■URL
http://www.umich.edu/~newsinfo/Releases/1999/Jul99/r072699a.html
インターネットで公開されている医療情報の中には間違っているものがあり、利用するときには十分に注意する必要がある、との調査結果をミシガン大学医学部のJ.Sybil Biermann助教授がまとめた。
この調査では癌の一種である「ユーウィング肉腫(Ewing's sarcoma)」について、間違った綴りと正しい綴りを4つのサーチエンジンで調べ、得られた27,000のページからランダムに400のページを選び出して査読にかけた。査読とは、科学的に見てその情報が正しいかどうかを数人の客観的な科学者が評価する方法で、一般的な科学論文で用いられている方法だ。
その結果、半分ほどのページではユーウィング肉腫に関する情報や治療情報は含まれておらず、そのうち60%近くは国立癌協会などの信頼できる情報を引用していた。しかしながら、残りの半分は出所の分からない情報に基づいて、科学的に信頼できるか分からないデータや助言を載せていた。また、標準的な教科書を元に調べた結果、そのうち6%は間違った情報を載せていた。中には余命に関して、間違った情報を元に必要以上にがっかりさせたり、逆にいたずらに励ますだけの情報が含まれている物もあった。
Biermann氏は、最も判断しにくい情報は「個人的な経験談」だと言う。こうしたものは詳細なデータに基づいていれば「ケーススタディー」と呼ばれる。しかし「適切な結論がそこから引き出されなければならない」と注意している。
Biermann氏はこうしたデータを元に、医療情報を探す道具としてインターネットを利用すべきでないと言っているわけではない。「私はインターネットを使うように患者に勧めます。もしびっくりするような情報や、私が助言した治療法と違う情報があったら教えてくれるように頼み、同時に私が推薦するWebサイト、例えば政府や非営利団体のアドレスを伝えます。私はこれらのことに関して医者がパートナーであるべきだと確信しています。私たちはこれを、患者に彼らの病状に関してもっと多くの情報を与えるための良い機会ととらえるべきなのです」と述べて、科学的な知識を持つ医者が適切な情報を患者に与える道具としてインターネットを利用するよう勧めている。
('99/8/5)
[Reported by taiga@scientist.com]