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【音楽配信 / 著作権】

国内違法MP3サイトは約1,000件――JASRACが「アジア知的所有権シンポジウム」で発表

■URL
http://www.jva-net.or.jp/jva/aca/symposium/index.html

看板 11月26日、都内ホテルにて「アジア知的所有権シンポジウム'99」が開催された。シンポジウムは不正商品対策協議会の主催によるもので、警察庁、外務省、文化庁などが後援している。会場では、ICPO(国際刑事警察機構)総裁らによる基調講演のほか、パネルディスカッションなどが開催された。このうち、プログラム第1部「音楽を巡る侵害実態とその対策」では、主にインターネット上の著作権侵害問題について触れられていたので紹介したい。

 プログラム第1部「音楽を巡る侵害実態とその対策」は、IFPI(国際レコード産業連盟)業務部長Mike Edwards氏による基調講演でスタートした。IFPIは、レコード産業の国際的な組織で、世界70カ国の約1,200名が会員として参加している。講演では、'60年代のコンパクトカセットの登場とともに問題となり始めた「海賊版」について紹介された。カセット時代はそれほど深刻ではなかったが、CDによる海賊版が登場してからは、爆発的に増えたという。その原因としては、CDの製造能力が向上したこと、国際的な犯罪組織が関与していることなどをあげている。アジア地域が、それら海賊版CDの主要な原産国となっており、例えば香港では、CDの妥当な総需要量の3倍以上の生産能力があるとのこと。

 そして、次のスタイルとして登場したのが、違法コピーMP3による海賊版である。Mike Edwards氏は「2年半前はレコード産業にとって脅威ではなかったが、いまや状況は変わっている」と語った。IFPIによる調査では、インターネット上で利用できる違法コピーMP3は、いかなる時点でも100万件以上存在しており、過去に10億件以上送信されたと見ている。IFPIでは、著作権侵害サイトを検知/記録するための自動検索ツールを開発するソフトウェア開発プロジェクトを発足させたとのこと。

 基調講演の後半には、JASRAC職員によるMP3のデモが行なわれた。ここでは、インターネットに接続したパソコンを使って、実際に違法サイトにアクセスしMP3をダウンロードしてみせた。デモでは、拡張子を「.mp3」から「.jpg」に変えてごまかす例などを紹介したほか、ダウンロードした違法ファイルをWinampを使って大音量で聴かせ、「このように、簡単に高音質の音楽を手に入れられてしまうのです」と説明した。

 基調講演の次には、パネルディスカッション「21世紀ネットワーク利用における不正行為とその対策」が行なわれた。RIAJ(日本レコード協会)専務理事木村三郎氏をモデレーターに、文化庁国際著作権課長石野利和氏、JASRAC常任理事加藤衛氏、基調講演で登場したMike Edwards氏の計4名で進められた。ここで興味深かったのは、JASRACを含む6団体が実施した、国内の違法MP3に関する調査の結果。それによると、'98年10月から'99年9月までの間に発見した違法サイトは約1,000件で、ファイル数は5,000以上とのこと。ほとんどがメールアドレスなど連絡先の記載がなく、実際に警告文を送ったのは80サイトであった。そのうち60件はサイト管理者により削除され、23件が謝罪文を提出したとのこと。違法サイトの数について加藤常任理事は「憂うべき現状」と語っている。また、違法MP3問題については、海外のサーバーに違法ファイルを設置し発信する場合もあり、木村氏は「日本だけ法制化してもだめ。各国で対応する必要がある」と語った。

('99/11/26)

[Reported by okiyama@impress.co.jp]


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