCのノウハウを得るため端末メーカーがNTTドコモに集中したことや、端末のNCCへの納入にはNTTドコモへの納入から半年の期間が置かれるなどの事情にも言及した。

 こうした理由からDDIセルラーは世界標準のcdmaOneを採用。cdmaOneの採用はPDCでは海外進出がしたくてもできなかった端末メーカーにとっても海外進出のきっかけとなり、メーカーにも歓迎されていると述べた。

 また年内に予定されているcdmaOneでの64kbpsパケット通信サービスについては誤解されている向きもあるとして、「現在の携帯端末の表現力では、64kbpsは必要ないと考えている。64kbpsパケット通信は、PCなどをターゲットとしている」と、DDIセルラーとしては用途による切り分けを考えている(これはすなわち利用料金に反映されるということだと思われる)ことを明らかにした。

 384kbps~2Mbpsの超高速通信が可能となるIMT-2000について小野寺氏は、2Mbpsまで必要とする需要が現在までのところ不透明であるとし、また「IPネットワークとの接続なしでは意味がないが、現在IPネットワークの標準化がまだなされていない状態」のため、2Mbpsなどのサービスの導入を決定するには時期尚早であると述べ、DDIセルラーでは384kbpsでの導入までを現実的に考えていると述べた。また「データ通信速度と端末送信電力」の図を示し、現状のcdmaOneのデータ通信が64kbpsで約0.5W程度の消費電力であるのに対して384kbpsでは8Wの電力を消費、これが2Mbpsでは40Wにもなるとして、消費電力や熱対策の面からも、2Mbpsの採用には現状では問題が多いと指摘した。


■「WAPはまだ世界標準ではない」NTTドコモ立川氏

立川氏 同じく初日のセミナーには、IMT-2000、G3(Generation 3、第3世代)のWCDMAへ移行予定のNTTドコモ社長、立川氏も登場し、移動体通信市場の発展の経緯や同社のモバイルマルチメディアへの展開、IMT-2000へ発展する推移などについて講演した。しかしIMT-2000への移行などについては、W-CDMA、cdma2000、UWC-136の3つの規格が共存するIMT-2000(G3、第3世代)から画像・広帯域サービスを含むM-ISDN(第4世代)への図を示したのみで詳しくは触れなかった。

 興味深かったのは、「NTTドコモはWAP Forumに入っているが」という会場の質問に答えて立川氏が「WAPとiモードの両方をやっているのは、どちらがいいか現状では簡単には決められない。どちらも世界的にデファクトスタンダードにはなっていない」と述べたことだ。続いて立川氏は、「iモードは、単に情報を送受信するだけではなく、その先のアクションがとれるサービスに発展させていく。たとえば株をやっておられる方なら、iモードでは株を指値で売買することができる」とアピール。また、データ通信の料金に関しては「回線交換からパケットに移行していく過程で、下げなければならないし、どんどん下げていきたいと考えている」と料金値下げによって利用を喚起していく方針であることを述べた。


■「今後は音質よりデータサービスの内容」、フォーンドットコムジャパンの石井氏

石井氏 2日目のセミナーに登場したフォンドットコムジャパンの日本オペレーション・ゼネラルマネージャー、石井和彦氏は、「モバイルコンピューティングにおけるWAPの優位性と将来像」と題した講演を行ない、今後の携帯端末市場のトレンドについて語った。

 同氏は、「今後、携帯端末が備え付けの固定電話にかわって“Primary Phone”となる一方で、WWWが社会の情報インターフェイスとしての役割を担っていくことになるだろう。事業者間の競争はより一層激化し、最近では音質のよさが差別化要因となっているが、今後はニュースや株価情報等の配信やアドレスやスケジュールの管理機能といったデータサービスが最大の差別化要因になる。携帯端末では、プッシュ型のサービスのほか、“ロケーション”(ユーザーがどこにいるのか)や“プレゼンス”(ユーザーがネットワーク上に存在するかどうか)といったこれまでのインターネットにはない機能も提供でき、こうしたワイヤレス環境に特化したアプリケーションの開発が重要になる」と語った。


■ノキア、Bluetoothをデモ

 展示会場のノキア・ジャパンのブースでは、携帯電話とPC、それぞれに通信用のチップを搭載することで、無線によるデータ・シンクロ等が可能となる「Bluetooth」(本誌'98年5月22日号参照)のデモが行なわれていた。残念ながら、今回のデモでは端末がPDC対応ではなく、GSM対応のものを使っているため、インターネット接続のデモは行なわれていなかったが、ノートPCから携帯電話のバッテリー残量をチェックしたり、電話帳を参照したりできることは確認できた。ノキアでは、来年中の出荷を目処に開発を進めていく。

Bluetooth搭載の携帯電話 Bluetoothの基板 バッテリー残量と電話帳

■NTTドコモ、W-CDMAによるワイヤレスビデオ通信をデモ

 NTTドコモのブースでは、W-CDMAによるワイヤレスビデオ通信のデモが行なわれていた。今回のデモでは、MPEG-4形式のビデオ(10fps)が携帯端末上で流されていた。ビデオの転送レートは64kbpsで、数年後とみられるサービス開始の際と同等のクオリティを想定しているとのこと。また、カラフルなW-CDMA端末のプロトタイプや、先日発表されたばかりのポケットボードの新型「ブラウザボード」も展示されていた。

ワイヤレスビデオ通信のデモ W-CDMA端末のプロトタイプ W-CDMA端末のプロトタイプ W-CDMA端末のプロトタイプ
W-CDMA端末のプロトタイプ W-CDMA端末のプロトタイプ W-CDMA端末のプロトタイプ ブラウザボード

('99/7/22)

[Reported by hiroe@impress.co.jp / yuno@impress.co.jp]


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ウォッチ編集部INTERNET Watch担当internet-watch-info@impress.co.jp