IntelのCraig Barrett社長兼CEO |
インターネットの最大規模のトレードショー「Fall Internet World '99」が、10月6日から8日までニューヨークで開催されている。インターネットの急成長とともに年々活気を増している同会議では、今年の来場者は昨年から倍増して3万5,000人以上となった。また、700社の出展企業、3,000名の国際派遣、9カ国を代表するパビリオンなど、総計116カ国からの参加者が集まる国際色豊かな展示会となっている。
今年はとくに、ブロードバンド(広帯域)接続サービス、無線通信やモバイル製品、PDAなどに注目が集まり、Linux関連のセッションも会議室に人が入りきれないほどの盛況ぶりを見せていた。
初日の基調講演は、IntelのCraig Barrett社長兼CEOが、急成長を遂げるインターネットを最大限に活用してビジネスを成功させるための秘訣を語った。
●ネット時間は「ムーアの法則」より速い
Itaniumプロセッサを使用してデモ |
Barrett氏は、「インターネットは予測よりも急速に成長し、非常にグローバルなものになるだろう。5年以内には、10億台のコンピュータがインターネットに接続し、1兆ドル規模のインターネット商取引(EC)が行なわれることになる」と語った。同氏は、「我々のWebサイトは、4~5年間は企業情報を提供するだけの単なる情報サイトだった。しかし、昨年中旬にEC機能を追加したところ、今までWebでまったく取引を行なっていなかった顧客企業も、100%Webで取引を行なうようになった」と語る。
そして、コンピュータ製品のオンラインストア、800.comのCMビデオを上映した。その中で800.comの創設者は「ECを始める前は、1日に50件の注文を受ければいい方だったが、現在では1日に1万件の注文を受けることも珍しいことではない」と語った。
Barrett氏は、2003年には、ECが米国の経済全体で占める割合は10%にのぼるとし「現在、ドットコム企業という言葉に代表されるいわゆるインターネット企業は、5年以内に1社もなくなってしまうだろう。なぜならば、すべての企業はインターネット企業になるからだ」と語った。
●ネットビジネスの3原則とは?
それでは、顧客に優れたサービスを提供するため、ネットビジネスに必要なものは何だろうか。Barrett氏は「インフラの構築、ビジネスプロセスの改善、データ活用/フィードバック」の3原則をあげた。
「インフラの構築」に関しては、Intelが同社サイトにEC機能を付加したとき、数百のサーバーと広帯域幅アクセスを導入したように、レガシーシステムとシームレスに統合するECシステムの構築が重要であるとした。
「ビジネスプロセスの改善」では、Amazonを例にあげ、ユーザーが興味のある情報だけを得ることができ、自分の個人情報をコントロールできるようなパーソナリゼーション機能を付加することで、快適なユーザー体験を提供することが必要だとした。
また、「データ活用/フィードバック」では、Dell Computerの効率的な倉庫管理システム、データ処理の素早さを例にあげ、同社は新製品を他社より短期間に開発できるとした。また、Dellでは顧客からのクレジットカードの支払いを7日以内に受ける一方で、「Intelからは45日間のタームで購入している」とも語った。
●インタラクティブ3D体験をデモ
Barrett氏は「インターネット経済は、あなたのビジネスの方法を大きく変えるものになるだろう」と語り、ネットビジネスに必要なものは、上記以外にもオーディオやビデオを使用した魅力的なユーザー体験であり、パワフルなマシンがあればこれらのマルチメディア機能をさらに活かせるとした。同氏は「Pentium III」プロセッサを使用したマシンで、オンラインショッピングのデモを行なった。
旅行サイトを訪れた同氏は、自分が旅行したい場所のインタラクティブ3D映像が楽しめるコーナーで、ハワイを訪れた。Live PictureやIPIXのパノラマ技術を使用した映像では、マウスを動かすと海辺の景色やホテルの光景も同時に移動し、特定の箇所を拡大することもできる。また、その場所を気に入れば、友人や家族にその映像を電子メールで送ることもできる。その他、MetaStreamの3D技術を使用して、レンタルしたい自動車の全体像も見れ、気に入ればすぐさま旅行パックを購入でき、何か問題が起これば、顧客サポートスタッフがRealPlayerのストリーミングビデオを使用してリアルタイムに対応してくれる、というものだ。
●ネット業界のインフラ企業へと変貌
SharperImage.com |
Barrett氏は、「インターネット人口は今後も急速に増加し、ネットワークサーバーへのニーズが大きくなるだろう。しかし、1999年の段階では、2005年に必要とされるサーバー数の4%しかインストールされていないのが現状だ」と語り、新たに発表した「Itanium」プロセッサに対するニーズを強調した。Itaniumは、元「Merced」と言われていたIA-64をベースにしたチップで、3Dやアニメーションをふんだんに使用したコンピュータ製品のオンラインストア「SharperImage.com」を使用してデモを行なった。
また、同氏はIntelがコンピュータ業界のインフラ企業から、インターネット業界のインフラ企業へと移動すると語った。このビジネス戦略の変化は、通信ネットワーク企業への投資、またインターネットデータサービスの提供などに表れており、同社は前日、この戦略の一貫としてEC機器メーカーのIPivotを買収している。
同氏は最後に「次の5~10年には、非常にエキサイティングなビジネスが展開されるだろう」と語った。
('99/10/7)
[Reported by HIROKO NAGANO,NY]