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【Fall Internet World '99レポート】

インターネットビジネスは「コンテンツ」から「サービス」へ

Fall Internet World '99

■URL
http://events.internet.com/fall99/index.html

 インターネットワールドレポートの2日目は展示会場に出展されていた製品やコンテンツ、サービスなどを紹介しよう。

●インターネットビジネスは「コンテンツ」から「サービス」へ


 どうやらインターネットの上で行なわれるビジネスの中心は「コンテンツ」から「サービス」へと移行したようだ。出版社、新聞社の中でインターネットビジネスに興味のある企業はすでにインターネットのビジネスに参入が終わったと見ることもできる。これからはB to B、またはスモールオフィス内での請求書作成やスケジュールの管理などという非常に粒度の細かい単位でのアウトソーシングを提供するサービスが増えてくるだろう。そして、それをまとめる形で金融グループがビジネスポータルを形成しようとしているようだ。

■支払いシステム

 米国ではなんでも無料になる傾向にあると派手に報道されているが、支払いシステムもきちんと存在している。EChargeはオンラインで支払いをする場合の安全性を向上させた支払い方法だ。提携しているショップサイトでeChargeによる支払いを選択すると、購入金額などの情報が暗号化され、ユーザーのマシンにダウンロードされる。そして、マシンに接続されているモデムで電話回線を使ってその情報を決済会社に送信する。承認が下りると再びショップのサイトにつながり、購入が完了する。使用履歴の管理や使用金額の上限などの設定もできる。

■請求書発行サービス

 弁護士、会計士、コンサルタントなど、顧客に対して提供するサービスの対価を時間ごとに課金するような人のために、どの顧客にたいして、いつ何分(何時間)のサービスを提供したかを集計して、請求書と明細書を発行するサービスがTimeBills.comだ。PalmPilotでスケジュールを管理し、そのデーターをダウンロードしてTimeBills.comに送ると顧客ごとのあて先で請求書と請求明細書が作成される。

■コラボレーションサービス

 インターネットを使った共同作業は、いうのは簡単だが、実行するのはなかなか難しい。WebExは「Meeting Room」と「Office」という2つのコラボレーション環境を提供する。「Meeting Room」はインターネット上にミーティングルームがあるかのように作業ができるコラボレーションサービス。サービス自体をアウトソースする形態になる。Webベースでのサービスなので、企業ごとに設備投資をしたりソフトウェアをインストールしたりする必要はない。企業ごとに独自のURLをもち、文書の共有、アプリケーションの共有、電話の交換機などとのインテグレーションを行ない、電話をしながら画面をみて同じ会議室にいるかのような環境が提供される。

また、「Office」はオフィス環境をWebベースで提供し、カレンダー、アドレス帳、ディレクトリ、ビデオストリーム、そして現在ネットワークにつながっている人を調べる機能などが提供される。

■アカウント(口座)管理サービス

 銀行、クレジットカード、通信、請求書、マイレッジプログラムなどのポイントサービスなど、多くの人がいくつものアカウント(口座)をもち、管理をしている。最近ではインターネットで口座の内容を見られるようにしている会社も多いが、数が増えてくるとIDやパスワードを忘れたりして管理ができなくなる。VerticalOneは一つのサイトですべての口座の状況を確認できるサービス。ユーザーの利用料は無料。

CU-SeeMe Webサービス

 ビデオコンファレンスソフトウェアの老舗であるWhite Pine SoftwareのCU-SeeMeがWeb対応した。これはユーザーがアプリケーションをインストールするのではなく、ビデオコンファレンス機能を提供したWebサイトが同社のサーバー「Meeting Point」をバックエンドにしてサービスをすることになる。

メールアドレスを自動的に管理するアプリケーション

 新たなインターネットアプリケーションはあまり目立ったものはないが、唯一これはちょっと新しいと思えたのがこれ。電子メールでやりとりする人のメールアドレスが変わることはよくある。転職はもちろんのこと、プロバイダーが変わったりするからだ。そのため自分のアドレス帳の管理をきちんとしておかないと、いまや重要な連絡手段である電子メールも魅力が半減する。そこで開発されたのがActiveNames。このアプリケーションをインストールしておけば、到着した電子メールを自動的に調べて自分の使っているアドレス帳に登録されているものと異なっていればお知らせのダイアログボックスが開き、OKならば自動的にアドレス帳が更新される。チェックする情報はメールアドレスだけではなく、電話番号、ファックス番号なども含まれる。

●大手銀行が「ビジネスポータル」に向かうのか?


 米国では一人だけの会社を始めスモールオフィス市場は非常に大きい。オフィスのオペレーションに必要なリソースをいろいろな形で提供し始めているのが大手銀行だ。

Citigroup~スモールビジネスポータル

 シティバンクでおなじみのCitigroupはスモールビジネス用のポータルサイト「Bizzed.com」を開始した。これは従業員100人以下の中小企業を対象としたポータルサイトで、Citigroupの各企業(ソロモン・スミスバーニー、シティバンク、トラベラーズ、ダイナースクラブなど)のサービスはもちろん、ビジネスをする上で日常必要となるサイトへのリンクを持つ。たとえば、住所管理、給与や税金のトランザクションサービス、ソフトウェアの販売、オフィス用品の販売、マーケティング、リクルーティングなど、サービスを提供する数々の提携会社へのリンクを持つ。

Chase~電子コマースソリューション

 米国の大手銀行チェイスマンハッタンは電子コマースのソリューションを用意した。たとえば、チェイスマンハッタン銀行のクレジットカードやデビッドを持っている顧客に対して安全な決済機構を提供する「Chase Shop.com」。そして口座の状態をチェックできるオンラインバンキング。また、中小企業がWebサイトを構築するためのツールeWEBulider。さらにこれらの企業が税金や給与を電子的に支払えるサービスも用意されている。その他、B to Bのやりとり行なう場合の電子認証、決済などもある。

●本格的に使えるかどうかは未知数


 インターネット業界のトレンドは、かつての技術革新から、それを使いやすくしたアプリケーションの時代に移り、その上でのコンテンツが量産されるに至った。かつては華々しかったクライアントパソコンにインストールするソフトウェアの展示はほとんどないし、新聞、雑誌などの流れにある「コンテンツ」も新たな動きは見当たらない。

 一方でアプリケーションサービスプロバイダー(ASP)という業態が動きはじめ、各社がそれを意識した戦略をとりはじめている。これらをあわせて考えると、今後はサーバーを中心とした「各種のサービス」「各種の機能」の提供に移りつつあることは間違いないだろう。ここに取り上げた一部のサービスのひとつひとつが本格的なマスマーケットに入っているとは言いがたいが、これからのインターネット業界が明らかにサービス指向、そしてサーバー指向にあることは間違いないだろう。

('99/10/8)

[Reported by Yoshihiro Nakajima/IPG Network, Inc.]


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