■URL
http://www.dir.co.jp/kj/online_bkr9909/press990910.htm
大和総研(DIR)は13日、「オンライン証券取引サービスの動向~99年8月アンケート調査の結果から」を発表した。同調査の公開は1998年12月、1999年5月に続き3回目となる。今回の調査では、8月12日時点でオンライン証券取引サービスを提供しているすべての証券会社31社に電子メールを使って調査し、回答が得られた30社をベースとしたもの。
DIRでは、まずオンライン取引サービスへの参入企業数が引き続き増加していることを挙げている。本年4月の前回調査時点では参入は23社だったが今回は31社に増加。今後も既存の証券会社に加え外資系や電機メーカー・航空系企業など異業種からの新規参入も予定されており本年10月末時点では40社近くに達すると見ている。さらに、手数料完全自由化の10月には間に合わないものの参入を検討している企業はかなりの数に上ると考えられ、この増加傾向はしばらく続くだろうともしている。なお、今回の調査期間中では、本体がリース業のオリックス証券が5月から、外資系で初のDLJ direct-sfgが7月からそれぞれ新規参入した。
このほか、レポートで注目されるのは口座数と手数料収入が伸びてきたことで、オンライン取引サービスがすでに本格的なビジネスとして立ち上がってきたことを示しているという点だ。
各社のデータからDIRが推定したところ、オンライン取引口座数は本年3月末の約5万口座から、同8月12日時点で約12万口座と2.4倍も増加している。1万口座を突破した証券会社が3つもあり、1,000口座を超える会社が大きく増加した。月次の口座数伸び率をみても高水準が続いており、業界全体で1ヶ月に30%程度の増加になったようだ。特に、7月に野村證券が、年間利用料の1万2,000円を無くしたことで大幅に口座数が増加し、他社も月次で10%を上回るハイペースだ。30%を超える伸び率を示した会社は8社もある。
このように、取引口座数が伸びていることに伴い顧客の取引回数も増加している。1日あたりの平均取引件数が1,000件を超える企業が3社あり、そのうちの1社は5,000件を超えている。現行の手数料率で試算してみると、例えば約定代金100万円の取引が1,000件あった場合、手数料率1.15%、1ヶ月の営業日20日として、売買手数料は2億3,000万円になる。つまり、月間に億円単位の手数料収入を計上している企業が複数存在していることが推測される。実際に、7月の手数料を調べてみると1億円以上の月間手数料収入があったと回答した会社は2社ある。これは、年率では10億円を大きく上回る水準だ。DIRでは、オンライン証券サービスは個人向けのインターネットサービス(ISP除く)のなかでもビジネス規模は群を抜いて大きく、日本のECを牽引していく中心的な存在になりつつあるとみている。
また、DIRは10月以降手数料引き下げ競争の激化が予想され、その水準の行方が当面の注目ポイントだとしている。全体的には、比較的身軽な体制で手数料の引き下げ余地の大きい新規参入組みが攻め、多くの営業マンを抱えるなどコストが大きい既存証券会社が迎え撃つという構図。その結果、新規参入組の中から価格訴求によって一定のシェアを確保する企業が出現する可能性が高く、一方の既存証券会社ではブランドやアナリストレポートなどのコンテンツ、アドバイスなど、サービスの差別化によって対抗していくと考えられ、オンライントレードサービス自体の内容も多様化していくことになるだろうとしている。
('99/9/13)
[Reported by betsui@impress.co.jp / ymasa@wizvax.net]