ソフトバンク・コマース株式会社、ソフトバンクテクノロジー株式会社、ヤフー株式会社、ミュージシャンの向谷実氏は、インターネット上で音楽配信サービスを行なう合弁会社、イーズ・ミュージック株式会社を12月に設立すると発表した。代表取締役社長に、ソフトバンクコマースの香山誠氏、代表取締役副社長に向谷実氏が就任する。資本金は3億円。2000年4月より、配信実験を開始し、2000年6月より本格サービス開始する予定。
イーズ・ミュージックは、JASRACが提唱する音楽著作権管理のデジタル化構想「DAWN2001」に準拠するのが特徴だ。音楽データには、電子透かしやコピープロテクションなどを付与。データベースと照合することなどにより、楽曲の購入数を正確に把握したり、アーティストらに正確に使用料を分配できる。高品質な楽曲データサービスを提供するため、高速で定額の通信インフラが前提という。
価格は、1曲100円程度を予定。これは、現在行なわれている音楽販売に比べてかなり安いといえる。これについて孫氏は、「物理的に配送やパッケージなどのコストがない。従来のように、友達から友達へとコピーの輪が広がらなければ、安い価格でも成り立つ」と語った。使用料の割り振りについては、「検討中だが、100円のうち、大半がアーティストへ行くようにする。コストがかからない分、著作権者が見ても、十分に魅力を感じる利益があるはず」としている。
サービス開始時の具体的な楽曲数は未定。向谷氏は、「個人の名前を出して参加したのは、その方がアーティストに安心してもらえると思ったため。また、『DAWN2001』に完全に準拠することでアーティストが安心してコンテンツを預けられるようにし、賛同してもらえるアーティストを増やしたい」と語った。
具体的な認証や課金方法は、後日設立する予定の「ソフトバンク・デジタルライツ株式会社(仮称)」で構築するサービスを採用。データは、パソコンだけでなく、携帯音楽プレイヤーなどでも楽しむことができるように、データの圧縮形式、著作権保護などは、単一のものは使用せず、「DAWN2001」プランに準拠するものを、順次サポートするという。
今回の事業について、JASRACの評議員でもある向谷氏は、「CDとインターネットの音楽配信は競合しないと思っている。新しい技術だからいいとか、古いものは切り捨てるとか、そういう考え方ではなく、現在ある音楽産業を底上げする効果があるのではないか。」と語った。
('99/11/11)
[Reported by junko@impress.co.jp]