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【Fall Internet World '99レポート】

Fall Internet World '99開幕~続々登場する「使える」本格サービス

■URL
http://events.internet.com/fall99/index.html

 米国時間10月5日、ニューヨークで秋のInternet World(主催:PentonMedia社)が開幕した。今年で7年目となるこのコンファレンスと展示会はインターネットにフォーカスをあてたイベントとしては世界最大級。主催者は10月8日までの会期中の予想来場者数は45,000人、出展会社は700社を超える見込みだと発表した。

Fall Internet World '99

 
展示会の様子
展示会の様子
 
Microsoftブース
Microsoftブース

 展示会場の内容はバラエティーに富む。一言でいうと最近のインターネット業界では新しい技術の開発よりは、技術という素材を料理した本格サービスが続々と登場してきているということだ。

 その中からあえて目を引くキーワードをあげるとすると「e-Business」だろう。ネットワークを使ったビジネスシステムを構築するためのシステムインテグレーション分野ではIBMをはじめ、多くのシステムインテグレーション会社が出展している。もちろん、e-Businessという範疇にはB to B(企業同士)とB to C(企業と顧客)の双方が含まれる。しかし、印象としてはB to Bに関係する企業が多く、Creg R. Barrett氏の基調講演を聞かずともB to B市場が急速に拡大しているということを理解できる。いずれにしてもネットワークのテクノロジーを組み合わせ、企業のインターネット化を促進していくことを後押しする市場の層の厚さを感じる。

 Microsoftは先日発表したコンセプトであるDNA2000を中心テーマとし、Windows 2000を始めとする各種製品のデモンストレーションを展開し、今後のネットワークアプリケーションのプラットフォームを狙う姿勢を示している。今後どこまでこのコンセプトが浸透するかが注目されるところだろう。

 これ以外にも電子コマースサイトを構築するための各種技術などが豊富にあり、どのような会社でもインターネットを使ったビジネスに参入できるという敷居に低さを感じさせる。



 
myTalk.comブース
myTalk.comブース
 
Handspringブース
「Visor」が出展された
Handspringブース

 また、Web上のコンテンツやサービスを提供する会社も多い。すでに著名なものも多く出展しているが、新鮮なものとしてはゼネラルマジック社の音声を使ったメッセージングサービスmyTalk.comがある。これは同社の提供するフリーメールサービスと連動するもので、到着したメールを電話から読み上げられるのを聞いたり、音声で返事を送ったりできるサービス。サービスはもちろん無料で、米国内であれば通話料金も無料。コマンドは電話のテンキーではなく音声によって行なう。インターネットにつながったコンピューターがなくても、携帯電話をはじめ電話網さえあれば、つまりどこからでもメールにアクセスできるものだ。

 インターネットを使ったコミュニティーやディスカッションのサービスを提供している会社も目に付く。RemarQ社ではネットワークでコミュニティーを構築するためのサービスをプレゼンテーションしている。さらに米国だからこそ存在し得るサービスとして、毎月の生活費の小切手による支払いを管理するedocsという会社も登場した。先日のYahoo!のオンラインでの支払い管理など、自動引き落としが一般的でない米国市場ではこうしたサービスが増えることが予測される。そして、生活費支払いのために小切手を郵送しなければならないため、は日本よりニーズが高いオンラインで買える切手Stamp.comも面白い。

 これらのインターネットコンテンツ会社に混じり、ハードウェアのブースとして黒山の人だかりとなっているのがHandspring社のVisorである。これは3ComのPalm OSをライセンスして独自に開発されたハードウェア(PDA)である。現在はまだ注文を受け付けている段階で商品は発売されていないが、すでに数々のモジュールやアクセサリーを開発しているサードパーティが同社のパートナーパビリオンに出展し、セールスポイントであるハードウェア拡張性をアピールしている。

 さらに、今回のInternet Worldでは「Fashion Technology Show」が行なわれている。これはインターネットに接続されたアパレルのファッションショーで、ウェアラブルPCならぬウェアラブルインターネットともいえるものである。



 Internet Worldの主催者であるPenton Media社では2000年2月27日から3月1日まで、米国サンフランシスコのWホテルにてInternet Everywhere Summitを、2000年4月4日から4月7日まで、米国ロサンゼルスで開催される春のInternet Worldと並行してeCRM(Internet-based Customer Relationship Management)2000を開催することを発表した。

 Internet Everywhere Summitは近い将来に訪れるといわれている携帯電話などの電子機器や消費者向けの機器などを使ったメッセージングや情報サービス、そしてそれらの技術を扱うエグゼクティブコンファレンスである。eCRMはインターネットを使った顧客サービスをテーマとしたコンファレンスである。

 いずれもインターネットという一言だけではくくりきれない特定のテーマをさらに深く扱うことになると予想される。こうしたイベントが市場を映す鏡であるとすると、いよいよインターネットも個別テーマの時代に入ってきたといえるかもしれない。

 なお、明日より個別製品のレポートをお届けする予定にしている。

('99/10/7)

[Reported by Yoshihiro Nakajima/IPG Network, Inc.]


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ウォッチ編集部INTERNET Watch担当internet-watch-info@impress.co.jp