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【Fall Internet World '99レポート】

Fall Internet World '99基調講演レポート2
OracleのLarry Ellison会長――「どこでもWindows」から「どこでもWeb」へ

 「Fall Internet World '99」で、初日午後の基調講演を務めたOracleのLarry Ellison会長は、クライアント/サーバーシステムはデータ分散を招くので事態をさらに複雑にするだけだという、お決まりのMicrosoft批判を展開した。特に今回は「Microsoftプラットフォームをベースにしてソフトウエアを開発している企業は失敗するだろう」との強気な発言が飛び出した。また、講演が終わったあとで数10分にわたって観客から質疑を受けた同氏は、「Oracle Business Online」や「Portal To Go」といったOracle社の戦略から、同氏のプライベートな生活、また、テロリズムに対するセキュリティ対策に関する質問まで多岐にわたる質問に柔軟に対応した。

●世界一のデータベース企業が抱える問題は?

Larry Ellison会長 Ellison氏は、「現在、ビジネスコンピューティングの主流となっているクライアント/サーバーシステムは、コスト高に加えて効率性が悪い」と語る。同氏はあるハンバーガーチェーン店が全米2,000店舗にNTサーバーを設置したという1年前のニュースを再び例にあげ、「これは、ひどいアイデアだ。なぜなら、データが各店舗ごとに分散されてしまうからだ。ここで、単純な質問をしてみよう。今日の全体売上は一体いくらだったのだろう。この単純な答えを出すのに、分散されたデータを統合しなければならないので非常に時間がかかってしまう」と語る。

 同氏はまた、Oracle自身も実は同じ問題を持っているとし「我々は、世界一のデータベース企業である。ここで単純な質問をしてみよう。我が社に何人の従業員が働いているのだろうか。恥ずかしいことに、わからない。それは、我が社の人事部門データベースが、フランスやドイツなどの国により異なるからだ」と語る。「企業は効率化とコスト削減のため、データ統合を行なわなければならない。これは一朝一夕にできるわけではないが、それでもやらなければならないのだ」と語る同氏は、Oracleでは数十台のデータベースを2台に統合している段階という。この2台のデータベースは、それぞれ主要データとバックアップ機能を持っている。



●「どこでもWindows」から「どこでもWeb」へ

 Ellison氏はまた、こうしたデータ統合のベースになるプラットフォームはインターネットであり、Windowsではないと主張、「Microsoftは、『どこでもWindows』をスローガンに掲げているが、将来起こるのは、『どこでもWeb』だ」と語る。「従来型のコン

ピューティングモデル(Windows)に依存して、未来をインターネットに賭けない企業は、失敗するだろう」として、インターネットをベースとしたデータ統合を押し進めることが必須だと語った。

 「人々が気にかけているのはデータであってOSではない。データベースが中心となり、クライアント側では、データを見るためのビューワー、いわゆるブラウザーがあればいい。つまり、どのOSであっても関係なくなるのだ」と語った。同氏は、無数のアプリケーションを使用するためにユーザーが必要なデスクトップソフトウェアは、ブラウザーのみでいいと主張し、「インターネットは、デスクトップを簡単にする方法を我々に見せてくれている」と語る。

 「我々がメインフレームからクライアント/サーバーに移行したとき、我々はユーザー側に力を与えていると思った。しかし、実際に我々がやっていたのは、事態をより複雑にしてきたということだ」とする同氏は、目の敵にしているMicrosoftに関して「Microsoftはまだ差し迫った変化に対する準備ができていないので、将来苦しむことになるだろう。彼らのサイトには、『Windows 2000は、人類史始まって以来のもっとも複雑なプログラムです』と書かれている。何かが、根本的に間違っている」と語る。

 さらにEllison氏は「インターネットは、オープンなネットワークであるというだけではなく、新たなビジネスモデルの可能性も切り開いている。インターネットベースの優れたデータ管理システムを構築することで、顧客に関する包括的な情報を得られ、顧客にはよりよいサービスを提供することができる」と語った。


●質疑応答:Steve Jobs氏との堅い友情を披露

 最後に、同氏は数10分にわたり、会場からの質問を受け付けた。会場からは大勢が列に並び、矢継ぎ早に質問を行なったが、その内容は「Oracle Business Online」などから、若い女性による同氏のプライベートな生活、テロリズムに対するセキュリティ対策に関する質問まで多岐にわたった。

 3回も結婚を行なった同氏は、若い女性からのプライベートな生活に関する質問に対して「オンラインデートのサービスは一度も使ったことがない」と語り、会場を笑わせた。

 テロやハッキング行為に関しては「完全なプライバシーの保障というのは、ひどいアイデアだ。政府は、何か起これば合法的に電話やデータベースへアクセスできる権利を持つべきだ。もし政府がドラッグディーラーや犯罪者を捕まえるためならば、私は喜んでプライバシーを提供しよう」と語る。

 「使用しているコンピュータは何か」との質問に、同氏が「PCを一時期使っていたが、その後、またMacに戻った」と答えると、会場からは拍手が起こった。最後近くで、ある男性が「自分の会社にEllison氏を役員として迎え入れたい」と語ると、同氏は「私は通常、どの企業に対しても一切役員にならないことにしている。ただし、Appleだけは例外だ。それは私とSteve (Jobs) が仲がいい友達だからだ」と語り、Jobs氏との堅い友情を披露した。

('99/10/7)

[Reported by HIROKO NAGANO,NY]


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